行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問6
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問題
行政書士試験 令和4年度 法令等 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- 内閣は、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経て条約を締結するが、やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる。
- 内閣は、国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる。
- 参議院の緊急集会は、衆議院の解散により国会が閉会している期間に、参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される。
- 内閣総理大臣が欠けたとき、内閣は総辞職をしなければならないが、この場合の内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
- 新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
内閣の権能は、天皇の助言機関と行政権の主体の機能を備えています。
国会との関係についての出題です。
憲法第73条3号ただし書きより、内閣の条約締結は、やむを得ない事情があれば、事前にまたは事後に国会の承認を経ることを必要とするとなっています。
よって、文中の「国会の承認なく条約を締結できる」という点で妥当ではありません。
国会→法律の制定
内閣→内閣が制定する命令(法律の規定を実施するもの)
国会閉会中であっても、国会の権限を超えて内閣が法律にかわる政令を制定することはできません。
よって、文中の「法律にかわる政令を制定することができる」という点で妥当ではありません。
衆議院解散=参議院も閉会します。
しかし、内閣は国に緊急の必要があるとき、内閣の要求により参議院の緊急集会を招集することができます。(憲法54条2項)その際、決定した措置は、次の国会で衆議院の同意が必要となります。
よって、文中の「参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合」という点は、臨時会の時なので、妥当ではありません。
【内閣が総辞職するとき】
①内閣不信任決議案が提出される(総辞職か衆議院解散)
②憲法第70条による総辞職
③内閣総理大臣が欠けたとき
③の事由としては、衆議院議員選挙選挙落選、死亡や国外への亡命、辞意の表明などです。
そして、憲法第71条により、内閣総辞職後の内閣は、次の内閣総理大臣が任命されるまでは引き続きその職務を行う(職務執行内閣といいます)としています。
よって、こちらが妥当です。
予備費とは、予見し難い予算の不足に充てるものです。
そして、国会の議決により決定し、内閣の責任で支出します(憲法第87条1項)
暫定予算とは、本予算が未成立のときに暫定的に予算を編成することです。
予算が成立していない際に、内閣が自らの判断で予備費を設けることはできません。
よって、妥当ではありません。
憲法条文内容を記憶していると、回答できる選択肢もあったかと思います。
判例問題より易しい出題なので、憲法分野では得点源となります。
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02
本問は統治に関する問題です。
憲法73条第3項は
「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を得ることを必要とする」
としています。
よって、本記述は誤っています。
憲法41条後段は「国の唯一の立法機関である」としています。
(国会中心立法の原則)
よって、内閣は法律にかわる政令を制定することはできません。
したがって、本記述は誤っています。
憲法54条第2項後段は
「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる」
としています。
したがって、参議院の4分の1以上の要求は必要ありません。
よって、本記述は誤っています。
憲法71条は、
「内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ」
としています。
よって、本記述は正しいです。
憲法72条第2項は
「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない」
としています。
よって、本記述は誤っています。
本問は憲法の統治について問う問題ですが、条文の知識があれば正答できる問題になります。
しっかりと条文を素読するようにしましょう。
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03
内閣の権限に関する出題です。
日本国憲法73条により、「内閣は、他の一般行政事務の外、①法律を誠実に執行し、国務を総理すること、➁外交関係を処理すること、③条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする、④法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること、⑤予算を作成して国会に提出すること、⑥この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない、⑦大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定する事務を行ふ。」とされます。
つまり、「やむを得ない事情があれば、事前または事後の国会の承認なく条約を締結できる」という部分が、妥当ではありません。
日本国憲法73条により、「内閣は、他の一般行政事務の外、①法律を誠実に執行し、国務を総理すること、➁外交関係を処理すること、③条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする、④法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること、⑤予算を作成して国会に提出すること、⑥この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない、⑦大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定する事務を行ふ。」とされます。
つまり、「国会が閉会中で法律の制定が困難な場合には、事後に国会の承認を得ることを条件に、法律にかわる政令を制定することができる」という部分が、妥当ではありません。
日本国憲法54条2項により、「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」とされます。
つまり、「参議院の総議員の4分の1以上の要求があった場合、内閣によりその召集が決定される」という部分が、妥当ではありません。
日本国憲法69条により、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」とされ、70条により、「内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。」とされるので、妥当です。
日本国憲法87条1項により、「見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」とされます。
つまり、「新年度開始までに予算が成立せず、しかも暫定予算も成立しない場合、内閣は、新年度予算成立までの間、自らの判断で予備費を設け予算を執行することができる。」ということは、妥当ではありません。
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