あん摩マッサージ指圧師の過去問
第30回(2022年)
午後 問32

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第30回(2022年) 午後 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文で示す症例で、症状の再現が最もみられる徒手検査法はどれか。
「52歳の男性。主訴は右大腸兪あたりの腰痛。腰を反らすと同側の胞肓から環跳にかけて放散痛があるが、承扶以下の下肢のしびれはない。」
  • SLR テスト
  • ケンプテスト
  • パトリックテスト
  • フライバーグテスト

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この過去問の解説 (3件)

01

大腸兪は、L4・L5棘突起間の外方1寸5分


胞肓は、S2下外方3寸


環跳は、大転子から仙骨裂孔を結んだ線の1/3
仙骨裂孔とは、S4・5の、左右に割れている部分で、硬膜外腔注射のポイントでもあります。


承扶は、大体後部の中線と殿溝の交点です。

 

これらの経穴上の症状から、椎間関節の機能障害や中殿筋の筋筋膜性疼痛も考えられますが、

腰を反らすと、臀部への放散痛が出るということから、検査法と一致するものは、ケンプテストとなります。

選択肢1. SLR テスト

SLRテストは、仰臥位にて、足を伸ばしたまま、片方の下肢を屈曲させて、放散痛が出るかをみるテストです。椎間板ヘルニアのテスト法になります。
 

選択肢2. ケンプテスト

正解です。

ケンプテストは、立位にて、腰部を回旋しながら側屈、伸展する形で少し反らせることで、坐骨神経の走行上に疼痛がでるかをみるテスト法です。

選択肢3. パトリックテスト

パトリックテストは、仰臥位にて、片方の膝関節を屈曲させ、足首を反対側の大腿部の上部に乗せて、ちょうど4の字の形にしたときに、股関節の疼痛の誘発をみます。股関節疾患のテスト法です。

選択肢4. フライバーグテスト

フライバーグテストは、仰臥位にて、股関節を屈曲、内転、内旋し、臀部に疼痛が出るかをみます。
梨状筋症候群のテスト法です。

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02

正解はケンプテストです。

大腸兪は、

第4・第5腰椎棘突起間の外1寸5分に取りますので、

腰痛の部位は、第4・5腰椎であることがわかります。

胞盲は、

次髎の高さで、

正中仙骨稜第2仙椎棘突起部の下外方3寸に取ります。

環跳は、

仙骨裂孔と大転子の頂点とを結ぶ線を3等分し、

大転子の頂点から3分の1のところに取ります。

以上より、

設問では、大腸兪あたりの腰痛、

腰を反らしたときの胞盲から環跳にかけての放散痛が

主訴として挙げられていますので、

腰椎や仙骨部に何らかの異常があることが考えられます。

さらに、

殿溝の中央に取る承扶以下の下肢のしびれがないことから、

腰椎の異常がある可能性が考えられます。

選択肢1. SLR テスト

×

S L Rテストは、下肢伸展挙上テストとも呼ばれ、

坐骨神経痛と股関節痛との判別に用いられます。

選択肢2. ケンプテスト

ケンプテストは、

腰部の椎間板の異常による神経根の圧迫位置を調べるテストです。

このテストを実施した場合に、

症状の再現が最もみられると考えられます。

選択肢3. パトリックテスト

×

パトリックテストは、股関節や仙腸関節の評価に用いられています。

選択肢4. フライバーグテスト

×

フライバーグテストは、梨状筋症候群の有無を調べるテストです。

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03

まず、症例に出てきた経穴の位置を確認しましょう。

大腸兪→L4棘突起下縁、後正中線の外方1寸5分

胞肓→S2仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方3寸

環跳→殿部、大転子の頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子頂点から3分の1

承扶→大腿後面の中線と殿溝との交点にとる

これら経穴の位置をデルマトームに照らし合わせると、

腰椎と仙骨部に異常があると予測がつきます。

しかし、承扶以下のしびれはないとのことから、仙骨部は除外されます。

選択肢の中で、椎間関節異常や腰椎神経根圧迫の有無を鑑別する検査法は、

ケンプテストだけなので、2が正解となります。

他の選択肢については、次の通りです。

1.SLRテスト→下肢挙上テストとも言います。

腰部神経(坐骨神経)の神経根症状の有無を鑑別する際、行う検査法です。

3.パトリックテスト→股関節の変形性疾患、仙腸関節の機能障害、

又、炎症反応がないか鑑別するときに用いられるテストです。

4.フライバーグテスト→梨状筋症候群が疑われる際、行う検査法です。

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