問題
「 28 歳の女性。3 か月前から頭痛がある。保育士をしているが、保護者とのトラブルなどストレスが絶えない。めまいや顔が熱くなるなどの随伴症状があり、口が苦くなる。舌質紅、脈弦。」
めまい・顔が熱くなる・頭痛:気を上に揚げる力が強くなっている症状です。
口苦:湿濁が熱により上がってくることで苦く感じます。
紅舌:熱が強すぎて舌の血流が良くなりすぎてる状態を表しています。
弦脈:熱がこもっていることを表わす脈です。
「風邪」は外因によるものです。
問題文からは内因のストレスが主な原因と考えられます。
症状全体が陽気が強くなっている所見です。
問題文から気が上がりすぎている所見が多いのでこの処置が適していると考えられます。
「痰飲」は水分の滞りの症状です。
問題文からはその症状は見当たりません。
「瘀血」は血が滞った状態です。
問題文からはその症状は見当たりません。
一つ一つの所見で原因が確定できるものではありません。
全体的にどのような状態かをイメージしましょう。
女性の訴えは、
仕事上のストレスが絶えず、
頭痛、めまい、顔が熱くなる、口が苦くなるとのことで、
体の上部に熱が生じていることがわかります。
また、舌は紅であることから熱証、
弦脈であることから肝病が考えられます。
以上から、肝気が鬱滞しているところに、
絶えないストレスによって
熱が加わっている状態であることが考えられます。
この患者の病証は、
肝気が滞っていることから生じているため、
風邪を取り除く治療方針は適切ではないと考えられます。
体の上部に熱が生じており、
陽気の上昇を抑える治療方針は適切であると考えられます。
痰飲を除くのは、脾などの働きが低下し、
水分の代謝が滞っている場合です。
この患者の病証は、肝の病証であるため、
痰飲を除く治療方針は、
適切ではないと考えられます。
瘀血をとるのは、滞った血液により症状が生じている場合です。
この患者の病証は、
肝気が滞り生じているものであり、
瘀血をとるという治療方針は、
適切ではないと考えられます。
患者の訴えなどの診察の結果から、
証、治療方針を立てていきます。