行政書士 過去問
令和6年度
問4 (法令等 問4)

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問題

行政書士試験 令和6年度 問4(法令等 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

インターネット上の検索サービスにおいて、ある人物Xの名前で検索をすると、Xの過去の逮捕歴に関する記事等が表示される。Xは、この検索事業者に対して、検索結果であるURL等の情報の削除を求める訴えを提起した。これに関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。
  • 個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、過去の逮捕歴もこれに含まれる。
  • 検索結果として提供される情報は、プログラムによって自動的に収集・整理・提供されるものにすぎず、検索結果の提供は、検索事業者自身による表現行為とはいえない。
  • 検索事業者による検索結果の提供は、公衆の情報発信や情報の入手を支援するものとして、インターネット上の情報流通の基盤としての役割を果たしている。
  • 当該事実を公表されない法的利益と、当該情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量した結果、前者が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対してURL等の情報を当該検索結果から削除することを求めることができる。
  • 過去の逮捕歴がプライバシーに含まれるとしても、児童買春のように、児童への性的搾取・虐待として強い社会的非難の対象とされ、罰則で禁止されている行為は、一定の期間の経過後も公共の利害に関する事柄でありうる。

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この過去問の解説 (1件)

01

検索エンジンとプライバシー権

逮捕歴が検索エンジンに表示されることがプライバシーの侵害に当たるとして削除の仮処分を求めた事案です。

プライバシー権は憲法13条の幸福追求権を根拠に認められるものです。

 

※民事保全法上の仮処分とは「特定物の給付請求権の保全」や「現在の法律関係に著しい損害または急迫の危険の回避」を目的に行う暫定的な禁止・無効等の措置をいいます。

 

 

選択肢1. 個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となるというべきであり、過去の逮捕歴もこれに含まれる。

「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は,法的保護の対象となるというべきである」

「児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は,他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではある」(最決平29.1.31)

 

問題文の通りです。

選択肢2. 検索結果として提供される情報は、プログラムによって自動的に収集・整理・提供されるものにすぎず、検索結果の提供は、検索事業者自身による表現行為とはいえない。

×

「この情報の収集,整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの,同プログラムは検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたものであるから,検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する。」(最決平29.1.31)

 

本肢は表現行為とはいえない。」としているので誤りとなります。

選択肢3. 検索事業者による検索結果の提供は、公衆の情報発信や情報の入手を支援するものとして、インターネット上の情報流通の基盤としての役割を果たしている。

「検索事業者による検索結果の提供は,公衆が,インターネット上に情報を発信したり,インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり,現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。」(最決平29.1.31)

 

問題文の内容の通りです。

選択肢4. 当該事実を公表されない法的利益と、当該情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量した結果、前者が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対してURL等の情報を当該検索結果から削除することを求めることができる。

「当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべき」(最決平29.1.31)

 

問題文の記載は正しいです。

選択肢5. 過去の逮捕歴がプライバシーに含まれるとしても、児童買春のように、児童への性的搾取・虐待として強い社会的非難の対象とされ、罰則で禁止されている行為は、一定の期間の経過後も公共の利害に関する事柄でありうる。

「児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることに照らし,今なお公共の利害に関する事項であるといえる」(最決平29.1.31)

 

本肢も正しい記載となります。

まとめ

他にプライバシー権に関する判例は

・「宴のあと」事件(東京地昭和39.9.28)

・「石に泳ぐ魚」事件(最判平14.9.24)

・前科照会事件(最判昭56.4.14)

などがあります。

昨今では非常に重要な人権となっているので押さえておきましょう。

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