あん摩マッサージ指圧師の過去問
第25回(2017年)
午前 問73

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第25回(2017年) 午前 問73 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文で示す症例について、問いに答えよ。

「45歳の男性。飲酒歴は長い。飲酒後に腹痛が出現し、痛みは心窩部および背部に認めた。血液検査ではアミラーゼおよびリパーゼが高値であった。」

本疾患でみられる便はどれか。
  • 新鮮血便
  • 脂肪便
  • 粘血便
  • タール便

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この過去問の解説 (3件)

01

飲酒歴が長い場合、膵臓や肝臓の病気が多いです。また、飲酒後に心窩部や背部に痛みがある場合、膵臓や胃の病変が多いです。血液検査でアミラーゼとリパーゼ値が高い場合は、膵炎が疑われます。

選択肢1. 新鮮血便

新鮮血便がみられる場合、肛門や直腸での出血が疑われます。

選択肢2. 脂肪便

脂質の消化吸収不良が疑われ、慢性膵炎などでみられます。なので、これが正解であると考えられます。

選択肢3. 粘血便

大腸からの出血が疑われ、大腸がん、潰瘍性大腸炎などでみられます。

選択肢4. タール便

胃や十二指腸での出血が疑われ、胃・十二指腸潰瘍などでみられます。

まとめ

血便について、便の色によって出血部位をある程度特定することができます。色が鮮やかであるほど直腸に近く、色が黒色であるほど、胃に近い部位で出血が起こっています。

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02

該当は慢性膵炎になります。

慢性膵炎の症状は下記になります。

  • 腹痛や背中の左側の痛み
  • 倦怠感
  • お腹が張った感じ
  • 下痢・軟便症状
  • 下痢に伴う体重減少
  • 吐き気 など

慢性膵炎はステージによって「代償期」「移行期」「非代償期」に分けられ、膵臓の機能や症状、障害度が多様に変化します。

上記症状は移行期までの主症状で非代償期では別の症状が見られます。

膵炎が慢性化すると著しく膵臓の機能が低下し、最終的にはほとんど働きが失われた状態に陥ります。腹痛症状は徐々になくなっていきますが、消化機能や血糖値の調節機能が低下します。

消化・吸収不良は下痢・脂肪便、栄養障害や体重減少を引き起こします。また、血糖値の調節機能が低下すると糖尿病を誘発し、喉の渇き、夜間の排尿、尿量の増加などの症状もみえはじめます。

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03

慢性膵炎の主原因はアルコールによるもので中年男性に多いですが、突発性のものは男女差はありません。
・男性ではアルコールによるものが約70%、不明なものが約20%
・女性では原因不明なものが約60%、胆石によるものが約20%
炎症により正常膵組織が破壊されるため、外分泌障害と内分泌障害をきたすようになります。

診断としては映像診断(腹部超音波検査、CT検査、X線検査など)が行われ、血清・尿中の膵逸脱酵素(アミラーゼ、リパーゼ)の上昇の有無を調べます。

症状としては
・慢性的な上部腹痛・背部痛を繰り返す事が多いです。
・食欲不振、腹部膨満感、悪心、嘔吐などの不定症状を訴えることもあります。
・急性再燃時には急性膵炎と同様の症状を呈します。
・進行すると消化吸収障害による脂肪下痢や二次性糖尿病による症状(口渇、多尿、体重減少)が出現します。


便から判断される症状には以下のようなものがあります。
・鮮血便:肛門や直腸からの出血が疑われます。痔など。
・粘血便:大腸からの出血が疑われます。潰瘍性大腸炎、大腸がんなど。
・タール便:胃や十二指腸の潰瘍が疑われます。
・脂肪便:脂肪の吸収不全が疑われます。膵炎など。
・水様便:水分を多く含んだ水状の便。細菌感染やウィルス感染の食中毒が疑われます。

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