行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問20

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問題

行政書士試験 令和3年度 法令等 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、消防署の職員が出火の残り火の点検を怠ったことに起因して再出火した場合において、それにより損害を被ったと主張する者から提起された国家賠償請求訴訟にかかる最高裁判所の判決の一節である。空欄( ア )~( オ )に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条( ア )を規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」に( イ )と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を( ウ )合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が( エ )され、当該公務員に重大な過失のあることを( オ )ものといわなければならない。
(最二小判昭和53年7月17日民集32巻5号1000頁)
  • ア:の特則        イ:含まれる   ウ:排除すべき  エ:適用  オ:必要とする
  • ア:が適用されないこと  イ:含まれない  ウ:認めるべき  エ:排除  オ:必要としない
  • ア:が適用されないこと  イ:含まれない  ウ:排除すべき  エ:適用  オ:必要としない
  • ア:が適用されないこと  イ:含まれる   ウ:認めるべき  エ:排除  オ:必要とする
  • ア:の特則        イ:含まれない  ウ:排除すべき  エ:適用  オ:必要としない

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この過去問の解説 (3件)

01

行政力の行使においても民法上の適用がなされる場合があります。

失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条( の特則 )を規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」に( 含まれる )と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を( 排除すべき )合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が( 適用 )され、当該公務員に重大な過失のあることを( 必要とする )ものといわなければならない。

よって、正解は1。

参考:失火責任法(原文ママ)

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

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02

 公権力の行使にあたる公務員の失火と失火の責任に関する損害賠償(昭和53年7月17日)の判例です。

公務員の失火に対する国・公共団体の損害賠償責任については失火責任法が適用されるので、「重大な過失」がなければ賠償責任を負わない、という内容です。

 

以下、全文です。

 失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条の特則を規定したものであるから、国家賠償法4条の「民法」に含まれると解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用を排除すべき合理的理由も存しない。したがつて、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなければならない。

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03

民法の特則の失火責任法についての問題です。

選択肢1. ア:の特則        イ:含まれる   ウ:排除すべき  エ:適用  オ:必要とする

失火責任法は、失火者の責任条件について民法709条ア:の特則】を規定したものであるから、国家賠償法4条の『民法』にイ:含まれる】と解するのが相当である。また、失火責任法の趣旨にかんがみても、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任についてのみ同法の適用をウ:排除すべき】合理的理由も存しない。したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法がエ:適用】され、当該公務員に重大な過失のあることをオ:必要とする】ものといわなければならない

 

失火の責任に関する法律は、民法ではなく失火責任法の特則が適用されるため、「重大な過失」がなければ賠償責任を負わないということになります。

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