行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問15
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問題
行政書士試験 令和5年度 法令等 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。
- 不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。
- 事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。
- 審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。
- 審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題のポイントは、行政不服審査法第46条1項、第47条、第48条の条文の理解です。
まず行政不服審査法第46条1項は処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできないとされています。
行政不服審査法第47条は事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(第四十五条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。
一 処分庁以外の審査庁 当該処分庁に対し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すべき旨を命ずること。
二 処分庁である審査庁 当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更すること。
とされています。
行政不服審査法第48条は第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできないとされています。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
行政不服審査法に審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁が不利益処分を取り消す義務があるという条文はありません。
よって、審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、当該不利益処分を取り消されるとなります。
行政不服審査法に不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができるという条文はありません。
解説の冒頭より、事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(第四十五条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、次の各号に掲げる審査庁の区分に応じ、当該各号に定める措置をとるとされ、処分庁である審査庁 当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更することとされています。
よって、事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更するとなります。
解説の冒頭より、処分(事実上の行為を除く。以下この条及び第四十八条において同じ。)についての審査請求が理由がある場合(前条第三項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできないとされています。
よって、審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でない場合、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することはできず、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されないとなります。
行政不服審査法に審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされるとする条文はありません。
この問題のように、条文知識を問う問題は行政書士試験に必ずでるので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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02
行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する問題です。
選択肢別に条文や判例等をもとに解説していきます。
1:妥当でない
処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合には、
審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します(行政不服審査法46条1項前段)。
そして、取消裁決をした場合、この裁決により処分は初めから効力はなかったことになります。
これを「形成力」と表現します。そのため、処分庁が改めて取り消す必要はありません。
よって、妥当ではありません。
2:妥当でない
裁決は、関係行政庁を拘束します(行政不服審査法52条1項)。
これを「拘束力」と表現します。
そのため、取消しの裁決を受けた処分庁は、同一の事実関係の下、同一の理由では同一の処分を反復することができません。
よって、本肢は「同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる」が妥当ではありません。
3:妥当である
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合には、処分庁である審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更します(行政不服審査法47条2号)。
よって、本肢は妥当です。
4:妥当でない
処分についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、
又はこれを変更します。
ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできません
(行政不服審査法46条1項ただし書き)。
本肢は「審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも・・・変更することができる」
となっているので妥当ではありません。
不利益にならない処分の変更もできません。審査庁が「処分庁の上級行政庁」か「処分庁自身」の場合、
不利益にならない処分の変更ができます。
5:妥当でない
審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、
拒否処分が取り消されただけであって、処分をしていない状態に戻るだけです。
つまり、許認可処分とみなされません。
行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する問題はほぼ必ず出題されています。
しっかり押さえておきましょう。
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03
行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する出題です。
行政不服審査法45条3項により、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。」とされ、同法46条1項により、「処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。」とされ、同条2項2号により、「前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする措置をとる。」とされ、同法47条2号により、「事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(45条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁である審査庁の区分に応じ、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。」とされ、同法52条1項により、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」とされ、同条2項により、「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」とされます。
つまり、「処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法45条3項により、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。」とされ、同法46条1項により、「処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。」とされ、同条2項2号により、「前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする措置をとる。」とされ、同法47条2号により、「事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(45条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁である審査庁の区分に応じ、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。」とされ、同法52条1項により、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」とされ、同条2項により、「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」とされます。
つまり、「事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法45条3項により、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。」とされ、同法46条1項により、「処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。」とされ、同条2項2号により、「前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする措置をとる。」とされ、同法47条2号により、「事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(45条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁である審査庁の区分に応じ、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。」とされ、同法52条1項により、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」とされ、同条2項により、「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」とされるので、妥当です。
行政不服審査法45条3項により、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。」とされ、同法46条1項により、「処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。」とされ、同条2項2号により、「前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする措置をとる。」とされ、同法47条2号により、「事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(45条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁である審査庁の区分に応じ、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。」とされ、同法52条1項により、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」とされ、同条2項により、「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」とされます。
つまり、「処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない」という部分が、妥当ではありません。
行政不服審査法45条3項により、「審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。」とされ、同法46条1項により、「処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない。」とされ、同条2項2号により、「前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする措置をとる。」とされ、同法47条2号により、「事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(45条3項の規定の適用がある場合を除く。)には、審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁である審査庁の区分に応じ、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更する措置をとる。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁以外の審査庁である場合には、当該事実上の行為を変更すべき旨を命ずることはできない。」とされ、同法52条1項により、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」とされ、同条2項により、「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」とされます。
つまり、「当該申請に対する許認可処分とみなされる」という部分が、妥当ではありません。
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