あん摩マッサージ指圧師の過去問
第30回(2022年)
午前 問56

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第30回(2022年) 午前 問56 (訂正依頼・報告はこちら)

失神を最もきたしやすいのはどれか。
  • 僧帽弁狭窄症
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 大動脈弁狭窄症
  • 大動脈弁閉鎖不全症

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この過去問の解説 (3件)

01

心臓にある4つの弁が、加齢・感染症・外傷・先天的などの問題により正常に機能せず、心臓のポンプ機能に支障をきたした状態が心臓弁膜症です。

選択肢1. 僧帽弁狭窄症

僧帽弁口が何らかの原因で狭窄し、拡張期に左房から左室への血液流入が障害される状態です。労作時呼吸苦や咳嗽が出現します。  

選択肢2. 僧帽弁閉鎖不全症

収縮期に僧帽弁が完全に閉鎖しないため、左室から左房へ血液の逆流が生じる状態です。疲労感、労作時呼吸苦、起坐呼吸が生じます。

選択肢3. 大動脈弁狭窄症

何らかの原因により大動脈弁口が狭窄し、左室から大動脈への駆出が障害される状態です。労作時呼吸苦、狭心症状、失神といった症状が特徴です。なので、これが正解であると考えられます。

選択肢4. 大動脈弁閉鎖不全症

何らかの原因により、拡張期に大動脈弁が完全に閉鎖しないため、大動脈から左室へ血液が逆流する状態です。急性型では起坐呼吸や夜間発作性呼吸困難、慢性型の末期では労作時呼吸困難や左心不全症状が急速に進行します。

まとめ

それぞれの弁膜症の病態を復習しておきましょう。

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02

正解は「大動脈弁狭窄症」です。

選択肢1. 僧帽弁狭窄症

間違いです。

僧帽弁狭窄症は、僧帽弁の狭窄により左心房から左心室への流れが悪くなるため、左心房が大きくなります。左心房が滞ると、右心室の負担が増大し、右心不全や労作時の呼吸困難などを生じます。また、左心房内の滞留した血液による血栓のために、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓塞栓症が起こる場合もあります。

選択肢2. 僧帽弁閉鎖不全症

間違いです。

僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁が正常に機能しない状態となるので、血液が左心室から左心房へ逆流してしまいます。

その為、左心房と左心室は大きくなり、左心房の内圧が上昇します。

逆流が軽症であれば、無症状のまま進行しますが、重症になると、心房細動や、肺うっ血、労作時の息切れなどの症状が出現します。

選択肢3. 大動脈弁狭窄症

正解です。

大動脈弁狭窄症は、大動脈弁が狭くなり、左心室からの血液の流れが悪くなります。

このため、左心室に負荷がかかり、左心室は肥大します。

この肥大した左心室は、収縮力が弱くなるので、一回拍出量が減少し、眩暈や失神、心不全などが起こります。

大動脈弁狭窄症は、加齢に伴う退行性変化によって、起こる場合も多くあります。

選択肢4. 大動脈弁閉鎖不全症

間違いです。

大動脈弁閉鎖不全症は、大動脈弁が正常に機能しないために、左心室へ血液が戻ってしまいます。

このため、左心室は拡大し、心拍出量は低下します。

慢性の場合は、長期間ほぼ無症状ですが、進行すると、労作時の呼吸困難や胸の痛みなど訴えます。

急性の場合には、左心不全や、肺水腫などの症状が出現します。

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03

正解は 大動脈弁狭窄症です。

選択肢3. 大動脈弁狭窄症

大動脈弁狭窄症は何らかの原因により大動脈弁口が狭窄し、左室から大動脈への駆出が障害される状態を言います。

慢性心臓弁膜疾患の約1/4を占めていて、成人動脈弁狭窄症患者の約80%が男性と性差があります。

病態生理としては色々ありますが、冠動脈に動脈硬化による狭窄がなくても心筋虚血が生じやすくなります。

左室心筋の拡大による酸素需要の増加と心筋内圧上昇による心筋虚血の状態が生じやすいことが原因の一つとなります。

症状は①労作時呼吸苦②狭心症状③失神が3つの大きな特徴です。

それらの発生機序は以下のとおりです。

①労作時呼吸苦:求心性に肥厚した左心室が拡張不全になり、拡張末期の左室圧、さらには左房圧が上昇します。その結果肺うっ血が生じるための症状となります。

②狭心症状:後期に出現し、心筋の酸素需要増加と酸素供給量不足の不均等から出現します。狭心痛は重症大動脈弁狭窄症患者では冠動脈疾患が軽度でもみられます。

③失神:動脈圧の低下から生じます。心拍出量が増加しないまま労作時に見られる骨格筋への血流増加がその原因と考えられます。心拍出量の突然の低下が不整脈を生じさせている可能性もあります。

診断では、心電図の特徴を押さえておくといいと思います。

まとめ

この問題の解き方としては、まず失神がどのような状態なのかを理解しておけば、閉鎖不全を除外することができます。

その上で心臓の構造を理解し把握しておけば僧帽弁は除外でき、大動脈弁狭窄症が正解と導くことができます。

もちろん疾患概要を理解しておくことが重要となりますが、生理学・解剖学を頭に入れておくことでより深く理解を深めることができます。

循環器疾患は情報量が多く、出題率も高いのですが、循環器系の機能構造等と一緒に覚えていけるといいと思います。頑張りましょう!

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