行政書士の過去問
令和2年度
法令等 問37
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問題
行政書士試験 令和2年度 法令等 問37 (訂正依頼・報告はこちら)
株式会社の設立等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。
ア 発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
イ 株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。
ウ 現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。
エ 株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
オ 発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
ア 発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
イ 株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。
ウ 現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。
エ 株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。
オ 発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
- ア・ウ
- ア・エ
- イ・エ
- イ・オ
- ウ・オ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 1(ア.ウ)
ア.正しい
選択肢のとおりです。
会社法25条2項のとおり、各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません。
これは、発起設立も募集株式も同様です。
イ.誤り
本肢のような株式会社の設立の取消しの訴えという制度はありません。
民法828条による「株式会社については設立無効の訴え」という制度はあります。
また、民法832条により持分会社では「持分会社の設立の取消しの訴え」があります。
ウ.正しい
選択肢のとおりです。
会社法33条10項3号のとおり、現物出資財産等について、定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合、現物出資財産等については検査役による調査を要しません。
エ.誤り
会社法56条のとおり、株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担します。
責任を負うのは発起人だけです。
オ.誤り
会社法64条1項のとおり、募集設立の発起人は、払込み取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書(払込金保管証明書)の交付を請求することができます。
したがって、発起設立および募集設立のいずれの場合ではなく、募集設立の場合のみです。
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02
正解はア・ウです。
ア:〇 正しい記載です。
発起設立、募集設立によらず、発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける必要があります。
イ:× このような制度はありません。
ウ:〇 会社法33条10項3号のとおり正しい記載です。
エ:× 会社法56条のとおり、発起人が費用を連帯して負担することは正しいですが、設立時役員が費用は負担する必要はありません。
オ:× 会社法64条1項のとおり、銀行等に証明書の交付を請求できるのは募集設立の場合のみです。
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03
この問題のポイントは、発起設立と募集設立についてです。
まず、発起設立とは株式会社の設立の際に発行する株式の全部を発起人が引受、発起人以外からは株式を引き受ける者を募集しないで会社を設立する方法です。
募集設立は株式会社の設立の際に発行する株式の一部を発起人が引受、残りの株式は発起人以外の株主を募集して会社を設立する方法です。
この2つの共通点として、発起人の決定、発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けること、定款の作成、発起人の出資の方法、登記申請と費用です。
次に発起設立と募集設立の違いは、以下の通りです。
1. 募集設立の場合は、株主の募集と創立総会の手続きが必要となります。
また、創立総会では、議決権を持っている株主の議決権の過半数の出席と、出席した株主の
議決権の3分の2の多数決によって役員を決めます。
2. 発起設立、募集設立ともに会社設立に際して、出資金は金融機関に払い込むことになりますが
払込金額の証明方法に違いがあります。
発起設立の場合は、払い込みの記載がある個人通帳のコピーで足ります。
しかし、募集設立の場合は、金融機関が発行する払込金保管証明書が必要です。
では、以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭とアの文章を照らし合わせて、見ていきましょう。
発起設立と募集設立の共通点として、発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けることなので、
発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないとなります。
イの文章を見てみましょう。
会社法を見ると、持分会社のみ、設立の取消の訴えの規定があります。
よって、 株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負う必要がないといえます。
ウの文章を見てみましょう。
会社法第33条10項の三より、現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(外国公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士をいう。)を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価。以下この号において同じ。)を受けた場合、検査役の選任の申し立てをしなくてよいとされています。
よって、現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しないとなります。
エの文章を見てみましょう。
会社法56条より、株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担するとされています。
よって、株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担するとなります。
解説の冒頭とオの文章を照らし合わせて、見ていきましょう。
発起設立の場合は、払い込みの記載がある個人通帳のコピーで足ります。
しかし、募集設立の場合は、金融機関が発行する払込金保管証明書が必要です。
よって、募集設立の場合は、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができるとなります。
会社の設立に関しては、行政書士試験の必須分野となるので、条文学習は勿論、過去問を解きながら、イメージを掴むのが大事です。
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