行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問39

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問題

行政書士試験 令和2年度 法令等 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

株主総会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
  • 株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。
  • 株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。
  • 株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。
  • 株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。
  • 株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解 4


1.正しい

 選択肢のとおりです。

 会社法124条1項のとおり、株式会社は基準日の定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主を株主総会において議決権を行使できる者と定めることができます。


2.正しい

 選択肢のとおりです。

 会社法124条4項のとおり、基準日株主の権利を害することのない範囲であれば、基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使できる者と定めることができます。


3.正しい

 選択肢のとおりです。

 会社法310条1項のとおり、株式は、代理人によってその議決権を行使できます。

この場合は、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければなりません。

 また、2項のとおり、代理権の授与は株主総会ごとにしなければなりません。
 

4.誤り

 本肢すべてが誤りです。

 株主総会が延期・続行された場合に、新たな基準日を定めるという条文は会社法に存在しません。


5.正しい

 選択肢のとおりです。

 会社法298条1項3号によれば、取締役は、株主総会を招集する場合、「株主総会に出席しない株主が書面により議決権を行使することができること」とするときは、その旨を定めなければならないとします。
 つまり、書面によって議決権を行使できるのは、株主総会に出席しない株主です。
 したがって、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときは、書面による議決権行使の効力は失われます。

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02

正解は「株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。」です。

選択肢1. 株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。

会社法124条1項「株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。」より正しいです。

選択肢2. 株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。

会社法124条4項「基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。」より、正しいです。

選択肢3. 株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。

会社法310条1項「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。」より、正しいです。

選択肢4. 株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。

会社法にこのような規定はありません。

選択肢5. 株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

会社法298条3項「株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨」とあり、株主総会を招集する場合、株主総会に出席する株主は、書面によって議決権を行使することはできません。

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03

この問題のポイントは、基準日株主と議決権の代理行使です。

まず、基準日株主とは株式会社が基準日を定めて、その基準日を株主名簿に記載又は記録されている株主のことをいいます。

そして、株式会社は基準日株主を権利を行使することができる者とすることができます。

会社法124条では、次のように定められています。

1.株式会社は基準日を定めて、基準日株主を権利を行使することができる者とすることができる

2.1の場合、基準日株主が行使することができる権利の内容を定めなければならない

(ただし、基準日から3ヶ月以内に行使するものに限る)

3. 基準日を定めたときは、当該基準日の2週間前までに基準日、行使することができる権利の

内容を広告しなければならない。(ただし、定款にこれらを定めた場合は、広告は不要)

4. 行使することができる権利が株主総会等の議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後 

に株式を取得した者の全部又は一部をこの権利を行使することができる者と定めることが

  できる。(ただし、基準日株主の権利を害することはできない)

次に議決権の代理行使についてです。

これは会社法第310条に次のように書かれています。

1. 株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、

当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。

2. 前項の代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない。

3. 第一項の株主又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところに

より、株式会社の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること

ができる。この場合において、当該株主又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす

4. 株主が第二百九十九条第三項の承諾をした者である場合には、株式会社は、正当な理由がなけ

れば、前項の承諾をすることを拒んではならない

5. 株式会社は、株主総会に出席することができる代理人の数を制限することができる

6. 株式会社は、株主総会の日から三箇月間、代理権を証明する書面及び第三項の電磁的方法によ

り提供された事項が記録された電磁的記録をその本店に備え置かなければならない

7. 株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない

株主を除く。次条第四項及び第三百十二条第五項において同じ。)は、株式会社の営業時間内

は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を

明らかにしてしなければならない

一. 代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求

二. 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は

謄写の請求

8. 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むこ

とができない

一. 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使

   に関する調査以外の目的で請求を行ったとき

二. 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行

ったとき

三. 請求者が代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第二号の電磁的記録に記録され

た事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写によって知り得た事

実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき

四. 請求者が、過去二年以内において、代理権を証明する書面の閲覧若しくは謄写又は前項第二

号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しく

は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができる。

株式会社は基準日株主を株主総会において議決権を行使できる者と定めることができます。

よって、株式会社は、基準日を定めて、当該基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(以下、「基準日株主」という。)を株主総会において議決権を行使することができる者と定めることができます。

選択肢2. 株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができる。

行使することができる権利が株主総会等の議決権である場合には、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができるとなっています。

よって、株式会社は、基準日株主の権利を害することがない範囲であれば、当該基準日後に株式を取得した者の全部または一部を株主総会における議決権を行使することができる者と定めることができます。

選択肢3. 株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができる。

議決権の代理行使は、株主総会ごとにしなければならないとされています。

よって、株主は、株主総会ごとに代理権を授与した代理人によってその議決権を行使することができます。

選択肢4. 株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができる。

会社法に選択肢の文章の規定はありません。

よって、株主総会においてその延期または続行について決議があった場合には、株式会社は新たな基準日を定めなければならず、新たに定めた基準日における株主名簿に記載または記録されている株主が当該株主総会に出席することができるという会社法の規定はありません。

選択肢5. 株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。

会社法第298条1項3号に取締役は株主総会を招集する場合には、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、それを定めなければならないとされています。

これより、議決権行使書面を送付できるのは株主総会に出席しない株主となります。

よって、株主が議決権行使書面を送付した場合に、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われます。

まとめ

今回の問題でもあるように、会社法における株主や株式総会について問われることは行政書士試験にはあります。

過去問とその関連条文を照らしながら、条文理解を深めるのが会社法の勉強には最適かと考えられます。

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