行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問40

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問題

行政書士試験 平成30年度 法令等 問40 (訂正依頼・報告はこちら)

剰余金の配当に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
  • 株式会社は、剰余金の配当請求権および残余財産分配請求権の全部を株主に与えない旨の定款の定めを設けることができる。
  • 株式会社は、分配可能額の全部につき、株主に対して、剰余金の配当を支払わなければならない。
  • 株式会社より分配可能額を超える金銭の交付を受けた株主がその事実につき善意である場合には、当該株主は、当該株式会社に対し、交付を受けた金銭を支払う義務を負わない。
  • 株式会社は、当該株式会社の株主および当該株式会社に対し、剰余金の配当をすることができる。
  • 株式会社は、配当財産として、金銭以外に当該株式会社の株式、社債または新株予約権を株主に交付することはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

株主の権利として、会社法105条1項は、

一 剰余金の配当を受ける権利
二 残余財産の分配を受ける権利
三 株主総会における議決権

を定めています。
そして、2項では、
「株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」としています。

①誤り
上記解説を参照。「剰余金の配当請求権および残余財産分配請求権の全部を株主に与えない旨の定款」は無効となります。

②誤り
株式会社は、分配可能額を超える配当を行うことはできません(会社法461条1項)が、分配可能額の全部を配当しなければならないわけではありません。

③誤り
株式会社より分配可能額を超える金銭の交付を受けた株主がその事実につき善意である場合についても、株主は交付を受けた金銭を支払う義務が生じます。この義務は例え株主が善意であっても、免れることはできません。

④誤り
会社法453条によると、
株式会社が配当を行う際、自社保有の自社の株式(=自己株式)については、配当を行うことはできません。

⑤正しい
会社法454条が配当財産は、株主総会の決議によって定められます。ここでの1号が規定する、「配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額」について、
「当該株式会社の株式等」には、株式、社債または新株予約権をいいます。
したがって、株式、社債または新株予約権は配当財産に該当しないため、これらを株主に交付することはできません。

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02

正解は5

1× 会社法105条に反するため、誤りです。「(株主の権利)第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。 一 剰余金の配当を受ける権利 二 残余財産の分配を受ける権利 三 株主総会における議決権 2 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。」

2× そのような規定はありません。なお、分配可能額の算出については、会社法や会社計算規則に定められています。

3× 会社法462条1項柱書は、「前条第一項の規定に違反して株式会社が同項各号に掲げる行為をした場合には、当該行為により金銭等の交付を受けた者並びに当該行為に関する職務を行った業務執行者(業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役。以下この項において同じ。)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として法務省令で定めるものをいう。以下この節において同じ。)及び当該行為が次の各号に掲げるものである場合における当該各号に定める者は、当該株式会社に対し、連帯して、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。」と定めています。「金銭等の交付を受けた者」に肢3の者も含まれるため、本肢は誤りとなります。

4× 同法453条に反するため、誤りです。「(株主に対する剰余金の配当)第四百五十三条 株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる。」

5〇 同法454条1項1号(「株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額」)、および同法107条2項2号ホ(「イの株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の株式等(株式、社債及び新株予約権をいう。以下同じ。)以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法」)の通りです。

参考になった数1

03

1.誤
株主に、①剰余金の配当を受ける権利及び②残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めはその効力を有しない(105条2項)。

2.誤
剰余金の分配可能額の範囲内であれば(461条1項8号)、いつでも何回でも剰余金の配当をできます(453条)。


3.誤
分配可能額を超えて剰余金の配当を受けた者は、会社に対して返還義務を負う(462条1項柱書)。この義務は、善意・悪意、過失の有無に関係なく発生する。

4.誤
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く)に対し、剰余金の配当をすることができる(453条)。

5.正
株式会社は、剰余金の配当をするときは、配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く)を決めなければならないが、ここにいう株式等とは、株式、社債、新株予約権をいう(454条1項、107条2項2号ホ)。

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