問題
「26歳の女性。1か月前から右上腕から手指にかけてのしびれと冷感がある。電車のつり革に長時間つかまっていると症状が悪化する。ジャクソンテスト陰性、モーレイテスト陰性、ライトテスト陽性。」
正解は小胸筋です。
右上腕から手指にかけてのしびれと冷感があること、
電車のつり皮を長時間持っていると症状が悪化することから、
胸郭出口症候群が疑われます。
胸郭出口症候群は、
首から腕にかけて走行する
腕神経叢と鎖骨下動脈が圧迫されることで生じます。
なお、ジャクソンテストが陰性であることから、
事例の女性の症状の原因として、
神経根障害である可能性は低いと考えられます。
×
斜角筋は、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋と3つあり、
このうち前斜角筋と中斜角筋との間は、
胸郭出口における絞扼部位の一つとされています。
モーレイテストが陰性であったことから、
斜角筋による神経の圧迫はないものと考えられます。
○
小胸筋と肩甲骨の間は、
胸郭出口における狭窄部位の一つとされています。
ライトテストが陽性であることから、
小胸筋の痙攣などが原因として示唆されます。
以上より、小胸筋は施術対象となると考えられます。
×
僧帽筋は、背部にある筋で、
胸郭出口症候群との関連性は低いと考えられます。
×
上腕筋は、上腕にある筋で、
胸郭出口症候群との関連性は低いと考えられます。
胸郭出口症候群の症例です。
胸郭出口には、斜角筋、鎖骨、第1肋骨、頚肋で物理的に狭い空間があります。
こうした場所で、腕神経叢・鎖骨下動静脈が圧迫されることで、
胸郭出口症候群を発症します。
ライトテスト陽性の場合、小胸筋の緊張などによる過外転症候群が疑われます。
よって、正解は2.小胸筋です。
他の選択肢については次の通りです。
1.斜角筋→モーレイテスト陽性であれば、施術対象になります。
3.4.胸郭出口症候群の直接的な原因となるケースを考えにくいため、
最も適切な施術対象から外れます。
【補足】
ジャクソンテストは、椎間関節障害や神経根障害を疑う際に、行う検査です。