問題
「45歳の男性。飲酒歴は長い。飲酒後に腹痛が出現し、痛みは心窩部および背部に認めた。血液検査ではアミラーゼおよびリパーゼが高値であった。」
本症例で最も疑われるのはどれか。
飲酒歴が長い場合、膵臓や肝臓の病気が多いです。また、飲酒後に心窩部や背部に痛みがある場合、膵臓や胃の病変が多いです。血液検査でアミラーゼとリパーゼ値が高い場合は、膵炎が疑われます。
胃潰瘍は胃の粘膜を超えて深く組織が欠損した状態を指し、食後の心窩部痛、腹部膨満感などの症状がみられます。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染やNSAIDSの繰り返し長期服用が発症リスクとなります。
胆嚢に生じる炎症のことで、胆石により胆嚢管が閉塞され、二次的に細菌感染が加わることで発症するとされます。食後に起こる右季肋部痛や発熱などがみられます。
長期のアルコール飲酒歴がある中高年の男性に好発し、上腹部痛、背部痛、脂肪便といった症状がみられます。また、血液検査では膵アミラーゼとリパーゼ値が高値となりますので、これが正解であると考えられます。
潰瘍性大腸炎とは、大腸粘膜にびらんや潰瘍を形成する原因不明のびまん性炎症性疾患のことを指します。病変は直腸から始まり、連続性の潰瘍がみられます。典型的な症状として、下痢、粘血便、腹痛、発熱などがみられます。また、大腸がんのリスクが高く、合併症としてアフタ性潰瘍、結節性紅斑などがあげられます。内視鏡検査では偽ポリポーシス、ハウストラの消失などが認められます。
症例問題の場合は、それぞれの症状、血液検査、画像検査などの特徴をとらえて、推察することが重要です。
また、潰瘍性大腸炎はクローン病と似た症状がみられるため、それぞれの特徴を押さえることが重要となります。
問題文アミラーゼ、リパーゼ高値となっているのでほぼほぼ膵炎を疑いますが
アミラーゼはあまりあてになりません。
この場合リパーゼの数値が高値となっているので膵臓疾患と想定します。
急性膵炎の場合は激しい痛みを伴う症状が特徴なのでこの場合急性は除外されそうです。
選択肢を見てみると慢性膵炎が確認できるのでそれを選べば良い事になります。
ただ、血液検査なしだと心窩部、背部の痛みから胃、心臓も疑い飲酒後ではなく空腹時だと
十二指腸も考察しないといけないので痛みの部位も再確認しておくと良いでしょう。