問題
「25歳の女性。1か月前から食事制限による減量を始めたところ、疲れやすくなり、手足がだるく、冷えるようになった。」
食事制限をしていること、
疲れやすく、手足の冷えがあることに注目します。
肝気鬱結とは、肝の疏泄機能が失調し、
気の流れが鬱滞した状態です。
情緒不安定、胸苦しさや食欲不振などがみられます。
脾陽虚とは、脾の陽気が不足し、冷感を伴っている状態です。
食事制限をしていることから、脾の機能が低下し、
疲れやすく、手足のだるさと冷えの原因となっていることが
うかがわれますので、
これが正解であると考えられます。
肺気虚は、肺の気が不足し、
呼吸機能の減退や抵抗力の低下がみられる状態です。
咳や痰、また風邪をひきやすくなるなどの症状がみられます。
腎陰虚は、腎の陰液が不足している状態です。
相対的に陽が亢進しますので、
熱の症状である体熱感やほてり、口渇などがみられます。
臓腑の生理をふまえて陰陽や気血の変化を弁証する方法は、
臓腑弁証といいます。
正解は「脾陽虚」です。
間違いです。
肝気鬱結とは、イライラしたり、憂鬱、ため息が出るなど、精神的なストレスによる症状をいいます。
女性では、生理痛や生理不順などの症状も含まれます。
正解です。
脾陽虚とは、脾気虚の症状に加えて、冷えの症状が伴います。
脾気虚とは、食が少なく、腹が張り、泥状の便などの症状がでます。
脾気が不足するため、栄養を取り込めなくなり、むくみがでたり、力が乏しくなったり、疲労しやすくなります。
間違いです。
肺気虚とは、肺から取り込める気が不足している状態をいいます。
咳や、息切れ、疲労感、無気力などの症状が出て、顔色が淡白となり、免疫力が低下します。
間違いです。
腎陰虚とは、腎の陰液不足によるもので、腰痛や、下肢の弱りなどの腎虚症状のほかに、
のぼせや、手足の火照り、不眠や多夢などの熱証もみられます。
正解は 脾陽虚。です。
通常飲食物を摂取すると脾胃の働きにより水穀から水穀の精(後天の精)へと変化し、腎に貯えられて腎精を補充したり、気血へ化生したりします。
今回の症例のように食事制限を設けることで、水穀の精が不足します。
水穀の精が不足することで、一番最初に水穀を受け入れ運化・昇清する働きを持つ脾の気が不足した脾気虚状態となります。
また長期間の脾気虚状態は脾の陽気が不足した虚寒状態となり、脾陽虚となっていきます。
疲れやすさと手足のだるさは脾気虚の症状で、冷えるようになったのは脾陽虚の状態となります。
またこの状態が続いていくと、相克関係で腎に影響が及んでいき五更泄瀉という症状が出てくることがあります。
押さえておきましょう。