あん摩マッサージ指圧師の過去問
第30回(2022年)
午前 問71

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第30回(2022年) 午前 問71 (訂正依頼・報告はこちら)

第6胸髄節残存高位の脊髄損傷完全麻痺患者について正しいのはどれか。
  • 横隔膜麻痺がみられる。
  • 排便障害がみられる。
  • 下肢の痙縮はみられない。
  • 両松葉杖で実用歩行が可能である。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正解は 排便障害がみられる。 です。

脊髄損傷の症状を呈する領域はデルマトームやミオトームに従います。

完全脊髄損傷では、損傷高位より下の脊髄が支配する全領域で症状が現れているため、損傷高位は残存する機能の最尾側の高位をさします。

つまり、今回の問題では

第6胸椎(T6)髄節残存高位の脊髄損傷完全麻痺患者第7胸椎髄節以下の障害がある

ということになります。

T6は肩関節内転・肘関節屈曲、回内・手関節背屈が残存するため、車椅子での駆動が可能などの機能的予後があります。

☆排尿障害は下腹神経がT11〜L2・骨盤神経と陰部神経はS2〜S4が脊髄由来であるため、これらより高位の脊髄損傷では膀胱直腸障害が見られます。

他にも運動麻痺や感覚障害により褥瘡を起こしやすいため、注意が必要となります。

*その他覚えるべき要点のレベル

・呼吸器障害:横隔膜を支配する横隔神経はC3〜C5に由来され、これより高位の脊髄損傷では自発呼吸が著名に損傷されます。(呼吸の障害が出るのはC4以上)

・循環器障害:心臓壁に分布している交換神経はT1〜T4に由来します。これより上位の脊髄損傷では副交感神経支配となるため、神経原性ショックを呈します。また、迷走神経反射による突然の心停止をきたすこともあります。

まとめ

ややこしく、覚えることが多い部分ではありますが、問題出題率は高いため覚えておきましょう。

参考になった数1

02

脊髄損傷では、損傷部以下の筋の麻痺や、表在感覚・深部感覚の障害、損傷レベル以下の反射の消失などが生じます。

選択肢1. 横隔膜麻痺がみられる。

第3頚髄以上の上位頚髄損傷の完全麻痺では横隔神経が麻痺し、自発呼吸が消失するので人工呼吸器が必要となります。

選択肢2. 排便障害がみられる。

第2~第4仙髄に膀胱直腸の脊髄中枢がありますので、これが正解であると考えられます。

選択肢3. 下肢の痙縮はみられない。

損傷部位が胸髄では両側の下肢麻痺が起こります。弛緩性麻痺ののち、数か月で痙縮が生じます。 

選択肢4. 両松葉杖で実用歩行が可能である。

第3腰髄以下の損傷では、装具を使った実用歩行が可能となります。
 

まとめ

脊髄損傷の高位と残存筋、運動レベル、到達ADLは非常に重要ですので、しっかり覚えましょう。

参考になった数0

03

脊髄損傷の完全麻痺では、

・C3以上の頚髄損傷で、呼吸停止

・C4~C8頚髄損傷で、両側上肢・両側下肢麻痺

・T1~L3胸髄、腰髄損傷で、両側下肢麻痺

・L4以下、腰髄麻痺で、両側下腿麻痺

が起こります。

選択肢1. 横隔膜麻痺がみられる。

間違いです。

呼吸が停止するのは、C3以上の頚髄損傷で起こります。

選択肢2. 排便障害がみられる。

正解です。

脊髄損傷では、排便排尿障害は、損傷の程度によりますが、急性期に好発します。

完全麻痺の場合は、排便排尿障害は脊髄損傷患者のほとんどにみられます。

選択肢3. 下肢の痙縮はみられない。

間違いです。

L3腰髄損傷以上の完全麻痺では、下肢の痙縮はみられます。

選択肢4. 両松葉杖で実用歩行が可能である。

間違いです。

両松葉杖での歩行が可能なのは、L4以下の腰髄損傷の場合になります。

参考になった数0