行政書士の過去問
令和3年度
一般知識等 問51

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問題

行政書士試験 令和3年度 一般知識等 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

国際収支に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上される。
  • 発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。
  • 海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
  • 海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。
  • 日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算される。

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この過去問の解説 (3件)

01

用語の定義を知っている人には難しくない問題です。

経常収支:

貿易・サービス収支、第一次所得収支(対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示す)、第二次所得収支(居住者と非居住者との間の対価を伴わない資産の提供に係る収支状況を示す)の合計。

金融収支に計上される取引以外の、居住者・非居住者間で債権・債務の移動を伴う全ての取引の収支状況を示します。

資本移転等収支:

対価の受領を伴わない固定資産の提供、債務免除のほか、非生産・非金融資産の取得処分等の収支状況を示します。

金融収支:

直接投資、証券投資、金融派生商品、その他投資及び外貨準備の合計。

金融資産にかかる居住者と非居住者間の債権・債務の移動を伴う取引の収支状況を示します。

(財務省ホームページ:https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/term.htmより)

選択肢1. 海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上される。

正しいです。

ホテルへの宿泊料の支払いはサービスへの対価のため、マイナスとなります。

選択肢2. 発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。

正しいです。国外に財貨が移転していますのでマイナスです。

選択肢3. 海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。

誤りです。国外に財貨が移転しており、マイナスが正しいです。

選択肢4. 海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。

正しいです。

配当・利子という財貨が国内に移転していますのでプラスとなります。

選択肢5. 日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算される。

正しいです。

海外企業の株式という財貨が国内に移転していますので、プラスとなります。

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02

国際収支とは、一定期間における海外との取引における収支を意味し、基本的に海外からの財貨等の受け取りが支払いが大きければ黒字(+)となり、支払いのほうが大きければ赤字(-)となります。

(厳密な定義や計算式は存在しますが、理解のしやすさから割愛致します)

1.正しい。海外への支払いとなるためマイナスとして計上されます。

2.正しい。サービスや労役等も国際収支の計算の対象となり、海外への支払い(ここでは労役提供)としてマイナス計上されます。

3.誤り。海外へ財貨が移転されるため、マイナスとして計上されます。

4.正しい。海外より財貨を受け取っているため、プラスとして計上されます。

5.正しい。海外の株式が国内に移転したと考え、プラスとして計上されます。

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03

この問題のポイントは国際収支の理解です。

まず国際収支とは一国が外国と経済取引をし、どのくらい収入があるのか、どれだけ支出したのかが分かる統計のことです。

国際収支を構成しているのは経常収支、金融収支、資本移転等収支の3つです。

経常収支とはある国との経済取引で生じた収支のことで貿易収支・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の3つで構成されています。

貿易収支は財の輸出や輸入による資金の流れのことで、輸出すれば黒字、輸入すれば赤字となります。

サービス収支とは運輸、観光、金融、保険、通信のように、形のない商品による資金の流れで、例えば、外国人が日本に旅行した際に発生する宿泊費や食費は日本にとって、サービス収支がプラスになります。

第一次所得収支は資金や労働などの生産要素が得る所得のやり取りで国境を超えるもので、例えば、日本が外国の株式を取得して利益を得た場合の配当です。

第二次所得収支は政府や民間などが行う外国への援助のことで、対価性のない一方的な取引のことです。

例えば、日本では外国への援助をたくさん行っており、お金が日本から出ていっているので、日本の第二次所得収支はマイナスです。

最後に金融収支とは、国と国の金融資産に関する取引のことで、資産の増加が黒字、負債を赤字で表します。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上される。

解説の冒頭より、宿泊料はサービス収支に該当し、外国人が日本に旅行した際に発生する宿泊費や食費は日本にとって、サービス収支がプラスになります。

よって、海外旅行先における現地ホテルへの宿泊料を支払った場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計上されるとなります。

選択肢2. 発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上される。

解説の冒頭より、発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なうのは第二次所得収支に該当し、この場合は自国からお金が出てくるので自国の第二次所得収支はマイナスとなります。

よって、発展途上国への社会資本整備のために無償資金協力を自国が行なった場合、その金額は、自国の資本移転等収支上で、マイナスとして計上されるとなります。

選択肢3. 海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。

解説の冒頭より、海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合は第二次所得収支に該当し、これは自国からお金が出ているので、自国の第二次所得収支はマイナスとなります。

よって、海外留学中の子どもの生活費を仕送りした場合、その金額は、自国の経常収支上で、マイナスとして計算されるとなります。

選択肢4. 海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算される。

解説の冒頭より、海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合は第一次所得収支で、国内の企業が配当を得たので、自国の第一次所得収支はプラスとなります。

よって、海外への投資から国内企業が配当や利子を得た場合、その金額は、自国の経常収支上で、プラスとして計算されるとなります。

選択肢5. 日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算される。

解説の冒頭より、金融収支とは、国と国の金融資産に関する取引のことで、資産の増加が黒字となるので、日本企業が海外企業の株式を購入した場合は日本の資産が増加するので、日本の金融収支はプラスとなります。

よって、日本企業が海外企業の株式を購入した場合、その金額は、日本の金融収支上で、プラスとして計算されるとなります。

まとめ

この問題のように各省のホームページの用語集から問題が出てくることがあるので、各省のホームページの用語集も見た方が良いかもしれません。

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