行政書士の過去問
平成25年度
法令等 問7

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

行政書士試験 平成25年度 法令等 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

次の1~5は、法廷内における傍聴人のメモ採取を禁止することが憲法に違反しないかが争われた事件の最高裁判所判決に関する文章である。判決の趣旨と異なるものはどれか。
  • 報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。
  • 憲法82条1項は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。
  • 憲法21条1項は表現の自由を保障しており、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、個人の人格発展にも民主主義社会にとっても必要不可欠であるから、情報を摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれる。
  • さまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取することを補助するものとしてなされる限り、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきであるが、これは憲法21条1項の規定によって直接保障される表現の自由そのものとは異なるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではない。
  • 傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法21条1項の規定の精神に合致する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

1 誤り

最高裁判所はレペタ訴訟にて『報道のための取材の自由も、憲法二一条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するものである。』としています。また、『司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるか』についても、同訴訟にて『合理性を欠く措置ということはできないというべきである。』として、慎重な審査を必要とまではいえない態度で判断しています。

2 正解

最高裁判所はレペタ訴訟にて『憲法八二条一項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるべきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。』との判断をしています。

3 正解

最高裁判所はレペタ訴訟にて『憲法二一条一項の規定は、表現の自由を保障している。そうして、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、その者が個人として自己の思想及び人格を形成、発展させ、社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって、このような情報等に接し、これを摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところである』との判断をしています。

4 正解

最高裁判所はレペタ訴訟にて『情報等の摂取を補助するためにする筆記行為の自由といえども、(中略)右の筆記行為の自由は、憲法二一条一項の規定によつて直接保障されている表現の自由そのものとは異なるものであるから、その制限又は禁止には、表現の自由に制約を加える場合に一般に必要とされる厳格な基準が要求されるものではないというべきである。』との判断をしています。

5 正解

最高裁判所はレペタ訴訟にて『傍聴人のメモを取る行為が公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるに至ることは、通常はあり得ないのであって、特段の事情のない限り、これを傍聴人の自由に任せるべきであり、それが憲法二一条一項の規定の精神に合致するものということができる。』との判断をしています。

よって、判決の趣旨と異なるものは1となります。

参考になった数29

02

1:趣旨と異なる。 取材の自由については、憲法21条の精神に照らし、「十分尊重に値する」権利であるとしています。また、司法記者クラブにのみ法廷でのメモ採取行為を認めることについては、14条との関係につき合理性を欠く措置ではないとしています。

【参考条文】
憲法第14条第1項
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

憲法第21条第1項
集会、結社及び言論、その他一切の表現の自由は、これを保障する。


2:趣旨と同じ。 問題文のとおりです。

【参考条文】
憲法第82条第1項 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う


3:趣旨と同じ。 問題文のとおりです。


4:趣旨と同じ。 問題文のとおりです。


5:趣旨と同じ。 問題文のとおりです。


参考になった数22

03

1.誤り
取材の自由について判例は「十分尊重に値する」としており、保障の下にあると述べてはいません。また、レペタ訴訟において、司法記者クラブ所属の報道機関に対してのみメモを取ることを許可することは、合理性を欠く措置ではない、と判示しています。

2.正しい
問題文の通り。レペタ事件において同内容の事を判示しています。

3.正しい
問題文の通り。レペタ事件において同内容の事を判示しています。

4.正しい
問題文の通り。レペタ事件において同内容の事を判示しています。

5.正しい
問題文の通り。レペタ事件において同内容の事を判示しています。

参考になった数9