行政書士の過去問
令和3年度
法令等 問38
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
行政書士試験 令和3年度 法令等 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
株券が発行されない株式会社の株式であって、振替株式ではない株式の質入れに関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 株主が株式に質権を設定する場合には、質権者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録しなければ、質権の効力は生じない。
- 株主名簿に質権者の氏名または名称および住所等の記載または記録をするには、質権を設定した者は、質権者と共同して株式会社に対してそれを請求しなければならない。
- 譲渡制限株式に質権を設定するには、当該譲渡制限株式を発行した株式会社の取締役会または株主総会による承認が必要である。
- 株主名簿に記載または記録された質権者は、債権の弁済期が到来している場合には、当該質権の目的物である株式に対して交付される剰余金の配当(金銭に限る。)を受領し、自己の債権の弁済に充てることができる。
- 株主名簿に記載または記録された質権者は、株主名簿にしたがって株式会社から株主総会の招集通知を受け、自ら議決権を行使することができる。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
1.会社法第146条2項「株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」によれば、質入れの効力を生じる要件は株券の交付であり、質権者の氏名等の名簿への記載は言及されていません。
よって誤りです。
2.「株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。」(会社法第148条)と規定されており、その第1号に「質権者の氏名又は名称及び住所」が含まれます。
質権を設定した者単独で行えるため誤りです。
3. 株式譲渡担保契約無効確認請求(昭和46年10月14日)において、譲渡制限株式に質権や担保権を設定するために株式会社の取締役会や株主総会の承認は不要であると採決されています。
よって誤りです。
なお、判例によると「取締役会の承認をえずになされた株式の譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、 譲渡当事者間においては有効であると解するのが相当である。」とされています。
すなわち質権や担保権の設定は当事者間の意思表示で足りますが、実際に質権や担保権を実行する際には取締役会や株主総会への承認請求が必要になります。
4.会社法第154条1項に「登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。」と規定されています。
よって正しいです。なお第151条1項8号が「剰余金の配当」にあたります。
5.そういった規定はありません。よって誤りです。
参考になった数11
この解説の修正を提案する
02
株式の質入れに関する問題です。
誤り。
「株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。」(会社法146条2項)と規定されています。
質権の設定と株主名簿の関係については規定されていません。
誤り。
質権設定者と共同して請求しなければいけないという旨の規定はありません。
誤り。
譲渡制限株式についての質権設定について特別の定めが書かれた規定はありません。
正しい。
「登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる」(会社法154条1項)とされ、条文の通りです。
誤り。
株主名簿に記録された質権設定者が自ら議決権を行使できるといった旨の規定はありません。
参考になった数2
この解説の修正を提案する
03
この問題のポイントは会社法146条、148条、154条の理解です。
会社法146条は株主は、その有する株式に質権を設定することができる。
2 株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
とされています。
会社法148条は株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
一 質権者の氏名又は名称及び住所
二 質権の目的である株式
とされています。
会社法154条は登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
2 株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
一 第百五十一条第一項第一号から第六号まで、第八号、第九号又は第十四号に掲げる行為 当該株式会社
二 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
三 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
四 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
五 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
3 第百五十一条第二項に規定する場合において、第一項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該特別支配株主に同条第二項の金銭に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
とされています。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないとされています。
よって、株主が株式に質権を設定する場合には、質権者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録しなければ、質権の効力は生じないという会社法の規定はありません。
解説の冒頭より、株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、質権者の氏名又は名称及び住所と質権の目的である株式を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができるとされています。
よって、株主名簿に質権者の氏名または名称および住所等の記載または記録をするには、質権を設定した者は、単独で株式会社に対してそれを請求できるとなります。
譲渡制限株式に質権を設定するには、当該譲渡制限株式を発行した株式会社の取締役会または株主総会による承認が必要であるという規定は会社法にはありません。
解説の冒頭より、登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができるとされています。
よって、株主名簿に記載または記録された質権者は、債権の弁済期が到来している場合には、当該質権の目的物である株式に対して交付される剰余金の配当(金銭に限る。)を受領し、自己の債権の弁済に充てることができるとなります。
株主名簿に記載または記録された質権者は、株主名簿にしたがって株式会社から株主総会の招集通知を受け、自ら議決権を行使することができるという規定は会社法にはありません。
この問題のように条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問37)へ
令和3年度問題一覧
次の問題(問39)へ