2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年5月
問2 (学科 問2)

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問題

2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)試験 2024年5月 問2(学科 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

ファイナンシャル・プランナーがライフプランニングに当たって作成・利用する各種の表や各種係数に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  • キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。
  • 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。
  • 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。
  • 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。

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この過去問の解説 (4件)

01

この問題はライフプランニングと資産計算で使用する各種係数に関する問題です。

ライフプランニングにはライフイベント表、キャッシュフロー表、個人バランスシートが使

用されます。どのような物なのか理解しておくことが重要です。

各種係数は終価係数、現価係数、年金終価係数、減債基金係数、資本回収係数、年金現

価係数の6つを利用します。どのようなパターンで使用するか理解しておくと計算する際

に便利です。

 

選択肢1. キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。

不適切

キャッシュフロー表とは、

将来の収支と貯蓄残高の推移表にまとめた物です。

収入には年収ではなく所得税、住民税、社会保険料などを引いた

可処分所得を記入します。

生命保険料は可処分所得の中から個人の任意で加入する保険です。

そのためキャッシュフロー表から控除する必要はありません。

選択肢2. 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。

不適切

個人バランスシートでは株式等の金融資産や不動産の価額は時価で記入します。

また、生命保険ではその時点で解約した場合の返戻金相当額を記入します。

選択肢3. 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。

適切

年金現価係数とは、

元本をある利率で複利運用しながら一定の金額を受け取るために、

今いくらあれば良いのか求める係数です。

例えば年間の返済額が100万円、

金利2%で30年ローンを組むと年金現価係数は22.3965となり、

計算すると約2200万円ほど借り入れ可能となります。

そのため、この選択肢では年間返済額から借入可能額を計算しているため適切です。

選択肢4. 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。

不適切

年金終価係数とは、

複利運用しながら一定の金額を積み立てた場合、

将来の金額がいくらになるのかを求める係数です。

この選択肢では将来目標とする金額ではなく、

毎年必要な積立額を試算しようとしているため使用する係数は「減債基金係数」が適切です。

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02

FPがライフプランニングを作成するために必要な、

可処分所得の計算、キャッシュフロー表、個人バランスシート、係数があります。

いずれの用語もよく頻出されるため、違いをおさえておきましょう。

選択肢1. キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。

キャッシュフロー表は、収支状況(収入ー支出)や、

貯蓄残高(前年の貯蓄額+収支状況)を試算することで、

将来価値を表します。

可処分所得は、給与などの収入の内、

個人が自分の意志で使えるもののことを言います。

次の式により算出することが出来ます。

 

可処分所得=年間収入 ー 社会保険料(厚生年金、健康保険など) ー 所得税・住民税


よって生命保険料は控除項目に該当しないため、不適切です。
 

選択肢2. 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。

株式等の金融資産や、不動産の価額は、

取得したときから、時間の経過とともに、変動していくものです。

バランスシートは現時点での価値を把握するために作成します。

そのために、取得時点の価額ではなく、時価で計上しなければなりません。

 

よって、現時点での価格ではなく、時価での計上とするため、不適切です。

選択肢3. 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。

年金現価係数とは、当初の元本額がいくらかあり、

数年間に渡り一定額を受け取るためは、

いくら元本が必要かを求める係数です。

例:毎年10万円を受け取るには、いくら元本が必要か。

この問題のように、住宅ローンの貸主側が、

毎年一定の返済額を受け取るために必要な元本を計算するために、

年金現価係数を使うことがあります。

 

よって、年金現価係数が適切です。 

選択肢4. 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。

年金終価係数は、毎年の積立額を運用して、将来いくらになるかを計算する係数です。

最終的に積み立てたい額が、例えば100万円とすれば、

毎年いくら積立たらよいのか計算する係数は、減債基金係数になります。
 

よって、不適切です。 

まとめ

ここでは、資金計画を立てる場合の係数が出題されました。

係数は6種類ありますが、その他の3種類も、しっかり覚えておきましょう。
 

 

 

参考になった数1

03

キャッシュフロー表や各種係数は、実技では頻出です。

今回の選択肢が全て理解できていないと、実技で表を使用した計算問題は解けないので、しっかり覚えておきましょう。

 

〇キャッシュフロー表

現在の収支や将来の収入、そして支出や貯蓄残高を予想して表にまとめたもの

ライフプランニングをする際に必要となる。

変動率を設定し、将来価値で記入するのがポイント。

 

〇6つの係数

 

これらの係数を使用することで、必要な金額が計算できます。

表の左に書かれている係数は、将来必要な金額・将来受け取ることができる金額を求める際に使用します。

対して右に書かれている係数が、現在必要な必要な金額を求める際に使用します。

 

 

①終価係数・現価係数

一括で複利運用するときの金額の計算に使用します。

積み立てをするのではなく、たとえば銀行追加でお金を入れることなく、放置した時に得ることができる金額です。

・終価係数→今手元にあるお金を一括で複利運用した時、将来いくらになるか。

・現価係数→将来の目標金額を複利運用で得ようとした時に現在必要な元本。

<キーワード>

一括

 

②年金終価係数・減債基金係数

毎年一定額を積み立て、複利運用したときの金額の計算に使用します。

・年金終価係数→毎年一定額を積み立てたとき、将来得ることができる金額。

・減債基金係数→目標額を達成するために現在必要な積立額(定額で積立てることが前提)。

<キーワード>

積立 複利運用

 

③資本回収係数・年金現価係数

複利運用しながら、お金を取り崩していく・ローン返済していくときの金額の計算に使用します。

住宅ローン返済の計算にも使用します。

・資本回収係数→今あるお金を一定額ずつ取り崩したときの将来の年間受取額。または借入金の年間ローン返済額。

・年金現価係数→毎年一定額を取り崩すために現在必要な原資(元本)。または毎年一定額を返済するために現在必要な借入可能額。

<キーワード>

取り崩し ローン返済 複利運用

選択肢1. キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。

不適切

 

可処分所得は以下の計算式で求められます。

これら以外は可処分所得の計算には含めませんので、注意して設問を読みましょう。

 

可処分所得=所得税+住民税+社会保険料

選択肢2. 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。

不適切

 

バランスシートとは、世帯・家族の資産と負債を把握するためのものです。

資産とは、現金はもちろん株や投資信託などの金融資産と不動産なども含みます。

負債とは基本的に住宅ローンなどの借入金が該当します。

 

そしてこれらは取得価格ではなく、資産は時価負債は借入残高で記入しなければなりません。

バランスシートとは資産と負債のバランスを見るためののものなので、取得価格では現在のバランスを正確に把握することができません。

 

またバランスシートの計算問題が実技では必須です。

このバランスシートの資産と負債から、純資産を求める計算が出題されるので、以下の式も覚えておきましょう。

純資産=資産ー負債

選択肢3. 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。

適切

 

年金現価係数とは、複利運用をしながら毎年一定額を取り崩すために現在必要な原資(元本)、または毎年一定額を返済するために現在必要な借入可能額の計算で使用します。

住宅ローンを検討している者が、毎年一定額を返済する金額から、借入可能額を計算する際の計算には、年金現価係数が最適です。

選択肢4. 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。

不適切

 

複利運用しながら、将来必要な目標額を得るために必要な積立金額を計算するときは、減債基金係数が最適です。

キーワードは積立、この時点で候補は「年金終価係数」と「減債基金係数」になります。

その上で、今回は現在必要な積立額を問われているので、減債基金係数が最適となります。

 

年金終価係数は、毎年一定額を積み立てたとき、将来得ることができる金額(総額)を計算する際に使用します。

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04

キャッシュフロー表やバランスシートの役割、各種係数の役割など、ライフプランニングにともなう具体的な手法について問われています。それぞれの意味を正確に理解していることが必要となります。

 

選択肢1. キャッシュフロー表の作成において、一般に、可処分所得には、年間の収入金額から所得税、住民税、社会保険料および生命保険料を控除した金額を計上する。

可処分所得とは、年収から所得税、住民税、社会保険料を控除した金額を指します。

選択肢2. 個人の資産や負債の状況を表すバランスシートの作成において、一般に、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額を計上する。

バランスシートの作成においては、株式等の金融資産や不動産の価額は、取得時点の価額ではなく現在価値を計上します。

選択肢3. 住宅ローンの利用を検討している者が年間返済額から借入可能額を試算する際、年間返済額に乗じる係数は、年金現価係数である。

年金原価係数は、年金額に必要な年金原資の算出や、年間返済額から借入可能額を試算する際に使用する係数です。

選択肢4. 老後の生活資金を準備するため、一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数である。

一定の利率で複利運用しながら一定期間経過後に目標とする額を得るために必要な毎年の積立額を試算する際、目標とする額に乗じる係数は、年金終価係数ではなく減債基金係数です。

まとめ

各種係数は計算問題も出題されます。それぞれの役割を正確に理解し、計算問題にも対応できるよう対策を進めておくようにしましょう。

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