問題
「63歳の男性。夜になると手足がほてり、ひどくなると頰のほてりもみられる。最近、物忘れが多くなり、夢をよくみるようになった。舌質は紅、無苔、脈は細数を認める。」
手足のほてり、頬のほてりは五心煩熱があり陰虚証が疑われます。また、物忘れが多い、夢をよくみるは心の病証でみられます。
舌質紅、無苔、脈が細数から熱証、陰虚が考えられます。
肝の病証では気が昇ると怒りっぽくなったり、前胸部の不快感、脈が弦となったりする特徴がみられます。
五心煩熱、物忘れが多い、夢をよくみるなどの所見からこれが正解であると考えられます。
脾の病証では、運化が失調することで消化・吸収が阻害されて食欲不振を起こしたり、息切れや倦怠感などが生じます。
肺の病証では、宣発が失調して津液と衛気を体表に到達させることが出来ないと発汗異常や鼻閉などが起こり、粛降が失調すると咳嗽、深く吸い込むことができないなどの症状が生じます。
五臓の機能について振り返っておきましょう。
肝:蔵血、疏泄、関連領域として目・筋・爪・魂・怒・酸があげられます。
心:血を主る、神志を主る、関連領域として舌、汗、血脈、神、喜、苦などがあげられます。
脾:運化、統血、昇清、関連領域として口、肌肉、意、思、甘などがあげられます。
肺:宣発・粛降、主気(気を主る)、関連領域として鼻、皮、魄、憂、辛などがあげられます。
腎:蔵精、主水、納気、関連領域として骨、耳、唾、志、恐、鹹などがあげられます。
「63歳の男性。夜になると手足がほてり、ひどくなると頰のほてりもみられる。最近、物忘れが多くなり、夢をよくみるようになった。舌質は紅、無苔、脈は細数を認める。」
「手足のほてり」から、陰虚、
これに加えて「頬のほてり」ということから、心陰虚、
「物忘れが多い」、「多夢」から、心の病証
舌質紅から、熱証
無苔から、気虚
細脈から、陰虚
と、読みとれます。
以上のことから、心陰虚証と疑えるので、
心を選びます。
症例の男性は、夜間の手足や頬のほてりがあり、
物忘れが多く、夢をよくみるようになっていました。
舌質は紅、無苔、脈は細数を認めることから、
熱証、陰虚であることが示唆されます
肝は、血を蔵し、疏泄や筋を主り、
目に開蜴します。
心は、血脈と心志を主ります。
症例の患者の証より、
心の障害が疑われますので、
これが正解であると考えられます。
脾は、運化や昇清、統血を主ります。
肺は、気を主り、呼吸を主り、
宣発と粛降を主ります。
また、百脈をあつめ、治節を主り、
通調水道作用を持っています。
臓腑の機能について振り返っておきましょう。