行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問38
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問題
行政書士試験 令和2年度 法令等 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
株式会社が自己の発行する株式を取得する場合に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。
- 株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができることを定めることができる。
- 株式会社が他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができる。
- 取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。
- 株式会社が、株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 5
1.正しい
選択肢のとおりです。
会社法107条1項2号のとおり、発行する全部の株式について、株主が株式会社に取得請求できることを定めることもできますし、108条1項5号のとおり、発行する一部の株式についてもできます。
2.正しい
選択肢のとおりです。
会社法107条1項3号のとおり、発行する全部の株式について株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得請求することができます。
また、108条1項6号のとおり、発行の一部の株式についても取得を請求することができます。
3.正しい
選択肢のとおりです。
会社法155条10号のとおり、他の会社の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する場合は、当該株式会社の株式を取得することができます。
例えば、A社がB社の事業の全部を譲り受ける場合、A社はB社が持っているA社の株を取得できます。
4.正しい
選択肢のとおりです。
会社法165条2項のとおり、取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができます。
5.誤り
会社法461条1項2号のとおり、株式会社が、株主との合意で自己株式を有償で取得する場合、分配可能額を超えて金銭等を交付することはできません。
※会社法461条1項2号
二、156条1項の規定による決定に基づく当該株式会社の株式の取得
(156条1項=株主との合意で自社の株式の有償取得)
この行為により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
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02
正解は「株式会社が、株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができる。」です。
会社法107条記載のとおり、正しい記載です。
取得請求権付株式のことを説明しています。
会社法107条記載のとおり、正しい記載です。
取得条項付株式のことを説明しています。
会社法155条10号のとおり、正しい記載です。
「株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる。
十 他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得する場合」
会社法165条2項のとおり、正しい記載です。
「市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができる。」
会社法461条1項2号のとおり、本肢後半部分の、「株主に対して、金銭等の交付はできる」が誤りです。
いわゆるタコ足配当を避ける意義があります。
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03
この問題のポイントは自己株式の取得です。
自己株式の取得とは株式会社が発行した株式を、株式会社がその株主から買い取ることです。
また、自己株式が取得できる条件は以下の通りです。
①取得条項付株式の取得
②譲渡制限付株式の取得
③株主総会決議等による取得
④取得請求権付株式の取得
⑤全部取得条項付種類株式の取得
⑥株式相続人等への売渡請求に基づく取得
⑦単位未満株式の買取
⑧所在不明株主の株式の買取
⑨端数処理手続による買取
⑩他の会社の事業の全部を譲り受ける場合
⑪合併消滅する会社からの株式の継承
⑫吸収分割する会社からの株式の継承
⑬法務省令で定める場合
最後に市場を通じた取得に関しては、会社法第165条により適用できませんが、取締役会設置会社においては、市場取引等により自己株式を取得することを取締役会の決議事項として定款に定めることができます。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭の①と⑤より、発行する株式の一部と全部を株式会社が当該株式会社について、その取得を請求することを定めることができます。
会社法第107条1項3号より、当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてその取得を請求することができるとされています。
解説の冒頭の⑩他の会社の事業の全部を譲り受ける場合より、株式会社が他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、当該株式会社は、当該他の会社が有する当該株式会社の株式を取得することができるとなります。
市場を通じた取得に関しては、会社法第165条により適用できませんが、取締役会設置会社においては、市場取引等により自己株式を取得することを取締役会の決議事項として定款に定めることができるとされています。
よって、取締役会設置会社は、市場取引等により当該株式会社の株式を取得することを取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めることができるとなります。
会社法第461条1項2号に株主総会の決議に基づいて、株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得する場合には、当該行為の効力が生ずる日における分配可能額を超えて、株主に対して金銭等を交付することができないとされています。
この株式に関する問題では、会社法の条文学習は勿論、問題の選択肢と条文の照らし合わせでイメージを掴んでいくことが大事です。
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