あん摩マッサージ指圧師の過去問 第25回(2017年) 午前 問65
この過去問の解説 (3件)
貧血とは、末梢血中のヘモグロビン濃度が基準値以下に低下した状態であり、分類としては小球性、正球性、大球性があり、ヘモグロビン濃度から低色素と正色素に分けられます。
血液検査ではヘモグロビンの大きさ(容積)の指標はMCV、ヘモグロビンの濃度の指標はMCHCで評価されます。
鉄の欠乏により、ヘモグロビン合成が低下して起こる貧血です。原因としては、鉄の吸収低下、需要増大、出血による喪失亢進などがあります。血液検査ではMCVとMCHCが低下するため、小球性低色素性貧血に分類されます。
なので、これが正解であると考えられます。
ビタミンB12の欠乏によって生じる貧血です。ビタミンB12の吸収には、胃に含まれる内因子が関与しているため、胃の切除した人に起こりやすくなります。血液検査では、MCVが上昇しているため、大球性正色素性貧血に分類されます。
何らかの原因により赤血球の破壊が亢進するために起こる貧血です。基本的には赤血球の破壊されたために起こるため、赤血球の容積や濃度に変化はなく、正球性正色素性貧血に分類されます。
骨髄における造血幹細胞の障害によって生じる貧血です。赤血球以外にも白血球や血小板数も減少する汎血球減少がみられます。正球性正色素もしくは大球性正色素性貧血に分類されます。
それぞれの貧血の特徴、MCV、MCHCの内容をおさらいしておきましょう。
低色素性貧血
ほとんどが鉄欠乏性貧血を示します。体内の鉄が不足することで赤血球の中に含まれるヘモグロビンが作れなくなることによって生じる、貧血の中で最も頻度が高い疾患です。
貧血は大きく3つに分類されます。
小球性貧血・正球性貧血・大球性貧血
分類基準はMCV(平均赤血球容積)です。
小球性貧血(MCV<80)、正球性貧血(80<MCV<100)
大球性貧血(MCV>100)
小球性貧血
鉄欠乏性貧血・鉄芽球性貧血・慢性疾患に伴う貧血
正球性貧血
急性出血による貧血・溶血性貧血・再生不良性貧血
大球性貧血
巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏性)
再生不良性貧血・溶血性貧血
成人女性の約8%にみられます。
原因としては
・鉄の供給低下(極端な偏食、胃切除後)
・鉄の吸収不良(吸収不良症候群)
・慢性の出血(消化管の潰瘍や癌による出血、痔核、月経過多、子宮筋腫など)
・需要の亢進(成長期、妊娠など)
2.巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血は、赤芽球への成熟時にビタミンB12もしくは葉酸が欠乏することで、成熟が阻害され巨赤芽球となってしまい無効造血を起こし、その結果大球性正色素性貧血を起こします。
ビタミンB12不足は、摂取不足(厳密な菜食主義者)、吸収不良(悪性貧血)、胃全摘出後、吸収不良症候群、需要増大(妊娠、悪性腫瘍)、利用障害(肝障害、先天性ビタミンB12代謝異常症)など
葉酸不足は摂取不良(アルコール中毒、偏食)、吸収不良(吸収不良症候群)、需要増大(妊娠)、利用障害(葉酸拮抗薬使用、肝障害)など
3.溶血性貧血
先天性のものと後天性のものがあります。
先天性のものの70〜80%を遺伝性球状赤血球症が占めます。
後天的に赤血球自体が壊れる原因としては、赤血球性膜異常、赤血球酵素異常、ヘモグロビン異常などがあります。
後天性のものの多くは、自己免疫性溶血性貧血の頻度が高いです。
4.再生不良性貧血
再生不良性貧血は、多能性幹細胞に障害が起こったことにより骨髄の低形成、末梢血液の汎血球減少(貧血、白血球減少、血小板減少)をきたした病態です。
先天性な異常としては、ファンコニ貧血があります。
後天性な異常としては、原因不明の突発性のものと、薬物(抗生物質、鎮痛薬、抗炎症薬など)、放射線などが原因で起きる二次性のものがあります。
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