運行管理者(貨物) 過去問
令和5年度 CBT
問35 (実務上の知識及び能力 問3)

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問題

運行管理者(貨物)試験 令和5年度 CBT 問35(実務上の知識及び能力 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

一般貨物自動車運送事業者(以下「事業者」という。)が行う事業用自動車の運転者の健康管理に関する次の記述のうち、適切なものをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。
  • 事業者は、深夜業(22時〜5時)を含む業務に常時従事する運転者に対し、法令に定める定期健康診断を6ヵ月以内ごとに1回、必ず、定期的に受診させるようにしている。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大きないびきや昼間の強い眠気など容易に自覚症状を感じやすいので、事業者は、自覚症状を感じていると自己申告をした運転者に限定して、SASスクリーニング検査を実施している。
  • トラック運転者は、単独で判断する、連続作業をする、とっさの対応が必要、同じ姿勢で何時間も過ごすなどから、心身の状態が運行に及ぼす影響は大きく、健康な状態を保持することが必要不可欠である。このため、事業者は、運転者が運転中に体調の異常を感じたときには、運行継続の可否を自らの判断で行うよう指導している。
  • 運転者が脳検診において、異常所見の疑いが認められたため、当該運転者に脳検診を再受診させたところ、医師から診断結果に基づき、乗務時間を減らすなど、乗務の際の配慮が必要であるとの意見があった。このため、事業者は、医師からの意見等を勘案し、当該運転者について、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の措置を決定している。

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この過去問の解説 (2件)

01

正しい内容は、選択肢解説の通り、

2つです。

 

本問は、事業者が運転者の健康をどう把握、管理、対処するかという視点からの問題です。運行管理者は直接運転手と関わることが多いので、しっかり理解しておけるといいですね。

選択肢1. 事業者は、深夜業(22時〜5時)を含む業務に常時従事する運転者に対し、法令に定める定期健康診断を6ヵ月以内ごとに1回、必ず、定期的に受診させるようにしている。

正しい内容です。

 

『労働安全衛生規則』第45号(特定業務従事者の健康診断)

「事業者は、第十三条第一項第三号に掲げる業務(深夜業を含む業務)に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に行わなければならない。」

選択肢2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大きないびきや昼間の強い眠気など容易に自覚症状を感じやすいので、事業者は、自覚症状を感じていると自己申告をした運転者に限定して、SASスクリーニング検査を実施している。

誤った内容です。×「自覚症状を感じていると自己申告をした運転手に限定して」

➡以下規定により、概ね3年をめどに全員が対象となります。

 

『睡眠時無呼吸症候群(SAS)取扱規程』

第2条(検査対象者)
 検査対象者は以下のいずれかに該当するものを除く、乗務員全員とする。
(1) 既に SAS と診断され経鼻持続陽圧呼吸療法(以下「CPAP」という)による治療を継続している者。
(2) 直近 3 年以内に、会社が行う SAS スクリーニング検査を受けて「正常範囲」とされた者。
(3) 過去に SAS スクリーニング検査を受けて「要精密検査」と判定され、未だ精密検査を受診していない者。

選択肢3. トラック運転者は、単独で判断する、連続作業をする、とっさの対応が必要、同じ姿勢で何時間も過ごすなどから、心身の状態が運行に及ぼす影響は大きく、健康な状態を保持することが必要不可欠である。このため、事業者は、運転者が運転中に体調の異常を感じたときには、運行継続の可否を自らの判断で行うよう指導している。

誤った内容です。×「運行継続の可否を自らの判断で」

➡以下の規定により、事業者が指示を出す必要があります。

 

『貨物自動車運送事業輸送安全規則』第3条(過労運転の防止)第6項

「貨物自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。

選択肢4. 運転者が脳検診において、異常所見の疑いが認められたため、当該運転者に脳検診を再受診させたところ、医師から診断結果に基づき、乗務時間を減らすなど、乗務の際の配慮が必要であるとの意見があった。このため、事業者は、医師からの意見等を勘案し、当該運転者について、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の措置を決定している。

正しい内容です。

 

『事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル』1.2.就業上の措置の決定(1)就業上の措置の決定(義務)

「事業者は、医師からの意見等を勘案し、運転者について、乗務の継続、
または、業務転換、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の
措置を決定する必要がある。」

と記載があります。

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02

適切なのは 2 つです。いずれも法令・行政指針に沿った健康管理の取り組みとなります。

 

選択肢1. 事業者は、深夜業(22時〜5時)を含む業務に常時従事する運転者に対し、法令に定める定期健康診断を6ヵ月以内ごとに1回、必ず、定期的に受診させるようにしている。

労働安全衛生法・同規則は、22 時〜5 時の深夜業務に常時従事する労働者に対し、半年ごとの定期健康診断(深夜業健診)を義務付けています。記述どおりで適切です。
→ 適切

選択肢2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、大きないびきや昼間の強い眠気など容易に自覚症状を感じやすいので、事業者は、自覚症状を感じていると自己申告をした運転者に限定して、SASスクリーニング検査を実施している。

国交省のトラック運送事業者向けガイドラインは、問診票などで全運転者をスクリーニングし、高リスク者に検査を実施するよう求めています。自覚症状の訴えだけを対象にする方法は不十分で不適切です。
→ 不適切

選択肢3. トラック運転者は、単独で判断する、連続作業をする、とっさの対応が必要、同じ姿勢で何時間も過ごすなどから、心身の状態が運行に及ぼす影響は大きく、健康な状態を保持することが必要不可欠である。このため、事業者は、運転者が運転中に体調の異常を感じたときには、運行継続の可否を自らの判断で行うよう指導している。

ガイドラインでは異常を感じたら速やかに事業所へ報告し、運行継続の可否は運行管理者など管理者側が判断すると定めています。

運転者まかせは安全管理上不適切です。
→ 不適切

選択肢4. 運転者が脳検診において、異常所見の疑いが認められたため、当該運転者に脳検診を再受診させたところ、医師から診断結果に基づき、乗務時間を減らすなど、乗務の際の配慮が必要であるとの意見があった。このため、事業者は、医師からの意見等を勘案し、当該運転者について、乗務時間の短縮、夜間乗務の回数の削減等の就業上の措置を決定している。

労働安全衛生法 66 条の 5 に基づく医師の意見を受け、事業者が就業上の措置(作業時間短縮・深夜勤務軽減など)を講じるのは適切な対応です。
→ 適切

まとめ

半年ごとの深夜業健診医師意見に基づく就業配慮は、運転者の健康と交通安全を守るために欠かせません。

一方で、SAS 検査を自己申告者だけに限定したり、体調異常時の判断を運転者まかせにする方法は、早期発見や事故防止の視点から不十分です。
健康管理は、運転者任せにせず事業者と専門家が連携して行うことが重要です。

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