行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問27

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問題

行政書士試験 平成30年度 法令等 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

公序良俗および強行法規等の違反に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
  • 食品の製造販売を業とする者が、有害物質の混入した食品を、食品衛生法に抵触するものであることを知りながら、あえて製造販売し取引を継続していた場合には、当該取引は、公序良俗に反して無効である。
  • 債権の管理または回収の委託を受けた弁護士が、その手段として訴訟提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は、たとえそれが弁護士法に違反するものであったとしても、司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われた等の事情がない限り、直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。
  • 組合契約において、組合員はやむを得ない事由があっても任意に脱退することができない旨の約定が存する場合であっても、組合員の脱退に関する民法の規定は強行法規ではないから、かかる約定の効力が否定されるものではない。
  • 契約が公序に反することを目的とするものであるかどうかは、当該契約が成立した時点における公序に照らして判断すべきである。
  • 男子の定年年齢を60歳、女子の定年年齢を55歳とする旨の会社の就業規則は、経営上の観点から男女別定年制を設けなければならない合理的理由が認められない場合、公序良俗に反して無効である。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3
公序良俗ならびに強行法規等の違反に関する設問です。

1〇 肢1のような場合、判例(最判S39.1.23)は、「一般大衆の購買ルートに乗せたものと認められ、その結果公衆衛生を害するに至るであろうことはみやすき道理であるから、そのような取引は民法九十条に抵触し無効のものと解するを相当とする。」としています。

2〇 判例(最判H21.8.12)は、「債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為は,他人間の法的紛争に介入し,司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど,公序良俗に反するような事情があれば格別,仮にこれが弁護士法28条に違反するものであったとしても,直ちにその私法上の効力が否定されるものではない」としています。

3× 判例(最判H11.2.23)は、「民法六七八条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相
当である。」としているため、強行法規でないとする肢3は誤りということになります。

4〇 判例(最判H15.4.18)は、「法律行為が公序に反することを目的とするものであるとして無効になるかどうかは,法律行為がされた時点の公序に照らして判断すべきである」としています。

5〇 判例(最判S56.3.24)の通りです。判決要旨を引用します。「会社がその就業規則中に定年年齢を男子六〇歳、女子五五歳と定めた場合において、担当職務が相当広範囲にわたつていて女子従業員全体を会社に対する貢献度の上がらない従業員とみるべき根拠はなく、労働の質量が向上しないのに実質賃金が上昇するという不均衡は生じておらず、少なくとも六〇歳前後までは男女とも右会社の通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、一律に従業員として不適格とみて企業外へ排除するまでの理由はないなど、原判示の事情があつて、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由が認められないときは、右就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法九〇条の規定により無効である。」

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02

公序良俗に反する法律行為は無効とされています(民法90条)。また、強行法規とは、規定(=法規)に反する合意をした場合は、その合意は無効とするものです。

①妥当
判例は、公序良俗に反すると判断しています。

②妥当
判例は、不当な利益を得ることを目的とするなどの公序良俗に反することが明らかでない限り、直ちにその私法上の効力が否定されるものではないと判断しています。

③妥当でない
判例は、組合員の脱退に関する民法の規定は強行法規であり、これに反するものは無効とされています。
しかし、やむを得ない事由があっても任意に脱退することができない旨の約定は公序良俗に反し、無効であると判断しています。

④妥当
判例は 、契約が公序に反することを目的とするものであるかどうかは、当該契約が成立した時点における公序に照らして判断すべきとしています。

⑤妥当
判例は、経営上の観点から男女別定年制を設けなければならない合理的理由が認められない場合、公序良俗に反して無効である(=性別のみによる定年制を公序良俗違反として無効)と判断しています。

したがって、③が正解です。

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03

1.妥当である
判例は、公序良俗に反し取引は無効であるとしています。

2.妥当である
判例は、司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われたなど、公序良俗に反するような事情がない限り、直ちに私法上の効力は否定されないとしています。

3.妥当でない
判例は、民法678条は強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないとしています。

4.妥当である
判例は、法律行為の時点で判断するべきとしています。

5.妥当である
判例は、就業規則は合理的理由のない限り無効であるとしています。

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