行政書士の過去問
令和4年度
法令等 問38
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問題
行政書士試験 令和4年度 法令等 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
特別支配株主の株式売渡請求に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の他の株主(当該対象会社を除く。)の全員に対し、その有する当該対象会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。
- 株式売渡請求をしようとする特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社に対し、株式売渡請求をする旨および対価として交付する金銭の額や売渡株式を取得する日等の一定の事項について通知し、当該対象会社の株主総会の承認を受けなければならない。
- 株式売渡請求をした特別支配株主は、株式売渡請求において定めた取得日に、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の株主が有する売渡株式の全部を取得する。
- 売渡株主は、株式売渡請求が法令に違反する場合であって、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、特別支配株主に対し、売渡株式の全部の取得をやめることを請求することができる。
- 株式売渡請求において定めた取得日において公開会社の売渡株主であった者は、当該取得日から6か月以内に、訴えをもってのみ当該株式売渡請求に係る売渡株式の全部の取得の無効を主張することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
「特別支配株主」とは、株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を保有する株主を言います。そして、株式売渡請求とは、特別支配株主が対象会社の承認を受けた上で、他の株主が有する対象会社の株式等の全部を強制的に取得できる権利のことです。
正しいです
株式会社の特別支配株主は、当該株式会社の株主の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができます(会社法179条1項)。
誤りです
特別支配株主は、株式売渡請求をしようとするときは、対象会社に対し、株式売渡請求をする旨および対価として交付する金銭の額や売渡株式を取得する日等の一定の事項を通知し、その承認を受けなければなりません(会社法179条の3第1項)。
取締役会設置会社が上記承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければなりません(会社法179条の3第3項)。
よって、必要なのは「取締役会の決議」であって「株主総会の決議」ではありません。
正しいです
株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得します(会社法179条の9第1項)。
正しいです
次に掲げる場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができます(会社法179条の7)。
正しいです
株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日から6ヵ月以内(対象会社が非公開会社の場合は、当該取得日から1年以内)に、訴えをもってのみ主張することができます(会社法846条の2第1項)。
会社法は、出題される問題数に比べて範囲が広いため細かいところまでカバーするのが難しい科目になります。条文を全て暗記したり把握するのは難しいので、余裕があれば株式売渡請求の制度の特徴だけでも押さえておくのが良いかと思います。
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02
特別支配株主とは、90%以上の株式を保有している株主を呼び、株主売渡請求とはその特別支配株主が株主総会の決議必要なく、少数株主の同意なく強制的に株式を買い取ることをいいます。
正しい
会社法179条1項により、特別支配株主は当該株式会社の株主全員に対し、当該株式の全部を特別支配株主に売り渡すよう請求できます。
誤り
取締役会設置会社においては、取締役会の決議によるので、株主総会の承認とは限りません。
正しい
会社法179条の9第1項のとおり、株式売渡請求において定めた取得日に売渡株式の全部を取得します。
正しい
会社法179条の7のとおり、株式売渡請求が法令に違反し、売渡株主が不利益を受けるおそれのある時は、売渡株主は売渡株式の全部の取得をやめることを請求することができます。
正しい
会社法846条の2第1項のとおり、売渡株主の売渡株式取得無効は、取得日から6か月以内に提起しなければなりません。
比較的新しく新設された特別支配株主の株式売渡請求についての問題でした。この創設により株式売渡の手続きが簡単になりました。
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03
この問題のポイントは、会社法179条1項、179条の3第1項及び3項、179条の7第1項1号、179条の9第1項、846条の2第1項・2項の理解です。
まず会社法179条1項は株式会社の特別支配株主(株式会社の総株主の議決権の十分の九(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を当該株式会社以外の者及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人(以下この条及び次条第一項において「特別支配株主完全子法人」という。)が有している場合における当該者をいう。以下同じ。)は、当該株式会社の株主(当該株式会社及び当該特別支配株主を除く。)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができるとされています。
会社法179条の3第1項は特別支配株主は、株式売渡請求(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡請求及び新株予約権売渡請求。以下「株式等売渡請求」という。)をしようとするときは、対象会社に対し、その旨及び前条第一項各号に掲げる事項を通知し、その承認を受けなければならないとされており、その第3項は取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならないとされています。
会社法179条の7第1項1号は株式売渡請求が法令に違反する場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができるとされています。
会社法179条の9第1項は株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得するとされています。
最後に会社法846条の2第1項は株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日(第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日をいう。以下この条において同じ。)から六箇月以内(対象会社が公開会社でない場合にあっては、当該取得日から一年以内)に、訴えをもってのみ主張することができるとされており、会社法846条の2第2項は前項の訴え(以下この節において「売渡株式等の取得の無効の訴え」という。)は、次に掲げる者に限り、提起することができる。
一 取得日において売渡株主(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求がされた場合にあっては、売渡株主又は売渡新株予約権者。第八百四十六条の五第一項において同じ。)であった者
二 取得日において対象会社の取締役(監査役設置会社にあっては取締役又は監査役、指名委員会等設置会社にあっては取締役又は執行役。以下この号において同じ。)であった者又は対象会社の取締役若しくは清算人
とされています。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭より、株式会社の特別支配株主は当該株式会社の株主の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができるとされています。
よって、特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の他の株主(当該対象会社を除く。)の全員に対し、その有する当該対象会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができるとなります。
解説の冒頭より、特別支配株主は、株式売渡請求をしようとするときは、対象会社に対し、その旨及び前条第一項各号に掲げる事項を通知し、その承認を受けなければならないとされており、取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならないとされています。
よって、株式売渡請求をしようとする特別支配株主は、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社に対し、株式売渡請求をする旨および対価として交付する金銭の額や売渡株式を取得する日等の一定の事項について通知し、当該対象会社の承認を受けなければならないとなります。
解説の冒頭より、株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得するとされています。
よって、株式売渡請求をした特別支配株主は、株式売渡請求において定めた取得日に、株式売渡請求に係る株式を発行している対象会社の株主が有する売渡株式の全部を取得するとなります。
解説の冒頭より、株式売渡請求が法令に違反する場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができるとされています。
よって、売渡株主は、株式売渡請求が法令に違反する場合であって、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、特別支配株主に対し、売渡株式の全部の取得をやめることを請求することができるとなります。
解説の冒頭より、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日から六箇月以内に、訴えをもってのみ主張することができるとされてます。
よって、株式売渡請求において定めた取得日において公開会社の売渡株主であった者は、当該取得日から6か月以内に、訴えをもってのみ当該株式売渡請求に係る売渡株式の全部の取得の無効を主張することができるとなります。
この問題のように条文知識を問う問題は必ず出てくるので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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