行政書士の過去問
令和元年度
法令等 問3
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問題
行政書士試験 令和元年度 法令等 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
議員の地位に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。
- 両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない。
- 両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる。
- 地方議会の自律権は、議院の自律権とは異なり法律上認められたものにすぎないので、裁判所は、除名に限らず、地方議会による議員への懲罰について広く審査を行うことができる。
- 地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1〇 公職選挙法98条3項の通りです。「衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙に係る第九十六条又は前条の場合において、衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者で、当選人とならなかつたものにつき除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者でなくなつた旨の届出が、文書で、これらの条に規定する事由が生じた日の前日までに選挙長にされているときは、これを当選人と定めることができない。」
2× 「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」(国会法33条)と定められており、誤りです。
3× 結論は正しいのですが、「一般市民法秩序と関係するため」という部分は誤りであり、「内部規律の問題であるため」というのが正しい理由です。最高裁判決(最大判S35.10.19)を引用しておきますが、同判決には、複数の補足意見があります。
「一口に法律上の係争といつても、その範囲は広汎であり、その中には事柄の特質上司法裁判権の対象の外におくを相当とするものがあるのである。けだし、自律的な法規範をもつ社会ないしは団体に在つては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがあるからである。本件における出席停止の如き懲罰はまさにそれに該当するものと解するを相当とする。」
4× 3の判決(最大判S35.10.19)から、誤りだとわかります。議員の除名処分については、「議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題に止らない」ために「司法裁判の権限内の事項」とされていますが、それ以外の部分は「当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないもの」があります。
5× 同様の免責特権は認められておらず、誤りです。
「しかし、憲法上、国権の最高機関たる国会について、広範な議院自律権を認め、ことに、議員の発言について、憲法五一条に、いわゆる免責特権を与えているからといつて、その理をそのまま直ちに地方議会にあてはめ、地方議会についても、国会と同様の議会自治・議会自律の原則を認め、さらに、地方議会議員の発言についても、いわゆる免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない。…(略)…そして、原判決の指摘するような言論の域を超えた実力の行使については、所論のような議員の免責特権その他特別の取扱いを認めるべき合理的な理由は見出しがたいといわなければならない」(最大判S42.5.24)。
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02
正しい記述です。(公職選挙法98条3項)
2 ×
国会法33条に「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」とあるため、院外における現行犯の場合でも逮捕されないという部分が誤りです。
3 ×
所属議員の除名処分は、「一般市民法秩序と直接関係ない内部的な問題にとどまる限り、原則として、裁判所は審査できない」とする判例があるため、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる、という部分が誤りです。
4 ×
裁判所は、地方議会の議員のような「自律的な法規範をもつ社会ないしは団体にあっては、自治的措置に任せ審査をしない」という判例があるため、広く審査を行うことができる、という部分が誤りです。
ただし、除名処分については裁判所が審査することができます。
5 ×
両議院の議員については免責特権が認められますが、地方議会の議員に免責特権はないとした判例があるため誤りです。
よって正解は①です。
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03
1:〇
衆議院議員又は参議院議員に欠員が出た場合、繰上補充が行われますが、衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者のうち、除名、離党、その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出が、欠員が出る前日までに文書で選挙長にされている者は、繰上補充の対象とはなりません(公職選挙法98条3項)。
2:×
「院外における現行犯の場合でも逮捕されない」との記載は妥当ではありません。
国会法33条において、「各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない」と規定されています。したがって、院外における現行犯の場合逮捕されます。
3:×
除名処分については、判例(最大判S35.10.19)に照らし、裁判所は審査を行うことができますが、その理由は「一般市民法秩序と関連するため」ではなく、議員の身分の喪失に関する重大な事項で、単なる内部規律の問題に止まらないためと解されています。
4:×
除名については、選択肢3の説明のとおり、裁判所は審査を行うことができますが、その他の懲罰については、議員の自立的な措置に任せることが相当と解されています。
5:×
判例(最大判S42.5.24)は、地方議会の議員について、国会議員と同様に免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はないとしています。
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