FP2級の過去問
2024年1月
学科 問1

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問題

FP技能検定2級 2024年1月 学科 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、関連法規に照らし、最も不適切なものはどれか。
  • 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、顧客の求めに応じ、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した。
  • 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、個人事業主である顧客からの依頼に基づき、当該顧客が提出すべき確定申告書を有償で代理作成した。
  • 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。
  • 司法書士の登録を受けていないFPのDさんは、顧客から将来判断能力が不十分になった場合の財産の管理を依頼され、有償で当該顧客の任意後見受任者となった。

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この過去問の解説 (3件)

01

毎回必ず出題される、FPの倫理規定・関連法規に関する問題です。

各種の士業が独占している事業の内容を把握しておくことで、FPの実務にも直接役立ちます。

特に税理士・司法書士・保険代理業務については要チェックです。

選択肢1. 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、顧客の求めに応じ、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した。

適切

問題文のような年金の受給要件・請求方法は公開されているものでもあり、FPが無償で説明することに妨げはありません。

ただし、社会保険労務士の独占業務である「申請書類の作成」「申告の代理」などを行うことはFPにはできません。

選択肢2. 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、個人事業主である顧客からの依頼に基づき、当該顧客が提出すべき確定申告書を有償で代理作成した。

不適切

問題文のように確定申告書を代理作成」することは、税理士の独占業務となります。無償で受けても不可です。

また、個別の税務相談を受けることも税理士にのみ認められていますので、FPとしては一般的な税制の説明などにとどめる必要があります。

選択肢3. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。

適切

問題文のような説明については、FPの業務の範疇です。

金融商品取引業者は「投資顧問契約に基づく助言や代理」を行えます。

選択肢4. 司法書士の登録を受けていないFPのDさんは、顧客から将来判断能力が不十分になった場合の財産の管理を依頼され、有償で当該顧客の任意後見受任者となった。

適切

任意後見人になることに、特殊な資格は必要ないことに注意しましょう。

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02

FPとして行うことができる業務とできない業務に関する問題です。

選択肢1. 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、顧客の求めに応じ、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した。

適切な選択肢

年金制度に関する説明や受給見込額の計算は、誰でも行うことができます
 

社会保険労務士の独占業務は、申請書類の作成提出手続きの代行帳簿書類の作成になります。

選択肢2. 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、個人事業主である顧客からの依頼に基づき、当該顧客が提出すべき確定申告書を有償で代理作成した。

不適切な選択肢

確定申告書の作成は本人税理士のみが行うことができます。

税理士の独占業務として具体的な税務相談税務書類の作成税務代理があります。

選択肢3. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。

適切な選択肢

iDeCoなどの一般的な金融商品の説明は誰でも行うことができます

選択肢4. 司法書士の登録を受けていないFPのDさんは、顧客から将来判断能力が不十分になった場合の財産の管理を依頼され、有償で当該顧客の任意後見受任者となった。

適切な選択肢

任意後見人の受任者となるのに特別な資格は必要ありません。

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03

ファイナンシャル・プランナー(FP)が顧客に提供するアドバイスやサービスは、様々な専門分野にまたがります。

しかし、FPが提供できるサービスの範囲は、それぞれの専門分野における資格や法律によって制限されています。

ここでは、関連法規に照らして最も不適切な行為を選ぶ問題について解説します。

選択肢1. 社会保険労務士の登録を受けていないFPのAさんは、顧客の求めに応じ、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した。

適切

社会保険労務士の登録を受けていないFPが老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を無償で説明した行為は、社会保険労務士法に抵触しないため、適切な行為です。

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給要件や請求方法を説明する行為は社会保険労務士の独占業務には含まれず、FPでも行うことができます。

 

社会保険労務士による独占業務は、主に次の3つのカテゴリーに分類されます。

 

①行政機関に対する特定書類の提出代行業務: 労働社会保険諸法令に基づく申請書、届出書、報告書などの作成と提出手続きを代行します。

②特定帳簿書類の作成業務: 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(例: 就業規則、賃金規程)を作成します。

③人事労務に関する相談業務: 労働や社会保険に関する法令に基づく相談に応じ、アドバイスを提供します。ただし、この業務は独占業務とはされていません。

 

また、特定社会保険労務士は、特定の研修と試験に合格することで、上記の業務に加え、個別労働関係紛争の解決手続きなどの代理業務も行うことができます。

 

社会保険労務士業務は、労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、協会けんぽなどの行政機関と関わることが多く、各種手続きに関する専門的な知識と資格が必要とされます。

FPは顧客に対して提供できるサービスの範囲を理解し、資格の有無に応じた適切な業務遂行を心掛けることが重要です。

選択肢2. 税理士の登録を受けていないFPのBさんは、個人事業主である顧客からの依頼に基づき、当該顧客が提出すべき確定申告書を有償で代理作成した。

不適切

税理士法では、税務の代理税務書類の作成税務相談を税理士の独占業務と定めています。

税理士の登録を受けていない者が税務書類を作成する行為は、法律に違反することになります。

 

税理士法第2条第1項では以下の3つの業務を税理士の独占業務としています。

 

①税務の代理: 税理士は、税務署への税金申告や税務署からの調査・処分に対する主張・陳述など、税務に関わる代理業務を行うことができます。

これには電子申告も含まれ、非税理士が他人の申告を代行することは許されません。

②税務書類の作成: 確定申告書などの税務署に提出する書類を作成する業務は税理士にしか許されていません。

専門的な知識を持つ税理士だけが正確な税務書類を提供することが許されています。

③税務相談: 納税者からの税に関する相談に応じる業務も税理士の専門領域です。

納税額の計算方法や節税対策などについて、専門的なアドバイスを提供することが認められています。

 

この選択肢のケースは、税務書類の作成に該当し、税理士登録されていないFPが確定申告書を代理作成することは、税理士法に違反する行為となります。

なお、有償無償は問いません。

FPには自身の業務範囲を正確に理解し、顧客に適切なサービスを提供する責任があります。

選択肢3. 金融商品取引業の登録を受けていないFPのCさんは、顧客からiDeCo(確定拠出年金の個人型年金)について相談を受け、iDeCoの運用商品の一般的な特徴について無償で説明した。

適切

金融商品取引業の登録を必要とする業務は、「金融商品取引法」によって規定され、金融商品の取引や投資助言など、具体的な金融サービスを提供する際に要求されます。

これには、第一種・第二種金融商品取引業、投資運用業、そして投資助言・代理業が含まれ、これらの業務を行うためには、金融庁への登録と一定の基準を満たすことが求められます。

 

しかし、iDeCoのような金融商品の一般的な性質や特徴に関する情報提供は、登録された金融商品取引業者でなくても行えます。

これは、金融商品取引業法が、具体的な取引や投資助言を対象としているため、一般的な情報提供はその範囲外であると解釈されるためです。

選択肢4. 司法書士の登録を受けていないFPのDさんは、顧客から将来判断能力が不十分になった場合の財産の管理を依頼され、有償で当該顧客の任意後見受任者となった。

適切

任意後見制度では、将来的に自己の判断能力が不十分となった際の財産管理や日常生活のサポートを目的として、事前に信頼できる個人や専門家を任意後見人として指名する契約を結ぶことができます。

この制度の特徴として、任意後見人になり得る人の範囲は非常に広く、司法書士のような専門家だけでなく、家族や友人など、委任者が信頼を置くどんな個人も選択できる点があります。

 

ただし、任意後見人を選ぶ際には注意が必要で、例えば未成年者や破産者、行方不明者、または委任者と訴訟関係にある者など、法律で定められた特定の条件を満たす人物は、任意後見人として選任されることはできません。

これらはいわゆる「任意後見人の不適格事由」と呼ばれ、これに該当する人物を任意後見人として指名した場合、任意後見契約自体の効力が発生しない可能性があります。

 

したがって、司法書士の資格を持たないFPが顧客から任意後見受任者として依頼され、有償でその役割を引き受けることは、法的に問題ありません。

まとめ

この問題では、FPが提供できるサービスの範囲が、各専門分野の法律や資格制度によってどのように制限されているかについての理解が求められます。

FPは、自身が提供できるサービスの法的範囲を把握し、顧客に対して責任を持って適切なアドバイスを提供することが求められます。

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