2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年5月
問1 (学科 問1)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2024年5月 問1(学科 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、職業倫理に照らし、最も適切なものはどれか。
  • 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。
  • 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。
  • 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。
  • 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

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この過去問の解説 (4件)

01

この問題はFPのコンプライアンスと関連法規に関する問題です。

FPは独占業務という専門資格のみ許される業務を行ってはいけません。

特に頻出である税理士法、弁護士法、社会保険労務士法、保険業法、金融商品取引法の

要点は覚えておくことをオススメします。

選択肢1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。

不適切

FPには守秘義務の遵守をしなければいけません。

顧客から得た個人情報は顧客の許可なく、第3者に提供してはいけません。

選択肢2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。

不適切

FPは顧客の利益を優先する義務があります。

顧客の立場に立ち、顧客の利益を優先して情報提供を行わなければなりません。

選択肢3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。

適切

FPは顧客に提案する際、アカウンタビリティ(説明責任)の義務を負います。

顧客に提案を行う際には顧客が理解できるように説明する必要があります。

この選択肢では投資信託のメリットのみではなく、

リスクの部分も説明されているため説明責任を果たしていると言えます。

 

選択肢4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

不適切

FPなどの金融サービスを提供する側には金融サービス提供法を守る必要があります。

この法律は顧客が金融商品において不当な損失を受けた際に、顧客を守るための法律

です。

金融販売業者などが重要事項説明などを行わずに顧客が金融商品を購入し、損失を受

けた場合には金融販売業者は損害賠償責任を負うことになります。

この選択肢では円安ドル高の傾向は変わる可能性を無視して説明しているため不適切

です。

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02

FPは顧客の情報を扱うことが多いため、高い職業倫理を持つ必要があります。

職業倫理には下記の項目が挙げられます。

 

・顧客利益の優先

・秘密主義の遵守

・説明責任(アカウンタビリティ)

選択肢1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。

顧客から預かっている確定申告書には、

生年月日や収入といった個人情報が含まれています。

本人の同意なく、第三者である不動産業者に提供することは、

あってはならないことです。

 

秘密主義の遵守が守られていないため、不適切です。

選択肢2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。

FPが手数料の多い保険を進めることは、顧客利益の優先に反する行為となります。

また、顧客の家族構成や世帯収入の確認をしていないことで、

顧客の意向に沿った商品ではない可能性が考えられます。

 

よってFPの職業倫理として外れているため、不適切です。

選択肢3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。

投資信託について、小額から投資可能であるメリットから、

元本保証がないなどのデメリットを説明することは、FPの業務上大切です。

 

一般的な情報を説明することは、許されており、回答は適切です。

選択肢4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

金融商品取引業者としての登録が無ければ、

投資に関するアドバイスは一切できません。

また「円安ドル高の傾向は絶対に変わらない」

という不確実な提供は禁止されています。

 

よって、不適切な回答です。

まとめ

FPの業務上、顧客から知り得た情報は、十分注意して扱いましょう。

またFPが説明する範囲については、税理士法や金融商品取引法なども関わっており、

抵触しないように、一般的な説明に留めることが大切です。

参考になった数1

03

職業倫理や関連法規に関する問題は頻出です。

FPとして行うことができる仕事とは何か、しっかりと覚えておきましょう。

FPは基本的に“個別的・具体的”な仕事は行うことができません

しかし、一般的な数値を用いての概算や、専門的な資格が必要のない仕事は、有償・無償関係なく行うことができます

そしてFPとしての職業倫理において、以下をしっかり覚えておきましょう。

これらが守られていない選択肢は不適切となります。

顧客利益の優先→FPは顧客の利益を最優先し、FP自身の利益を優先してはいけない。

守秘義務の遵守→FPは職務上知った情報を、顧客の同意なく第三者に教えてはいけない。

顧客に対する説明義務→FPはそれぞれの商品を販売する際、顧客が適切に意思決定ができるように、顧客が理解できるよう十分に説明をしなければならない。

コンプライアンス(法令遵守)の徹底→FPは各法律はもちろん、各種業法に違反して他業種の専門分野を侵してはならない。

選択肢1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。

不適切

 

これは守秘義務の遵守に違反します。

顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに第三者である不動産業者に提供する行為は、守秘義務の遵守に違反します。

選択肢2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。

不適切

 

これは顧客利益の優先顧客に対する説明義務に違反します。

顧客の家族性や世帯収入を確認することなく、手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めたとあります。

これはまずFPであるBさんが得る手数料が多い保険商品を勧めることは、顧客が本来負うはずのない不利益を被ることになり、顧客利益の優先に違反します。

さらに、手数料の多い保険商品について“のみ”説明することは、顧客が適切な意思決定をするために必要な情報を与えていないため、顧客に対する説明義務に違反します。

選択肢3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。

適切

 

メリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明しています。
これはメリットだけなく、デメリットもしっかり説明することで、顧客に対する説明義務をしっかりと果たしています

選択肢4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

不適切

 

これは金融商品取引法に抵触しています。

円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスをしています。

このように投資助言または代理業、投資運用業を行う際は、内閣総理大臣に金融商品取引業者の登録を受ける必要があります

今回の設問にはそのようなことは記載がないため、金融取引業者ではないFPが個別的で具体的な投資の助言や代理業などを行うことはできません

また今回にような「絶対」という断定的な表現をすることも禁止されています。

 

しかし金融商品取引業者の登録を受けていないFPでも、投資の判断となる過去の資料や一般的な前提の提供は可能です。

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04

FPとして顧客のライフプランニングを行うにあたっては、各種法令の遵守はもちろん、「顧客利益の優先」「守秘義務の遵守」「顧客に対する説明義務」などを念頭に、高い職業倫理をもって業務に臨むことが求められます。

選択肢1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。

顧客から預かった個人情報を顧客の同意なく第三者に提供する行為は、守秘義務の遵守に反する行為であり、個人情報保護法に抵触する恐れがあります。

選択肢2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。

FPとして顧客のライフプランニングを行う際には、顧客の家族構成や世帯収入、今後のライフプランなどを踏まえた上で、顧客の利益最大化に資する提案を行うことが求められています。

選択肢3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。

「投資助言・代理業」「投資運用業」を業として行う場合には内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。登録を受けていないFPは、経済情勢や金融商品などにかかる一般的な説明を行うことは可能ですが、その際には金融商品のメリットだけでなく元本割れリスクなどの留意点も含め、顧客が理解できているか適宜確認しながら、説明を進めることが求められています。

選択肢4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

金融商品取引法において、顧客に対して「円安ドル高の傾向は絶対に変わらない」など、不確実な事項について断定的な判断を示す行為は禁止されています。なお、「投資助言・代理業」「投資運用業」を業として行う場合には内閣総理大臣の登録を受ける必要があり、登録を受けていないFPは、経済情勢や金融商品などにかかる一般的な説明のみ行うことができます。

まとめ

FPの職業倫理は頻出問題です。取りこぼしの無いようしっかりと対策するようにしましょう。

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