問題
「52歳の男性。主訴は右大腸兪あたりの腰痛。腰を反らすと同側の胞肓から環跳にかけて放散痛があるが、承扶以下の下肢のしびれはない。」
正解はケンプテストです。
大腸兪は、
第4・第5腰椎棘突起間の外1寸5分に取りますので、
腰痛の部位は、第4・5腰椎であることがわかります。
胞盲は、
次髎の高さで、
正中仙骨稜第2仙椎棘突起部の下外方3寸に取ります。
環跳は、
仙骨裂孔と大転子の頂点とを結ぶ線を3等分し、
大転子の頂点から3分の1のところに取ります。
以上より、
設問では、大腸兪あたりの腰痛、
腰を反らしたときの胞盲から環跳にかけての放散痛が
主訴として挙げられていますので、
腰椎や仙骨部に何らかの異常があることが考えられます。
さらに、
殿溝の中央に取る承扶以下の下肢のしびれがないことから、
腰椎の異常がある可能性が考えられます。
×
S L Rテストは、下肢伸展挙上テストとも呼ばれ、
坐骨神経痛と股関節痛との判別に用いられます。
○
ケンプテストは、
腰部の椎間板の異常による神経根の圧迫位置を調べるテストです。
このテストを実施した場合に、
症状の再現が最もみられると考えられます。
×
パトリックテストは、股関節や仙腸関節の評価に用いられています。
×
フライバーグテストは、梨状筋症候群の有無を調べるテストです。
まず、症例に出てきた経穴の位置を確認しましょう。
大腸兪→L4棘突起下縁、後正中線の外方1寸5分
胞肓→S2仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方3寸
環跳→殿部、大転子の頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子頂点から3分の1
承扶→大腿後面の中線と殿溝との交点にとる
これら経穴の位置をデルマトームに照らし合わせると、
腰椎と仙骨部に異常があると予測がつきます。
しかし、承扶以下のしびれはないとのことから、仙骨部は除外されます。
選択肢の中で、椎間関節異常や腰椎神経根圧迫の有無を鑑別する検査法は、
ケンプテストだけなので、2が正解となります。
他の選択肢については、次の通りです。
1.SLRテスト→下肢挙上テストとも言います。
腰部神経(坐骨神経)の神経根症状の有無を鑑別する際、行う検査法です。
3.パトリックテスト→股関節の変形性疾患、仙腸関節の機能障害、
又、炎症反応がないか鑑別するときに用いられるテストです。
4.フライバーグテスト→梨状筋症候群が疑われる際、行う検査法です。