問題
ア 日本の森林率は中国の森林率より高い。
イ 日本の森林には、国が所有する国有林と、それ以外の民有林があるが、国有林面積は森林面積全体の半分以上を占めている。
ウ 日本では、21世紀に入ってから、環境破壊に伴って木材価格の上昇が続き、2020年代に入ってもさらに急上昇している。
エ 荒廃する森林の保全のための財源確保に向けて、新たに森林環境税が国税として導入されることが決まった。
オ 日本は木材の多くを輸入に依存しており、木材自給率は年々低下する傾向にある。
森林・林業に関する問題ですが、知識として持っている受験生はかなり少ないと思います。持っている知識を駆使しながら、推測するしかありません。
ア:妥当です
中国には砂漠も多いことを知っていれば、日本の方が森林率が高いことがわかります。
イ:妥当ではありません
国有林はその名のごとく「国の機関が所有する森林」です。一方で、民有林には都道府県や市町村が所有する公有林と個人や企業が所有する私有林が含まれるため圧倒的に民有林の方が多くなります。
ウ:妥当ではありません
2020年代に木材価格の上昇(ウッドショック)が起きていますが、原因は新型コロナの影響による輸入木材の減少です。
エ:妥当です
2024年度から国内に住所のある個人に対して課税される森林環境税の導入が決まっています。1人年額1,000円が徴収されます。
オ:妥当ではありません
林野庁の発表によると、日本の木材自給率は上昇傾向で2021年のデータでは41.1パーセントです。
つまり、妥当なものの組み合わせは「ア・エ」になります。
正しいです
こういった問題で必要になるのは、正確な知識よりも幅広い知識と推理力です。森林環境税の導入など、直近で導入される制度やニュースから出題されることも多いのでアンテナを張っておきましょう。
本問は一般知識等科目の政治、経済、社会ですが、「政治、経済、社会は範囲が広すぎるし、何が出るかわからない、対策しにくい」と思う方が多いかと思います。
しかも、捨て科目に使用にも足切りがありますので、最低限6問は正解しないといけない。
ただ、おそらく試験委員の先生もそこは分かっていると思います。
それでもなぜ、政治、経済、社会を出題するかというと、受験生が分からないなりにもどのように回答するのかという点を試験委員は確認したいのだと思います。
行政書士試験合格後にクライアントからの問い合わせに対して「分からないからよそに行ってくれ」というのと、「分からないので調べてから折り返します」というのでは全然違います。
受験生が分からないなりにも、考え抜いて最低限6問は正解できるかという点を試験委員の先生は考えて問題を作成されていると思います。
そこで、知識も大切ですが、思考力を身に着けるべきだと思います。
ア 春頃になると黄砂が降ってくると思います。
これは、中国の砂漠から風で飛んでくるのです。
一方、花粉症の方が多いかと思いますが、日本にはスギやヒノキなどの木が多いのです。
木が多い、つまり、森林が多いのです。
つまり、中国は大きな砂漠があり、日本は大きな森林があるのです。
ということは、日本の森林率は中国の森林率よりも高いのです。
よって、本記述は正しいです。
イ 国有林は、その名の通り国が所有する森林です。
それ以外の森林例えば、地方自治体や民間人などが国有林ではありません。
それを考えると、「国の所有する森林とその他の森林のどっちが多い」と聞かれたら、国有林のようにも思えますが、実はそれ以外の森林の方が多いのです。
よって、本記述は誤っています。
ウ 最近、色々な物の値段が上がっており、木材価格も上昇しています。
しかし、環境破壊が原因という訳ではありません。
よって、本記述は誤っています。
エ その通りです。
ちなみに、これは経験則によるものなので、特にエビデンスがあるわけではありませんが、「税金がかかる」とか「〇〇税が徴収されることがきまった」等の一般市民の負担になるような記述は正しいことが多いです。
オ 妥当ではありません。
そもそも、山や森を見に行くと、いっぱい木が生えていると思います。
いっぱいあるのに、わざわざ海外から輸入する必要はありません。
よって、本記述は誤っています。
本肢が正解です。
本問は一般知識等科目の政治、経済、社会ですが、令和6年より行政書士法等に変更になります。
なので、令和5年に受験される方以外は学習する必要はないかと思います。