行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問14

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問題

行政書士試験 令和3年度 法令等 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

行政不服審査法が定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。
  • 審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。
  • 審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
  • 再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。
  • 審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.行政不服審査法第25条4項において、「審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない」とされています。

ただし、「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。」とされており、理由がない場合は停止する義務はありません。よって誤りです

2.行政不服審査法第26条において「執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったときその他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる」とされています。よって誤りです

3.審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができることは行政不服審査法第40条で規定されています。

また「執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない」(行政不服審査法第25条7項)と規定されています。よって正しいです

4.3項を除いて第25条の執行停止の規定が再調査の請求について準用されるとされています。(行政不服審査法第61条)よって誤りです

第25条3項は「処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁」の場合の規定です。

5.処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる(行政不服審査法25条3項)とされています。

よって誤りです

処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれかにあたる審査庁の場合、審査請求人の申立てにより又は職権で執行停止できます。

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02

1.誤り。

行政不服審査法による執行停止において、「本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。」(行審法25条4項ただし書)とされており、「本案について理由がないとみえるとき」には、審査庁は執行停止をしないことができます。

2.誤り。

審査庁は、「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したとき」(行審法26条)に執行停止を取り消すことができます。

3.正しい。

4.誤り。

再調査の請求であっても、請求人は執行停止を申し立てることはできます。

(行審法61条、66条1項)

5.誤り。

「処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。」(行審法25条3項)とされており、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことができます。

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03

この問題では、条文知識がそのまま問われています。まずはしっかりと条文を読み込んで対策をしていきましょう。

選択肢1. 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。

誤りです。

行政不服審査法25条4項ただし書には「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。」とあるので、本文のように“本案について理由がないと見えるとき”は、執行停止をする必要はありません。 

選択肢2. 審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。

誤りです。

行政不服審査法26条には「執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。」とあるので、本文のように“その後の事情の変更を理由として”とある場合はその執行停止を取り消すことができます。

選択肢3. 審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

正しいです。

行政不服審査法25条6項には「執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。」とあり、条文がそのまま答えとなっています。

選択肢4. 再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。

誤りです。

行政不服審査法61条において同法25条3項を除き、審査請求の規定が準用されいます。同法25条2項より「処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置をとることができる。」とあるので、再調査の請求においても請求人は執行停止を申し立てることはできます。

選択肢5. 審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。

誤りです。

行政不服審査法25条3項より「処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。」とあるので、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできます。

まとめ

行政不服審査法25条についてどれくらい読み込んでいるかが明暗を分ける問題でした。

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