行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問13
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問題
行政書士試験 令和2年度 法令等 問13 (訂正依頼・報告はこちら)
行政手続法の定める申請の取扱いに関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 申請がそれをすることができる期間内にされたものではない場合、当該申請は当然に不適法なものであるから、行政庁は、これに対して諾否の応答を行わず、その理由を示し、速やかに当該申請にかかる書類を申請者に返戻しなければならない。
イ 許認可等を求める申請に必要な書類が添付されていない場合、行政庁は、速やかに、相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。
ウ 行政庁は、申請により求められた許認可等のうち行政手続法に列挙されたものについて、これを拒否する処分を行おうとするときは、予めその旨を申請者に対し通知し、当該申請者に弁明書の提出による意見陳述の機会を与えなければならない。
エ 行政庁が申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導を行うことは、申請者がそれに従う意思がない旨を表明したにもかかわらずこれを継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない。
オ 行政庁が、申請の処理につき標準処理期間を設定し、これを公表した場合において、当該標準処理期間を経過してもなお申請に対し何らの処分がなされないときは、当該申請に対して拒否処分がなされたものとみなされる。
ア 申請がそれをすることができる期間内にされたものではない場合、当該申請は当然に不適法なものであるから、行政庁は、これに対して諾否の応答を行わず、その理由を示し、速やかに当該申請にかかる書類を申請者に返戻しなければならない。
イ 許認可等を求める申請に必要な書類が添付されていない場合、行政庁は、速やかに、相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか、あるいは当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。
ウ 行政庁は、申請により求められた許認可等のうち行政手続法に列挙されたものについて、これを拒否する処分を行おうとするときは、予めその旨を申請者に対し通知し、当該申請者に弁明書の提出による意見陳述の機会を与えなければならない。
エ 行政庁が申請の取下げまたは内容の変更を求める行政指導を行うことは、申請者がそれに従う意思がない旨を表明したにもかかわらずこれを継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではない。
オ 行政庁が、申請の処理につき標準処理期間を設定し、これを公表した場合において、当該標準処理期間を経過してもなお申請に対し何らの処分がなされないときは、当該申請に対して拒否処分がなされたものとみなされる。
- ア・イ
- ア・オ
- イ・エ
- ウ・エ
- ウ・オ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解.3(イ.エ)
ア.✕
申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法第7条)。
したがって、「申請者に書類を返戻しなければならない」とする本肢は誤っています。
イ.〇
行政手続法第7条の規定のとおりです。
申請書に必要な書類が添付されていることの他に、【申請書の記載事項に不備がないこと】、【申請期間内にされたものであること】その他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに申請者に、①相当の期間を定めて補正を求めるか、②申請により求められた許認可等を拒否しなければならない としています。
ウ.✕
選択肢全文が誤っています。許認可等の列挙は行政手続法にはありません。
ちなみに、行政庁は、許認可等を拒否する処分を場合、申請者に対し、同時に、処分の理由を示さなければなりません(行政手続法8条1項)。
エ.〇
行政手続法第33条は、
「申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず、行政指導を継続すること等により、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない」と規定します。
したがって、権利行使を妨げるものでない限り、直ちに違法とされるものではありません。
オ.✕
標準処理期間の経過後の場合の規定は行政手続法にはありません。
ちなみに、標準処理期間については、その定めは、努力義務(定めるよう努める)であるが、定めた場合の公示は法定義務(公にしておかなければならない)であるという点を覚えておきましょう。
標準処理期間(行政手続法第6条)とは:
行政庁がその申請が事務所に到達してから申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間のこと。
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02
ア. 誤り
そのような場合は、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、または当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法7条)。
イ. 正しい
行政手続法7条により、正しいです。
ウ. 誤り
そのような規定は存在していません。
エ. 正しい
行政手続法33条により、正しいです。
オ. 誤り
拒否処分がなされたものとみなされるわけではありません。
標準処理期間を経過しても申請に対し処分がなされないときの規定は存在しません。
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03
本問は、行政庁に申請書が提出された時に、行政庁が処理をするときのルールに関しての問題です。
難しく考えずに、例えば市役所に何か申請に関する書類を提出したときに、窓口の人や担当者がどういう場合にどういった処理をすればよいかという視点から検討するのがポイントです。
申請がそれをすることができる期間内にされたものでない場合、そのことを理由として申請を拒否すればいいのであって、諾否の応答が不要となるわけではありません。
よって、本記述は誤りです。
根拠条文 行政手続法7条
【回答の裏技】
本記述には「当然に不適法」とありますが、このように、絶対こうなると言い切るような記述は誤りであることが多いです。
もちろん、言い切っているから必ず誤った記述という訳ではありませんが、どうしても分からない場合、絶対こうなると言い切るような記述は誤りであると判断した方がよいです。
まず、申請に必要な書類が添付されていない場合、直ちに申請により求められた許認可等を拒否するのではなく、相当な期間を定めて補正を求めた方が、申請者の利益となる為、行政庁は速やかに相当な期間を定めて補正を求めなければなりません。
もっとも、必要な書類が添付されなかったとしても、そのことを理由に申請によって求められた許認可等を拒否したとしても、当該書類を添付した上で再度申請することも可能ですから、行政庁は申請により求められた許認可等を拒否することもできます。
よって、本記述は正しいです。
弁明書の提出は不利益処分の場合に求められる手続きです。
申請に対する処分の場合弁明など事前に当事者の意見を聞くための手続きは必要ありません。
よって、本記述は誤っています。
行政指導は任意の協力によってのみ実現されるものである(行政手続法32条1項)から、行政指導によって申請の邪魔をしてしまえば、それは任意ではありません。
ただ、申請者がそれに従わない意思を表明したとしても、申請者の邪魔にならない範囲であれば行政指導を継続することも特に問題はありません。
よって、本記述は正しいです。
標準処理期間はあくまでも目安ですので、これを超えてしまうこともあります。
あくまでも、だいたいいつくらいまでにはできると思うよ程度のものだと考えてください。
これを超えたからと言って、申請を拒否した訳でも認めたわけでもありません。
よって、本記述は誤っています。
本問は、サービス問題です。
行政手続法の知識があれば、回答できますし、そのように回答するに越したことはありません。
しかし、本試験においてはどうしても分からない問題もあると思います。
本問では、例えばア「当然に不適法」と絶対ダメと言い切っています。
法律は、原則に対し例外があることがほとんどなので、絶対こうなると言い切るような記述は誤っていることが多いです。
一方、エは、「直ちに違法となるわけではない」と、絶対こうなるわけではないと、例外があるかのような言い回しをしています。
この場合、正解であることが多いです。
アが誤っていて、エが正しいという事が分かれば、正解できる可能性は上がります。
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