問題
「15歳の男子。ラグビー練習中に転倒し左手関節橈背屈を強いられた。直後から手関節痛が強いため医療機関を受診した。」
本症例でみられにくいのはどれか。
15歳の男子は、ラグビー練習中に転倒し、
左手関節橈背屈を強いられました。
手関節痛が強かったため、
医療機関を受診しました。
フォーク状変形は、
骨折部位である手首が曲がり、
フォークを伏せたような形になる変形です。
男子の症状から、
この変形を生じている可能性があると考えられます。
母指を橈側外転させたとき、
手関節橈側遠位部に生じるくぼみを、
タバコ窩といいます。
この部位の圧痛は、舟状骨の骨折を示唆します。
男子の症状から、
最も出現している可能性の高い症状であると考えられます。
血行障害は、何らかの原因で、
血液の流れが妨げられている状態です。
手首の周辺には、血管が走行しており、
この部位の骨折では、血行障害を生じやすいと考えられます。
フローマン徴候は、尺骨神経麻痺を鑑別する検査です。
この男子の症状から、
正中神経や橈骨神経への影響が考えられるため、
フローマン徴候が陽性となる可能性は低いです。
この症例でみられにくいものを選びますので、
これが正解であると考えられます。
舟状骨は、手根骨のひとつで、
手関節を背屈した状態で手をついた際に
骨折しやすいといわれています。
また、好発年齢は10代後半から20代です。
本症例は事例から察するに転倒の際、手をついた状態が起こり、手関節、橈骨の遠位端に骨折が起きたと考えられます。
1.フォーク状変形は、前腕末梢から手関節を含んで手が背側に反り、手関節がフォークのような形状となる変形です。
橈骨遠位端骨折の際に起こります。
2.タバコ窩の圧痛は、手をついた時に舟状骨にまで損傷が起きた場合に現われるものであり、症例の状態に適していると言えます。
3.血行障害は、骨折などが起きた際には変形や腫脹が現れ、血行は滞ってしまうため、症例に適していると言えます。
4.フローマン徴候陽性は、尺骨神経の麻痺の際に現れる徴候です。
本疾患は橈側側に背屈を強いられたために起きたものであり、症例に適してはおらず、正答となります。
1、フォーク状変形・・・みられやすいです。
橈骨が手首のところで折れることで見られます。手のひらをついて転んだ際に発症することが多く、腕から手までが卓上に伏せておいた時のフォークの形状と酷似することから名付けられました。
2、タバコ窩の圧痛 ・・・みられやすいです。
手関節が橈背屈を強いられた時に多い舟状骨骨折により圧痛、腫脹が見られる箇所です。
3、血行障害 ・・・みられやすいです。
腫れの強さやギプスなどにより、血行障害が起こりやすい状態になります。
4、フローマン徴候陽性・・・みられにくいです。
フローマン徴候は両手の親指と人差し指で紙をつまみ、反対方向に引っ張り合った時、患部側の親指の第一関節が曲がってしまうことを陽性と判断します。
主に、尺骨神経麻痺をみる検査であり、橈背屈で痛めた本症例では陽性になることは少ないと言えます。