行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問14
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問題
行政書士試験 令和5年度 法令等 問14 (訂正依頼・報告はこちら)
不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる。
- 不作為についての審査請求について理由があり、申請に対して一定の処分をすべきものと認められる場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じる。
- 不作為についての審査請求は、審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない。
- 不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる。
- 不作為についての審査請求の審理に際しては、迅速な救済を図るために、審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるのではなく、審理手続を省いて裁決を下さなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題のポイントは、行政不服審査法第3条、第4条第1項、第29条第2項、第49条第3号第1項についての理解です。
まず、行政不服審査法第3条は法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができるとされています。
第4条第1項は審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとするとされ、1号は処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する庁の長である場合 当該処分庁等とされています。
行政不服法第29条第2項は審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとするとされています。
最後に行政不服審査法第49条第3号第1項は不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとるとされ、その一つは不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずることとされています。
以上の点をおさえて、解説をみていきましょう。
解説の冒頭より、法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができるとされています。
よって、不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけができるとなります。
解説の冒頭より、不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとるとされ、その一つは不作為庁の上級行政庁である審査庁 当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずることとされています。
よって、不作為についての審査請求について理由があり、申請に対して一定の処分をすべきものと認められる場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じるとなります。
行政不服審査法に不作為についての審査請求に法定期間がなく、不作為が続いている間はいつでもできます。
よって、不作為についての審査請求は不作為が続いている間はいつでもできるとなります。
行政不服審査法第25条より、行政不服審査法ができる仮の救済としてできる処分は執行停止だけです。
よって、不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまで執行停止をとることができるとなります。
解説の冒頭より、審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとするとされています。
また、処分庁等は不作為庁も含まれます。
よって、不作為についての審査請求の審理に際しても審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるとなります。
この問題のように、条文理解を求める問題は必ず出てくるので、過去問に出てきた条文をチェックして、条文素読を行うことが重要でしょう。
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02
不作為についての審査請求に関する問題です。
選択肢別に解説していきます。
1:妥当でない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、
行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。
つまり、不作為についての審査請求は、処分についての申請をした者だけしか行うことができず、
「処分がなされることにつき法律上の利益を有する者」は、不作為についての審査請求はできないため、
妥当ではありません。
2:妥当である
不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します。
この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、
当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命じます(行政不服審査法49条3項1号)。
以上より、妥当です。
3:妥当でない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、
行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。
そして、不作為については、審査請求期間の定めはないので、不作為が続いている限り、いつでも審査請求が可能です。
よって、「審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない」という部分が妥当ではありません。
4:妥当でない
本肢のようなルール(不作為についての審査請求に対する「仮の救済」のルール)は行政不服審査法にはありません。
よって妥当ではありません。
5:妥当でない
本肢のようなルールは行政不服審査法にはありません。
よって妥当ではありません。
不作為についての審査請求の審理でも、審理員は指名される(行政不服審査法9条1項)ことから、
本肢は妥当ではありません。
条文にない制度を選択肢として出題されることもありますので、間違えないよう、条文をしっかり押さえておきましょう。
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03
不作為についての審査請求に関する出題です。
行政不服審査法3条により、「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。」とされ、同法4条により、「審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、①処分庁等(処分をした行政庁(処分庁という。)又は不作為に係る行政庁(不作為庁という。)をいう。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは一定に規定する庁の長である場合、➁宮内庁長官又は一定に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合、③主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(①、➁に掲げる場合を除く。)、④①から③に掲げる場合以外の場合の区分に応じ、①当該処分庁等、➁宮内庁長官又は当該庁の長、③当該主任の大臣、④当該処分庁等の最上級行政庁に対してするものとする。」とされ、同法9条により、「4条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(一定の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。審査庁という。)は、審査庁に所属する職員(一定に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから一定に規定する審理手続(この一定に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。」とされ、同法49条1項により、「不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」とされ、同条3項1号により、「不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる措置をとる。」とされます。
つまり、「当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法3条により、「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。」とされ、同法4条により、「審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、①処分庁等(処分をした行政庁(処分庁という。)又は不作為に係る行政庁(不作為庁という。)をいう。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは一定に規定する庁の長である場合、➁宮内庁長官又は一定に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合、③主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(①、➁に掲げる場合を除く。)、④①から③に掲げる場合以外の場合の区分に応じ、①当該処分庁等、➁宮内庁長官又は当該庁の長、③当該主任の大臣、④当該処分庁等の最上級行政庁に対してするものとする。」とされ、同法9条により、「4条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(一定の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。審査庁という。)は、審査庁に所属する職員(一定に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから一定に規定する審理手続(この一定に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。」とされ、同法49条1項により、「不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」とされ、同条3項1号により、「不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる措置をとる。」とされるので、妥当です。
行政不服審査法3条により、「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。」とされ、同法4条により、「審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、①処分庁等(処分をした行政庁(処分庁という。)又は不作為に係る行政庁(不作為庁という。)をいう。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは一定に規定する庁の長である場合、➁宮内庁長官又は一定に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合、③主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(①、➁に掲げる場合を除く。)、④①から③に掲げる場合以外の場合の区分に応じ、①当該処分庁等、➁宮内庁長官又は当該庁の長、③当該主任の大臣、④当該処分庁等の最上級行政庁に対してするものとする。」とされ、同法9条により、「4条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(一定の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。審査庁という。)は、審査庁に所属する職員(一定に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから一定に規定する審理手続(この一定に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。」とされ、同法49条1項により、「不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」とされ、同条3項1号により、「不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる措置をとる。」とされます。
つまり、「審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない」という部分が、妥当ではありません。
「不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる。」ということは、妥当ではありません。そのような規定はありません。
行政不服審査法3条により、「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。」とされ、同法4条により、「審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、①処分庁等(処分をした行政庁(処分庁という。)又は不作為に係る行政庁(不作為庁という。)をいう。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは一定に規定する庁の長である場合、➁宮内庁長官又は一定に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合、③主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(①、➁に掲げる場合を除く。)、④①から③に掲げる場合以外の場合の区分に応じ、①当該処分庁等、➁宮内庁長官又は当該庁の長、③当該主任の大臣、④当該処分庁等の最上級行政庁に対してするものとする。」とされ、同法9条により、「4条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(一定の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。審査庁という。)は、審査庁に所属する職員(一定に規定する名簿を作成した場合にあっては、当該名簿に記載されている者)のうちから一定に規定する審理手続(この一定に規定する手続を含む。)を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等(審査庁以外の処分庁等に限る。)に通知しなければならない。」とされ、同法49条1項により、「不作為についての審査請求が当該不作為に係る処分についての申請から相当の期間が経過しないでされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」とされ、同条3項1号により、「不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言する。この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずる措置をとる。」とされます。
つまり、「迅速な救済を図るために、審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるのではなく、審理手続を省いて裁決を下さなければならない」という部分が、妥当ではありません。
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