あん摩マッサージ指圧師の過去問
第32回(2024年)
午後 問32

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第32回(2024年) 午後 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文で示す筋筋膜性の疼痛に対する罹患局所への施術を行う場合、対象となる筋として適切なのはどれか。
「体幹の前屈時に右背部痛がある。腸骨稜から第10肋骨にかけて筋緊張や硬結を認める。抵抗を加えて右肩関節の伸展を行わせると痛みが増悪する。」
  • 僧帽筋
  • 広背筋
  • 腰方形筋
  • 腸腰筋

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この過去問の解説 (3件)

01

筋の付着部位や作用と照らし合わせて、疼痛を引き起こしている筋肉を特定します。

選択肢1. 僧帽筋

僧帽筋は,起始が外後頭隆起、項靭帯、全胸椎棘突起+第7頸椎であり、停止が肩甲棘、肩峰、鎖骨外側1/3です。作用は肩甲骨と鎖骨の挙上、肩甲骨を内方に引き固定、肩甲骨を回転し、上腕の挙上の補助などです。

選択肢2. 広背筋

広背筋は、起始が第7胸椎以下の棘突起、停止が小結節稜です。作用は肩関節の内転、伸展、内旋、水平外転です。筋肉の付着部位が症状の出現箇所と近く、伸展の作用もあるので、これが正解であると考えられます。

選択肢3. 腰方形筋

腰方形筋は、起始が腸骨稜、停止が第12肋骨で、作用は腰椎の側屈、腰椎の後屈です。

選択肢4. 腸腰筋

腸腰筋は、起始が腸骨窩、全腰椎の肋骨突起、第12胸椎~第4腰椎の椎体と椎間円板であり、停止は小転子です。作用は股関節の屈曲、下肢を固定した状態で上半身の前屈です。
 

まとめ

広背筋は背部に広く付着している筋肉です。背中を手をかいたり、水泳のクロールなどの際に使われます。

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02

それぞれの筋肉の起始と停止、そして作用を覚えておく必要があります。

選択肢1. 僧帽筋

僧帽筋は上部、中部、下部に線維が分かれています。

上部:起始)後頭骨上項線、外後頭隆起、項靭帯を介して頚椎の棘突起

   停止)鎖骨外方1/3

中部:起始)第7頚椎、第1~3っ胸椎棘突起、棘上靭帯

   停止)肩峰、肩甲棘

下部:起始)第4胸椎棘突起、棘上靭帯

   停止)肩甲棘三角

以上からわかるように

体幹を前屈しても腸骨稜から第10肋骨付近に痛みを発生させるのが僧帽筋でないことがわかります。

選択肢2. 広背筋

広背筋は

第6胸椎~第5腰椎にかけての棘突起、肩甲骨下角、下部肋骨(第9もしくは第10)、腸骨稜後方、正中仙骨稜

から起始し

上腕小結節稜に停止します。

 

また肩関節の動きに関与し

内転、伸展、内旋、水平外転へ作用します。

 

設問の症状部位にも当てはまっており

正解であることがわかります。

選択肢3. 腰方形筋

腰方形筋の起始は腸骨稜

停止は第12肋骨、第1~第4腰椎の肋骨突起

となります。

作用は体幹の側屈と伸展です。

 

よって右肩関節への抵抗では痛みを発生させないことがわかります。

選択肢4. 腸腰筋

腸腰筋は大腰筋と腸骨筋の総称です。

起始は腸骨内側面、仙骨底部、第12胸椎椎体側面、第1~第5腰椎

停止は大腿骨小転子とすぐ下の大腿骨幹部

作用は股関節の屈曲と外旋です。

 

以上から、設問の症状に一致しないことがわかります。

まとめ

基本的な解剖学として

起始、停止、作用は必ず覚えておくようにしましょう。

そうすると、どのような動きでどこに痛みが発生するのか絞って考えることができます。

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03

この問題は、筋筋膜性腰痛に対する適切な施術対象筋を特定することを求めています。

症例は、体幹の前屈時に右背部痛があり、特定の動作で痛みが増悪するという状況が示されています。

疼痛部位から痛みの原因筋肉を推察するため、筋肉の起始・停止位置を正しく理解できていることが重要になります。

選択肢1. 僧帽筋

僧帽筋は、背部全体に広がる大きな筋肉で肩甲骨や上肢の運動に作用します。

腸骨稜から第10肋骨にかけて付着していないので、この選択肢は不正解です。

 

選択肢2. 広背筋

広背筋は、背部から上腕骨にかけて広がる大きな筋肉で、上腕の動きや体幹の前屈に関与します。

腸骨稜から第10肋骨にかけて筋肉が走行しており、緊張や硬結することで痛みの増悪に関連します。

したがって、この選択肢が正解です。

選択肢3. 腰方形筋

腰方形筋は、腰部の深部に位置して腰椎の安定性や側屈に関与します。

しかし、腰方形筋は上肢に付着していないため、右肩関節の伸展運動とは関連がありません。

そのため、この選択肢は不正解です。

 

選択肢4. 腸腰筋

腸腰筋は、腰部から大腿骨にかけて広がる深部の筋肉で、股関節の屈曲に作用します。

体幹の前屈には関与しますが、肩関節の動きによる痛みの増悪とは直接的な関連がありません。

したがって、この選択肢も不正解です。

まとめ

この問題では、体幹の前屈時に右背部痛がある症例に対して、適切な施術対象筋を特定する必要がありました。

正解は「広背筋」であり、この筋肉は腸骨稜から第10肋骨にかけての筋緊張や硬結、上腕骨にも付着するため、肩関節の伸展に伴う痛みの増悪にも関連しています。


正確な診断と施術を行うためには、症状と関連する筋肉の解剖学的知識をしっかりと理解しておくことが重要です。

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