行政書士の過去問
平成29年度
法令等 問21
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問題
行政書士試験 平成29年度 法令等 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、国家賠償法に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ Ⅰ ]〜[ Ⅴ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた[ Ⅰ ]がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。
思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が[ Ⅱ ]ことを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に[ Ⅲ ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の[ Ⅳ ]合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に[ Ⅴ ]のあることを必要とするものといわなければならない。
(最二小判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁)
Ⅰ (ア)重大な過失、 (イ)過失
Ⅱ (ア)補充的に適用される、(イ)優先的に適用される
Ⅲ (ア)含まれる、 (イ)含まれない
Ⅳ (ア)適用を排除すべき、 (イ)適用を認めるべき
Ⅴ (ア)重大な過失、 (イ)過失
原判決は、本件火災は第一次出火の際の残り火が再燃して発生したものであるが、上告人の職員である消防署職員の消火活動について失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」という。)は適用されず、第一次出火の消火活動に出動した消防署職員に残り火の点検、再出火の危険回避を怠つた[ Ⅰ ]がある以上、上告人は被上告人に対し国家賠償法一条一項により損害を賠償する義務があるとし、被上告人の請求のうち一部を認容した。
思うに、国又は公共団体の損害賠償の責任について、国家賠償法四条は、同法一条一項の規定が適用される場合においても、民法の規定が[ Ⅱ ]ことを明らかにしているところ、失火責任法は、失火者の責任条件について民法七〇九条の特則を規定したものであるから、国家賠償法四条の「民法」に[ Ⅲ ]と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の[ Ⅳ ]合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法四条により失火責任法が適用され、当該公務員に[ Ⅴ ]のあることを必要とするものといわなければならない。
(最二小判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁)
Ⅰ (ア)重大な過失、 (イ)過失
Ⅱ (ア)補充的に適用される、(イ)優先的に適用される
Ⅲ (ア)含まれる、 (イ)含まれない
Ⅳ (ア)適用を排除すべき、 (イ)適用を認めるべき
Ⅴ (ア)重大な過失、 (イ)過失
- [ Ⅰ ]ア、[ Ⅱ ]ア、[ Ⅲ ]ア、[ Ⅳ ]イ、[ Ⅴ ]イ
- [ Ⅰ ]ア、[ Ⅱ ]イ、[ Ⅲ ]イ、[ Ⅳ ]ア、[ Ⅴ ]イ
- [ Ⅰ ]イ、[ Ⅱ ]ア、[ Ⅲ ]ア、[ Ⅳ ]ア、[ Ⅴ ]ア
- [ Ⅰ ]イ、[ Ⅱ ]イ、[ Ⅲ ]ア、[ Ⅳ ]イ、[ Ⅴ ]ア
- [ Ⅰ ]イ、[ Ⅱ ]イ、[ Ⅲ ]イ、[ Ⅳ ]ア、[ Ⅴ ]ア
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この過去問の解説 (3件)
01
失火責任法が国家賠償法4条の「民法」に含まれるか否かが争点の一つとなった最高裁判決が題材となっています。同法同条を引用しておきます。
国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
I「イ 過失」 Iだけを見て「過失」を選ぶことは難しかったかもしれませんが、Vの回答(「ア 重大な過失」)と比較検討すれば、文脈からも推測できます。
Ⅱ「ア 補充的に適用される」 同法同条の通りです。1~3条が適用できなかった場合に、民法の規定が補充的に適用されます。
Ⅲ「ア 含まれる」 失火責任法は「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」の1条で完結する法律です。民法709条の不法行為による損害賠償について、軽過失の際の免責を認めています。
Ⅳ「ア 適用を除外すべき」 失火責任法は、民間人に当然に適用されているものであり、公務員にも同様に適用すべきだと判断したのが本判例(最判S53.7.17)でした。
Ⅴ「ア 重大な過失」 上記より、単に有過失というだけでは認められず、「重大な過失」があることが必要となります。
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02
「民法709条」の特別法である「失火責任法」は、「民法」であるといえるため、国・公共団体の賠償責任には、「失火責任法」が適用されることと解釈されます。
よって、公務員に故意または「重過失」が必要であるという判例の説明です。
Ⅰ「過失」が入ります。→イ
Ⅱ「補充的に適用される、」が入ります。→ア
Ⅲ「含まれる、」が入ります。→ア
Ⅳ「適用を排除すべき、」が入ります。→ア
Ⅴ「重大な過失、」が入ります。→ア
よって、3が正解です。
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03
答えは過失(イ)です。
2.民法の不法行為や、消滅時効が補充的に適用されます。
よって、(ア)の補充的が答えとなります。
3.判例あり。
失火責任法は民法709条の特則とあるので、
含まれると考えられます。
よって(ア)です。
4.(また、~合理的理由も存在しない。)までの文章から
公務員だけを特別に除外するのはおかしい。
と読み取れるので、答えは(ア)となります。
5.失火者責任は重過失が要件となります。
よって、(ア) です。
となり、3番の選択肢が正解となります。
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