行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問39

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問題

行政書士試験 令和4年度 法令等 問39 (訂正依頼・報告はこちら)

公開会社における株主総会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款に別段の定めはなく、かつ、株主総会の目的である事項の全部または一部について議決権を有しない株主はいないものとする。
  • 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
  • 総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
  • 株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。
  • 総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、取締役に対し、検査役を選任すべきことを請求することができる。
  • 取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでない。

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この過去問の解説 (3件)

01

株主総会とは、会社の組織運営の根本にかかわる意思決定を行う最高の意思決定機関です。権限や招集権者については会社法に規定されています。

選択肢1. 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

正しいです

原則として総株主の議決権の3/100以上の議決権を6ヵ月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます(会社法297条1項)。

選択肢2. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。

正しいです

総株主の議決権の1/100以上の議決権又は300個以上の議決権を6ヵ月前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができます。この場合において、その請求は、株主総会の日の8週間前までにしなければなりません(会社法303条2項)。

選択肢3. 株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。

正しいです

株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項につき議案を提出することができます。

ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の1/10(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、議案の提出はできません(会社法304条)。

選択肢4. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、取締役に対し、検査役を選任すべきことを請求することができる。

誤りです

株式会社又は総株主の議決権の100分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し検査役の選任の申立てをすることができます(会社法306条1項)。

問題文では、申立てをするのが「取締役に対し」になっているため誤りです。

選択肢5. 取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでない。

正しいです

取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければなりません。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、説明義務はありません(会社法314条)。

まとめ

株主総会に関するルールに関しては、細かいところまで丸暗記するのは難しいかと思いますが、基本事項だけは押さえておいて、選択肢を狭められるようにしましょう。

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02

公開会社とは、発行する全部または一部の株式に譲渡制限されていない株式会社をいい、非公開会社とは、定款において全ての株式に譲渡制限がある株式会社をいいます。

選択肢1. 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

正しい

会社法297条1項により、総株主の100分の3以上の議決権を6か月以上前から引き続き有する株主が請求することができます。

選択肢2. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。

正しい

会社法303条2項により請求することができます。

少数株主が株主総会の議題提案権を行使できます。

選択肢3. 株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。

正しい

会社法304条により、株主は議案の提出が可能です。

議案には、法令・定款に違反するもの、10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していないものは提出できません。

選択肢4. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、取締役に対し、検査役を選任すべきことを請求することができる。

誤り

検査役を選任すべきことを請求するのは、取締役ではなく裁判所に申し立てます。

選択肢5. 取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでない。

正しい

会社法314により、株主からの説明の求めにより、必要な説明をしなければいけません。

まとめ

実際の株主総会は、ニュースや動画で拝聴することができます。

参照してみてください。

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03

この問題のポイントは会社法297条1項、303条2項、304条、306条1項、314条の理解です。

会社法297条1項は総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができるとされています。

会社法303条2項は株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができるとされています。

会社法304条は株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。次条第一項において同じ。)につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでないとされてます。

会社法306条1項は株式会社又は総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができるとされてます。

会社法314条は取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでないとされています。

 

以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。

選択肢1. 総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

解説の冒頭より、総株主の議決権の百分の三以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができるとされています。

よって、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項および招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができるとなります。

選択肢2. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。

解説の冒頭より、株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができるとされています。

よって、総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができるとなります。

選択肢3. 株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでない。

解説の冒頭より、株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の百分の一以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができるとされてます。

よって、株主は、株主総会において、当該株主総会の目的である事項につき議案を提出することができる。ただし、当該議案が法令もしくは定款に違反する場合または実質的に同一の議案につき株主総会において総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、この限りでないとなります。

選択肢4. 総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、取締役に対し、検査役を選任すべきことを請求することができる。

解説の冒頭より、株式会社又は総株主の議決権の百分の一以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをすることができるとされてます。

よって、総株主の議決権の100分の1以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会に係る招集の手続および決議の方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役を選任すべきことを請求することができるとなります。

選択肢5. 取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでない。

解説の冒頭より、取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでないとされています。

よって、取締役、会計参与、監査役および執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由があるとして法務省令で定める場合は、この限りでないとなります。

まとめ

この問題のように、条文知識を問う問題は必ず出てくるので、条文素読もやった方が良いでしょう。

参考になった数1