問題
「15歳の男子。ラグビー練習中に転倒し左手関節橈背屈を強いられた。直後から手関節痛が強いため医療機関を受診した。」
実施すべき画像検査で適切でないのはどれか。
15歳の男子は、ラグビー練習中に転倒し、
左手関節橈背屈を強いられました。
手関節痛が強いため、医療機関を受診しました。
2方向単純エックス線撮影は、
2方向から撮影することで、
より正確な形状や位置関係を描出でき、
骨折が疑われる際に実施されます。
斜位単純エックス線撮影は、
斜位から撮影するもので、
手関節周辺の骨折では、
舟状骨の評価を行いやすくなります。
超音波断層検査は、体表から超音波を当てて、
内臓や骨の様子を画像化して検査する方法です。
レントゲン撮影では写りにくい小さな骨折などは、
超音波断層検査のほうが検出しやすいことがあります。
骨シンチグラフィは、
骨に集まる放射性同位元素を含んだ薬剤を注射したのちに
X線撮影を行う検査です。
がんの骨転移などを調べる際に行われます。
手関節周囲の診断に用いる検査としては、
検査の規模や体への負担が大きいため、
適切な検査ではないと想定されます。
適切でないものを選びますので、
これが正解であると考えられます。
骨折の診断では、X線撮影が用いられることが多いですが、
超音波断層検査やCT検査などが行われる場合もあります。
1.手関節 2 方向単純エックス線撮影
関節 2 方向単純エックス線撮影は、骨折などの疑いがあった際に用いる、一般的なエックス線撮影で適切な検査です。
2.手関節斜位単純エックス線撮影
手関節斜位単純エックス線撮影は、手関節の関節内骨折の評価に有効であり、適切な検査です。
3.超音波断層検査
超音波断層検査は、レントゲンでは見つけられないような、微細な損傷が見つけられ、適切な検査と言えます。
4.骨シンチグラフ
骨シンチグラフは、全身の骨のようすを写真に撮って、骨の状態を詳しく調べる検査です。
癌の骨転移、疲労骨折、さらには骨粗しょう症による骨折を早期発見するために用いられており、転倒などの外傷に対しては不適切であり、正答となります。
1、手関節2方向単純エックス線撮影 ・・・○
手関節の捻挫・骨折が疑われるため、患部の2方向からのX線診断は適切です。
2、手関節斜位単純エックス線撮影 ・・・○
手関節には多くの骨が接しているため、斜位からのX線診断も必要となります。特に、橈背屈で舟状骨骨折も疑われるため、舟状骨が存在する箇所を写す斜位撮影を含めることが重要です。
3、超音波断層検査・・・○
超音波での骨折損傷は画像診断がしやすく、X線での見逃しを補うこともできます。
4、骨シンチグラフィ・・・×
骨の造成状態をみる検査であり、本症例で検査する必要はありません。
造成と吸収のバランスが崩れる箇所を特定するために行われ、がんの転移の有無など、がん治療の中での一助となります。