行政書士の過去問 令和2年度 法令等 問23
この過去問の解説 (3件)
正解 5
1.誤り
地方自治法(以下地自法)2条8項のとおり、自治事務とは、法定受託事務以外の事務のことですので、本文は正しくありません。
2.誤り
地自法14条1項のとおり、普通地方公共団体は法令に違反しない限り法定受託事務や自治事務に関して条例を制定できます。
しかし、法律に定められている処分の要件を条例で変更することは法令違反となりますので、変更することはできません。
3.誤り
地自法245条の2にある「その事務」とは、法定受託事務と自治事務を指します。
したがって、245条の2のとおり、法定受託事務や自治事務の処理に関して、法律や政令によらなければ国または都道府県の関与を受けることはありません。
4.誤り
地自法251条3項のとおり、自治紛争処理委員は非常勤ですので、常勤の委員をおく必要はありません。
5.正しい
選択肢のとおりです。
地自法245条の6第1号のとおり、都道府県知事は、市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会又は選挙管理委員会を除く。)の担任する自治事務の処理が法令に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害している認めるときは、当該市町村に対し、その事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。
1. 誤り
地方自治法2条8項には、
「この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。」とあります。
2. 誤り
このような規定はありません。
参照:地方自治法14条1項
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
3. 誤り
法定受託事務でも自治事務でも、法律またはこれに基づく政令によらなければ、関与を受けません。
【地方自治法245条の2】
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。
4. 誤り
自治紛争処理委員が設けられたのは、
「普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するため」ではなく、
「普通地方公共団体相互の間または普通地方公共団体の機関相互の間の紛争の調停などを処理するため」です(地方自治251条1項)。
また、自治紛争処理委員は、非常勤です(地方自治法251条3項)。
【地方自治251条1項】
自治紛争処理委員は、この法律の定めるところにより、普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間の紛争の調停、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち都道府県の機関が行うもの(以下この節において「都道府県の関与」という。)に関する審査、第二百五十二条の二第一項に規定する連携協約に係る紛争を処理するための方策の提示及び第百四十三条第三項(第百八十条の五第八項及び第百八十四条第二項において準用する場合を含む。)の審査請求又はこの法律の規定による審査の申立て若しくは審決の申請に係る審理を処理する。
5. 正しい
そのようなときは、勧告をすることが出来ます。
(地方自治法245条の6第1号(是正の勧告))
本問は法定受託事務に関する問題であります。
地方公共団体が処理する事務において法定受託事務以外のものをいいます。(地方自治法2条第8項)
都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、これが法定受託事務に該当しない限り自治事務となります。
よって、本記述は誤っています。
法律によって定められている要件を都道府県が条例によって変更すると法律と矛盾してしまいます。
地方自治体が条例を制定することができるのは、法律に抵触しない限りできるものであって、法律で要件が決まっているものを条例で勝手に変えることはできません。
よって、本記述は誤っています。
普通地方公共団体がその事務の処理に関し国又は都道府県の関与を受けることはありますが、これは法律又は政令によらなければなりません。(地方自治法245条の2)
よって、本記述は誤っています。
自治紛争処理委員は総務省に置かれる機関です。
都道府県に置かれるわけではありません。
よって、本記述は誤っています。
本記述の通りです。(地方自治法245条の6)
よって、本記述は正しいです。
法定受託事務は予備試験でもたまに聞かれます。
行政書士試験においては毎年地方自治法が出題されているので、法定受託事務が出題される可能性も高いと思います。
しっかり復習しておくことをおすすめします。
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