あん摩マッサージ指圧師の過去問
第32回(2024年)
午後 問65

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問題

あん摩マッサージ指圧師国家試験 第32回(2024年) 午後 問65 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文で示す症例について、問いに答えよ。
「46歳の女性。右股関節痛がある。臼蓋形成不全による変形性股関節症と診断され、股関節外転筋の筋力低下がある。」

患者が呈する異常歩行はどれか。
  • 歩隔が広い。
  • 膝を高く上げる。
  • 右下肢を弧を描くように回す。
  • 右立脚期に左側の骨盤が下がる。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、臼蓋形成不全による変形性股関節症の患者が示す異常歩行を選ぶことが求められます。

 

変形性股関節症では股関節外転筋の筋力低下が生じます。

 

股関節外転筋力の低下がどのような歩行パターンになるか考えましょう。

選択肢1. 歩隔が広い。

歩隔が広い歩行は、バランスを取るために行われます。

 

バランス能力低下の患者に見られるので、股関節外転筋の筋力低下による異常歩行には該当しません。


よって、この選択肢は不適切です。

選択肢2. 膝を高く上げる。

膝を高く上げる歩行は、足を持ち上げることで足の引っかかりを避けるためのパターンです。

 

鶏歩ともいわれて腓骨神経麻痺の患者に見られます。


よって、この選択肢は不適切です。

選択肢3. 右下肢を弧を描くように回す。

右下肢を弧を描くように回す歩行は、股関節の屈曲制限や膝関節の伸展制限などで見られる歩行パターンです。

 

股関節外転筋の筋力低下とは関係がありません。

 

よって、この選択肢は不適切です。

選択肢4. 右立脚期に左側の骨盤が下がる。

右立脚期に左側の骨盤が下がる歩行はトレンデレンブルク徴候といわれます。

 

原因は股関節外転筋の筋力低下です。

 

臼蓋形成不全による変形性股関節症でトレンデレンブルク徴候がよく見られます。

 

この選択肢が適切です。

まとめ

今回の症例では、臼蓋形成不全による変形性股関節症で股関節外転筋の筋力低下が生じています。

 

そのため、歩行の右立脚期に骨盤を水平に保つことができず、左側の骨盤が下がるトレンデレンブルク徴候が見られます。

 

このことから、正しい選択肢は「右立脚期に左側の骨盤が下がる」です。

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02

歩行を観察する際には、姿勢、腕の位置や動き、足の運び方と円滑さ、歩幅、下肢の開き、気息性、直線歩行、急停止、急旋回などをみます。
 

選択肢1. 歩隔が広い。

失調性疾患では、円滑な運動ができないため歩行がつたなく不確実な状態となります。両下肢を広く開き、足元を視覚で確認しながら足を高く上げ歩行します。失調性歩行と呼ばれます。

選択肢2. 膝を高く上げる。

腓骨神経麻痺による尖足では、足を高く上げて足先をひきずるように歩行します。鶏歩と呼ばれます。

選択肢3. 右下肢を弧を描くように回す。

脳血管障害などによる片麻痺では。麻痺側の下肢は硬直してぎこちなく動き、下肢の挙上の際には股関節を中心とし外側に半円を描くように外転・分回し運動をします。痙性片麻痺歩行と呼ばれます。

選択肢4. 右立脚期に左側の骨盤が下がる。

股関節外転筋の筋力低下では、股関節が不安定となり、患側下肢で起立した際に健側骨盤が下がります。重心のバランスをとるために患側を低下させながら歩行します。なので、これが正解であると考えられます。トレンデレンブルグ歩行と呼ばれます。

まとめ

他におさえておきべき異常歩行として
突進歩行:パーキンソン病でみられます。
はさみ脚歩行:脳血管障害による対麻痺でみられます。
動揺性歩行:進行性筋ジストロフィー、多発筋炎、近位型脊髄性筋萎縮症などによる下肢の筋力低下でみられます。
などがあります。

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