運行管理者(貨物) 過去問
令和5年度 CBT
問32 (労働基準法関係 問7)
問題文
下図は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1週間の勤務状況の例を示したものであるが、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)に定める拘束時間等に関する次の記述のうち、正しくないものを1つ選びなさい。ただし、すべて1人乗務の場合とする。なお、解答にあたっては、下図に示された内容及び各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

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問題
運行管理者(貨物)試験 令和5年度 CBT 問32(労働基準法関係 問7) (訂正依頼・報告はこちら)
下図は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1週間の勤務状況の例を示したものであるが、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)に定める拘束時間等に関する次の記述のうち、正しくないものを1つ選びなさい。ただし、すべて1人乗務の場合とする。なお、解答にあたっては、下図に示された内容及び各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。
※宿泊特例は考慮していません。1日の拘束時間は 問題の出自の通り、各日の始業時刻から起算して24時間で評価するやり方です。
<改題>
2024年4月1日に改善基準告示の改正がありました。これに伴い正答を、現行法に沿う形に修正しました。

- 1日についての拘束時間が改善基準告示に定める最大拘束時間に違反する勤務がある。
-
1日についての拘束時間が14時間を超えることができる1週間についての回数は、改善基準告示に違反している。
-
水曜日に始まる勤務の1日についての拘束時間は、この1週間の勤務の中で1日についての拘束時間が最も短い。
- 勤務終了後の休息期間が改善基準告示に違反するものはない。
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この過去問の解説 (2件)
01
ポイントは以下の通りです。
①:1日(始業時刻から起算して24時間をいう。)の拘束時間は13時間以内が基本。
➁:①を延長する場合であっても、上限は15時間(ただし書きあり以下解説参照)。
③:1日の拘束時間について13時間を超えて延長する場合は、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努める必要がある。
④:回数は1週について2回までが目安。この場合において、14時間を超える日が連続することは望ましくない。
⑤:1日の拘束時間14時間超は週2回までが目安。
⑥:1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回ってはならない(ただし書きあり以下解説参照)。
正しい内容です。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
厚生労働省労働基準局 長
基 発 1 2 2 3 第 3 号 令 和 4 年 1 2 月 2 3 日
『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について』
(2)1日の拘束時間(第1項第3号、第4号)
「1日の拘束時間は、「13 時間」を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は「 15 時間」としたこと。ただし、自動車運転者の1週間における運行が全て長距離貨物運送(一の運行(自動車運転者が所属する事業場を出発してから当該事業場に帰着するまでをいう。以下同じ。)の走行距離が 450 ㎞以上の貨物運送をいう。以下同じ。)であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合(以下「宿泊を伴う長距離貨物運送の場合」という。)、当該1週間について2回に限り最大拘束時間を「 16 時間」とすることができること。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
違反対象となるのは、以下の勤務です。
(火)16時間(14時間+2時間)、(木)16時間(15時間+1時間)、(金)16時間
1日についての拘束時間が14時間を超えることができる1週間についての回数は、改善基準告示に違反している。
正しい内容です。
違反対象となるのは、以下の勤務です。
(火)16時間(14時間+2時間)、(木)16時間(15時間+1時間)、(金)16時間
1日の拘束時間は、始業時刻から起算して24時間をいいます。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
厚生労働省労働基準局 長
基 発 1 2 2 3 第 3 号 令 和 4 年 1 2 月 2 3 日
『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について』
(2)1日の拘束時間(第1項第3号、第4号)
「1日の拘束時間について「 13 時間」を超えて延長する場合は、自動車運転者の疲労の蓄積 を防ぐ観点から、新たに、使用者は、1日の拘束時間が「14 時間」を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるものとした。当該回数については、1週間について2回以内を目安とすること。この場合において、1日の拘束時間が「 14 時間」を超える日が連続することは望ましくないこと。」
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つまり、1週間に14時間を超える勤務は、3回なので、2回以内を目安とするという改善基準告示に違反しています。
水曜日に始まる勤務の1日についての拘束時間は、この1週間の勤務の中で1日についての拘束時間が最も短い。
正しい内容です。
1日の拘束時間は、始業から起算して24時間内に収まる拘束時間で計算します。
月曜:8時間(9:00~17:00)+翌火曜始業まで2時間=10時間
火曜:14時間(7:00~21:00)+翌水曜始業まで2時間=16時間
水曜:9時間(5:00~14:00)=9時間
木曜:15時間(7:00~22:00)+翌金曜始業まで1時間=16時間
金曜:16時間(6:00~22:00)=16時間
つまり、水曜日の拘束時間の方が、他の曜日の拘束時間より短いことになります。
誤った内容です。
火曜日終業21時~水曜日始業5時までで8時間、木曜終業22時~金曜始業6時までで、8時間となっています。
以下、厚生労働省労働基準局長発の文書では、「継続 11 時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない」とあります。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
厚生労働省労働基準局 長
基 発 1 2 2 3 第 3 号 令 和 4 年 1 2 月 2 3 日
『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について』
(3)休息期間(第1項第5号)
「休息期間は、勤務終了後、「継続 11 時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない」ものとしたこと。ただし、宿泊を伴う長距離貨物運送の場合、当該1週間について2回に限り、「継続8時間以上」とすることができることとし、この場合において、一の運行終了後、「継続 12 時間以上」の休息期間を与えるものとしたこと。旧告示において、休息期間は、勤務終了後「継続8時間以上」とされていたが、十分な休息期間の確保が重要であり、脳・心臓疾患に係る労災認定基準において、長期間の過重業務の判断に当たって「勤務間インターバル」がおおむね 11 時間未満の勤務の有無等について検討し評価することとされていること等を踏まえ、自動車運転者の睡眠時間の確保による疲労回復の観点から、休息期間について「継続 11 時間以上」与えるよう努めることが原則であることを示すとともに、下限を1時間延長し、「9時間」としたこと。労使当事者にあっては、このことを踏まえ、単に休息期間の下限「9時間」を遵守するにとどまらず、「継続 11 時間以上」の休息期間が確保されるよう自主的な改善の取組を行うことが特に要請されるものであること。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
よって、休息期間の下限である9時間を下回っているので、「違反はない」という記述は誤っています。
本問題に関わっては、運行管理者はドライバーさんのことを第一に考え、ドライバーさんが長く健康に働き続けていただけるように、考え配慮し、運用していけるといいですね。
※2024/4/1法改正に伴い、解説文を一部修正しました。
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02
問題を解くにあたり、以下のルールを念頭に置くようにしましょう。
・「1日の拘束時間」の1日とは、始業時刻から起算して24時間を指します。
最初に図の状況を整理すると以下の通りです。
【拘束時間】
①月曜日(9時始業~翌朝9時まで):
8時間(暦上の月曜日の9時~17時)+2時間(暦上の水曜日の7時~9時)=10時間
②火曜日(7時始業~翌朝7時まで):
14時間(暦上の火曜日の7時~21時)+2時間(暦上の水曜日の5時~7時)=16時間
③水曜日(5時始業~翌朝5時まで):
9時間(暦上の水曜日の5時~14時)+0時間(暦上の木曜日は5時まで拘束なし)=9時間
④木曜日(7時始業~翌朝7時まで):
15時間(暦上の木曜日の7時~22時)+1時間(暦上の金曜日の6時~7時)=16時間
⑤金曜日(6時始業~翌朝6時まで):
16時間(暦上の金曜日の6時~22時)+0時間(暦上の土曜日は休日)=16時間
【休息期間】
❶月曜日~火曜日:14時間(月曜日の17時~火曜日の7時)
❷火曜日~水曜日:8時間(火曜日の21時~水曜日の5時)
❸水曜日~木曜日:17時間(水曜日の14時~木曜日の7時)
❹木曜日~金曜日:8時間(木曜日の22時~金曜日の6時)
❺金曜日~土曜日:8時間以上(金曜日の22時~)
正しいです。2024年度の時点の改善基準告示では以下の規定がありました。
・1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、1日についての拘束時間の限度(以下「最大拘束時間」という。)は15時間とする。
拘束時間(冒頭の①~⑤を参照)を見ると、最大拘束時間の15時間を超過している日程は、②・④・⑤が該当するため改善基準告示違反です。
最大拘束時間のルールが厳格化されていることに注意しましょう。
1日についての拘束時間が14時間を超えることができる1週間についての回数は、改善基準告示に違反している。
正しいです。2024年度の時点の改善基準告示では以下の規定がありました。
・この場合(拘束時間を延長する場合)において、1日についての拘束時間が14時間を超える回数は、1週間について2回以内とする。
拘束時間(冒頭の①~⑤を参照)を見ると、最大拘束時間の14時間を超過している日程は②火曜日④木曜日⑤金曜日の3回ありますので改善基準告示違反に該当します。
なお、2024年4月1日に施行された新しい改善基準告示では、例外として「宿泊を伴う長距離貨物輸運送の場合」はその1週間について2回に限り最大拘束時間を16時間とすることができるという規定がありますが、問題文の事例では週に3回発生しているので、いずれにしても改善基準告示違反に該当します。こちらの例外規定に関するルールについても注意しておきましょう。
水曜日に始まる勤務の1日についての拘束時間は、この1週間の勤務の中で1日についての拘束時間が最も短い。
正しいです。1日の拘束時間における1日とは「始業時刻から起算して24時間」を意味していました。
その観点で考えると、水曜日は9時間(冒頭の③参照)となり、水曜日の拘束時間が最も短いと言えます。
誤っています。2024年度の時点の改善基準告示では以下の規定がありました。
・勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
ただし、例外として「宿泊を伴う長距離貨物輸運送の場合」はその1週間について2回に限り継続8時間以上とすることができる。
拘束時間(冒頭の❶~❺を参照)を見ると、9時間を下回っているの日が❷、❹の2回あり、改善基準告示に違反しています。
休息期間についてもルールが厳格化されていることに注意しましょう。
改善基準告示の変更は大きなトピックスであり、確実に押さえないといけません。
過去問を解く際は、大きな法令改正に気を配り、誤った知識を学習しないように気を付けましょう。
※2024/4/1法改正に伴い、解説文を一部修正しました。
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