行政書士の過去問 令和4年度 法令等 問16
この過去問の解説 (2件)
行政不服審査法の「教示」に関する問題です。教示が必要な場合と内容、教示を怠った場合の救済措置などの規定を覚えておきましょう。
妥当ではありません
処分を書面でする場合には書面で教示しなければなりませんが、口頭で処分をする場合には、そもそも教示をする必要がありません。
<行政不服審査法82条>
1 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
妥当です
処分庁が審査請求をすることができる処分をなす場合において、処分の相手方に対し、教示すべき内容は以下の3つです。(行政不服審査法82条1項)
・当該処分につき不服申立てをすることができる旨
・不服申立てをすべき行政庁
・不服申立てをすることができる期間
教示すべき内容に「行停止の申立てをすることができる旨」は含まれていません。
妥当です
利害関係人が教示を求めた場合も教示をしなければなりません。内容は、処分時に相手方に教示されるものと同じで、書面で求められれば書面でしなければなりません。
<行政不服審査法82条>
2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。
妥当です
処分庁が必要な教示を怠った場合、処分の相手方は不利益を受けることになるので、救済措置として当該処分庁に不服申立書を提出することができます。受け取った処分庁は、不服申立書を本来提出すべき行政庁へ送付しなければなりません。処分庁経由で本来の提出先に不服申立書が届けば、初めからその行政庁に不服申立てがされたものとみなされます。
<行政不服審査法83条>
1 行政庁が前条の規定による教示をしなかった場合には、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。
妥当です
問題文の通り、再審査請求をすることができる裁決をする場合には教示が必要です。記載する内容は以下の3つです。
・再審査請求をすることができる旨
・再審査請求をすべき行政庁
・再審査請求をすることができる期間
<行政不服審査法50条>
3 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁及び再審査請求期間(第六十二条に規定する期間をいう。)を記載して、これらを教示しなければならない。
行政事件訴訟法にも教示の規定があります。混同しないように、ポイントを絞ってそれぞれの違いをまとめておきましょう。
・教示すべき内容
・教示を怠った場合の救済措置の有無
行政不服審査法の「教示」とは、行政庁から国民に不服申し立ての可否や方法を教えることをいいます。
そして、行政不服審査法は、表示懈怠または表示を誤った際の救済措置についても規定しています。
妥当ではありません。
処分を口頭でする場合に、書面での教示義務はありません。
(行政不服審査法第82条)
妥当です。
教示制度では、審査請求をすることができる処分をするときは、「処分の相手方」に限定し、義務があります。
利害関係人等は教示を求めることで確認でき、処分庁の教示義務となります。
妥当です。
利害関係人は不服申し立てをすることができる処分であるか、不服申し立てができる場合は申立てをすべき行政庁、その期間につき教示を求め、行政庁は当該事項を教示しなければなりません。
妥当です。
行政不服審査法第83条において、処分庁が教示をしなかった場合に当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができるとあります。
妥当です。
行政不服審査法第50条に、審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をなす場合には、裁決書に、再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁および再審査請求期間を記載してこれらを教示しなければならないとあります。
再審査請求の場合は、裁決書に記載します。
行政不服審査法の教示の義務は、不服申立て可能な処分を行うときの処分の相手方と、利害関係人から教示を求められたときです。
行政事件訴訟法の教示義務との違いを調べてみてください。
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