問題
「 65 歳の男性。主訴は肥満。過食によって徐々に体重が増加し、リンゴ型の肥満症と診断された。肥満以外の症状はない。身長 170 cm、体重 85 kg。」
本症例の肥満に対する日常の指導として最も適切なのはどれか。
肥満対策は減量を目指して、
食事療法、運動療法、行動療法などを組み合わせて行われます。
座浴は、発汗を促す目的で実施されることもありますが、
肥満対策として優先的に選択されるものではないと考えられます。
症例の男性は、
過食による体重増加が認められていますので、
食事療法として、糖質を制限した食事指導は適切であり、
これが正解であると考えられます。
1日3回の食事を、決まった時間に摂るようにすると、
血糖値の急上昇を抑え、脂肪を溜めにくくなるといわれていますので、
食事回数を減らすことは適切ではないと考えられます。
肥満の運動療法については、
糖や遊離脂肪酸の燃焼などを目指す有酸素運動と、
筋肉を増やし基礎代謝を維持するレジスタンス運動が
適しているといわれています。
階段昇降による運動は、有酸素運動として、
肥満に対する運動療法で考慮されうるものです。
しかし症例の男性の場合、
「過食による」体重増加とのことですので、
この場合は最適なものではないと考えられます。
肥満に対する指導では、合併症の有無にも留意する必要があります。
肥満型には、リンゴ型と洋ナシ型があり、
リンゴ型肥満は、内臓脂肪型で、上半身に多く脂肪がつくタイプで、洋ナシ型肥満は、臀部から下半身に多く脂肪がつくタイプです。
リンゴ型肥満は洋ナシ型肥満と比べ、内臓脂肪が多く蓄積する為に、腎機能が低下し、血圧が高くなる傾向があり、慢性腎臓病や生活習慣病を発症するリスクが高くなります。
発汗は、効果的とは言えません。
リンゴ型肥満は、内臓脂肪が蓄積し、慢性腎臓病や、動脈硬化、高脂肪血症などの生活習慣病の原因となるため、糖質の制限は効果的と言えます。
食事回数を減らすのは、飢餓状態なり、リバウンドが起こりやすくなるため、体重の減量法としては、推奨されていません。
ウォーキングや水泳などの有酸素運動は推奨されますが、階段昇降は、膝の負担が大きくなるため避けた方が良いでしょう。