行政書士の過去問
令和5年度
法令等 問16

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問題

行政書士試験 令和5年度 法令等 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。
  • 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。
  • 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。
  • 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。
  • 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題のポイントは、行政不服審査法第19条1項、第21条1項、第23条、第27条1項、第31条の理解です。

まず行政不服審査法第19条1項は審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならないとされています。

行政不服審査法第21条1項は審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができる。この場合において、審査請求人は、処分庁等に審査請求書を提出し、又は処分庁等に対し第十九条第二項から第五項までに規定する事項を陳述するものとするとされています。

行政不服審査法第23条は審査請求書が第十九条の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならないとされています。

行政不服審査法第27条1項は審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができるとされています。

最後に行政不服審査法第31条は審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。

 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。

 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。

 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

とされています。

 

以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。

選択肢1. 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。

解説の冒頭より、審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができるとされています。

よって、審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできるとなります。

選択肢2. 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。

解説の冒頭より、審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならないとされています。

よって、審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができるとなります。

選択肢3. 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。

解説の冒頭より、審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができるとされています。

よって、審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていないとなります。

選択肢4. 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。

解説の冒頭より、審査請求書が第十九条の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならないとされています。

よって、審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合には相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならないとなります。

選択肢5. 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

解説の冒頭より、審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならないとされ、また、口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができるとされています。

よって、審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができるとされています。

まとめ

この問題のように、条文理解を求める設問は行政書士試験に出てくるので、条文素読をやった方が良いでしょう。

 

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02

行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する問題です。

選択肢別に解説していきます。

選択肢1. 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。

1:正しい

(処分庁等を経由する審査請求) 審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、

処分庁等を経由してすることができます(行政不服審査法21条1項前段)。

よって、本肢は正しいです。

選択肢2. 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。

2:正しい

審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、

政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければなりません(行政不服審査法19条1項)。

つまり、審査請求は、原則、書面で行い、例外として、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができます。

選択肢3. 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。

3:正しい

審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができます(行政不服審査法27条1項)。

取下げの理由は、規定されていないので、どのような理由で取り下げても問題ありません。

選択肢4. 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。

4:誤り

審査請求書が審査請求書に形式上の不備がある場合には、審査庁は、相当の期間を定め、

その期間内に不備を補正すべきことを命じなければなりません(行政不服審査法23条)。

つまり、本肢の「審理員を指名し、審理手続を開始しなければならない」というのは誤りです。

 

選択肢5. 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

5:正しい

審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、原則、当該申立人に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません(行政不服審査法31条1項本文)。

この場合において、審査請求人又は参加人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます(行政不服審査法31条3項)。

よって、本肢は正しいです。

まとめ

行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する問題もほぼ必ず出題されますので、

条文をもとにしっかり押さえておきましょう。

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03

 行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する出題です。

選択肢1. 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。

 行政不服審査法21条1項により、「審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができる。」とされるので、正しいです。

選択肢2. 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。

 行政不服審査法19条1項により、「審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。」とされるので、正しいです。

選択肢3. 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。

 行政不服審査法27条1項により、「審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。」とされるので、正しいです。

選択肢4. 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。

 行政不服審査法23条により、「審査請求書が審査請求書の提出の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。」とされ、同条1項により、「前条の場合において、審査請求人が同条の期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、一定に規定する審理手続を経ないで、一定の規定に基づき、裁決で、当該審査請求を却下することができる。」とされます。

 つまり、「審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない」という部分が、誤りです。

選択肢5. 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

 行政不服審査法31条1項により、「審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(申立人という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。」とされ、同条3項により、「口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。」とされるので、正しいです。

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