あん摩マッサージ指圧師 過去問
第32回(2024年)
問79 (午前 問79)

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第32回(2024年) 問79(午前 問79) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文で示す症例について、問いに答えよ。
「70歳の男性。胃全摘手術後3年。労作時息切れを訴えるようになった。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。鉄剤は投与されている。」

最も考えられる検査所見はどれか。
  • 小球性低色素性貧血
  • 大球性正色素性貧血
  • 正球性正色素性貧血
  • 汎血球減少

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、胃全摘手術後の貧血の原因とその特徴的な検査所見を理解することが求められます。

 

胃全摘手術はビタミンB12の吸収障害を引き起こします。

 

これにより巨赤芽球性貧血が生じることがあります。

 

患者の症状を基に、どのような貧血が起こりうるかを判断できるようになりましょう。

選択肢1. 小球性低色素性貧血

小球性低色素性貧血は、主に鉄欠乏性貧血で見られる検査所見です。

 

鉄欠乏性貧血は、鉄の不足でヘモグロビンの合成が不十分になるため、小さく色の薄い赤血球が形成されます。

 

この症例では、鉄剤投与に効果を示さないことから、この貧血は考えにくいです。

 

よって不正解です。

選択肢2. 大球性正色素性貧血

大球性正色素性貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏によって生じる巨赤芽球性貧血の特徴です。

 

胃全摘手術を受けた患者では、内因子の欠乏によりビタミンB12の吸収が障害されます。

 

その結果、巨赤芽球性貧血が生じることがあります。

 

この貧血が労作時息切れや眼瞼結膜の蒼白といった症状につながります。

 

この選択肢が正解です。

選択肢3. 正球性正色素性貧血

正球性正色素性貧血は、急性出血や溶血性貧血で見られます。

 

この症例の所見は以下の通りでした。

 

・出血傾向

・黄疸がない

・鉄剤投与の効果が見られない

 

これらの情報より正球性正色素性貧血の可能性は低いと考えられます。

 

よって不正解です。

選択肢4. 汎血球減少

汎血球減少は、すべての血球成分(赤血球、白血球、血小板)の減少を意味します。

 

骨髄の異常や薬剤性の影響などが原因として考えられます。

 

今回の症例では鉄欠乏やビタミンB12欠乏による貧血が主な問題となっています。

 

この選択肢は症状とは一致しません。

 

よって不正解です。

まとめ

この症例では、胃全摘手術後の患者で見られる労作時息切れと眼瞼結膜の蒼白が出現しています。

 

この症状からビタミンB12の吸収障害による巨赤芽球性貧血が最も可能性が高いと考えられます。

 

この貧血は、大球性正色素性貧血として検査所見に反映されます。

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02

胃全摘手術後3年になる70歳の男性は、

労作時息切れを訴えるようになりました。

 

眼瞼結膜は蒼白で、

出血傾向、黄疸、浮腫はありません。

 

鉄剤が投与されており、

貧血であることが疑われます。

選択肢1. 小球性低色素性貧血

小球性低色素性貧血は、

赤血球の大きさが正常よりも小さく、

ヘモグロビンの材料である鉄が

欠乏している際に多くみられます。

 

胃全摘後は、

胃液の減少により

鉄の吸収が妨げられることから

貧血を起こしやすくなっていますが、

この貧血は術後比較的早期にみられると

いわれています。

 

この男性が手術を受けたのは

3年前であり、

小球性低色素性貧血である可能性は

低いものと考えられます。

選択肢2. 大球性正色素性貧血

大球性正色素性貧血は、

赤血球の大きさが正常よりも大きく、

ビタミンB12欠乏などにより見られます。

 

胃全摘後は、胃液のほか

内因子も分泌されなくなることから

ビタミンB12が不足し、

貧血を起こす原因となります。

 

術後しばらくは、肝臓に蓄積していた

ビタミンB12を消費するため、

実際に症状が出現するのは、

手術を受けてから数年後となります。

 

以上より、この男性の検査所見として

最も可能性が高いといえますので、

これが正解であると考えられます。

選択肢3. 正球性正色素性貧血

正球性正色素性貧血は、

赤血球の大きさが中程度で

ヘモグロビンの量にも大きな変化がない

貧血です。

 

骨髄の機能低下や急性の出血などが

その原因となりますので、

正球性正色素性貧血である可能性は

低いものと考えられます。

選択肢4. 汎血球減少

汎血球減少は、血液内の赤血球だけでなく、

白血球や血小板も減少している状態です。

 

その原因は、骨髄の機能低下などですので、

汎血球減少である可能性は低いものと

考えられます。

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03

胃全摘を行うと、内因子が欠乏しビタミンB12の吸収も低下するので、3~6年で巨赤芽球性貧血を呈するとされています。

選択肢1. 小球性低色素性貧血

代表的な小球性低色素性貧血として鉄欠乏性貧血が挙げられます。一般的な貧血症状以外にスプーン状爪、舌炎、口角炎、嚥下障害などがみられることがあります。

選択肢2. 大球性正色素性貧血

巨赤芽球性貧血は大球性正色素性貧血ですので、これが正解であると考えられます。

選択肢3. 正球性正色素性貧血

正球性正色素性貧血の代表的な疾患として溶血性貧血があります。脾腫や黄疸が現れます。

選択肢4. 汎血球減少

汎血球減少症が起こる貧血には再生不良性貧血が挙げられます。貧血、易感染性、出血傾向などの症状が現れます。

まとめ

巨赤芽球性貧血には、ビタミンB12欠乏によるものと葉酸欠乏によるものとがあります。養蚕欠乏症では貧血症状と消化器症状がみられ、ビタミンB12欠乏症ではさらに神経症状が加わります。

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