運行管理者(貨物) 過去問
令和5年度 CBT
問36 (実務上の知識及び能力 問4)

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問題

運行管理者(貨物)試験 令和5年度 CBT 問36(実務上の知識及び能力 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

交通事故防止対策に関する次の記述のうち、適切なものをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。
  • 交通事故は、そのほとんどが運転者等のヒューマンエラーにより発生するものである。したがって、事故惹起運転者の社内処分を行うことが、交通事故の再発を未然に防止するには最も有効である。そのため、発生した事故の要因の調査・分析を行うことなく、事故惹起運転者及び運行管理者に対する特別講習を確実に受講させる等、ヒューマンエラーの再発防止を中心とした対策に努めるべきである。
  • ドライブレコーダーは、事故時の映像だけでなく、運転者のブレーキ操作やハンドル操作などの運転状況を記録し、解析することにより運転のクセ等を読み取ることができるものがあり、運行管理者が行う運転者の安全運転の指導に活用されている。
  • いわゆる「ヒヤリ・ハット体験」とは、運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれなどがあったと認識した状態をいい、1件の重大な事故(死亡・重傷事故等)が発生する背景には多くのヒヤリ・ハットがあるとされており、このヒヤリ・ハット体験情報を収集・活用していくことは、交通事故防止対策に有効な手段となっている。
  • 適性診断は、運転者の運転能力、運転態度及び性格等を客観的に把握し、運転の適性を判定することにより、運転に適さない者を運転者として選任しないようにするためのものであり、ヒューマンエラーによる交通事故の発生を未然に防止するための有効な手段となっている。

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この過去問の解説 (2件)

01

正しい内容は、選択肢解説の通り、

2つです。

 

誰も望んではいないですが、自動車運転に事故はつきものです。

未然に防ぐために、また事故を起こしてしまった人が運転社会に戻るためにはどうすればよいかということが本問の大きなテーマです。運行管理者でなくても、道路を運転する人ならば、普段から考え、備えておきたい内容ですね。

選択肢1. 交通事故は、そのほとんどが運転者等のヒューマンエラーにより発生するものである。したがって、事故惹起運転者の社内処分を行うことが、交通事故の再発を未然に防止するには最も有効である。そのため、発生した事故の要因の調査・分析を行うことなく、事故惹起運転者及び運行管理者に対する特別講習を確実に受講させる等、ヒューマンエラーの再発防止を中心とした対策に努めるべきである。

全くもって誤った内容です。

×「事故惹起運転者の社内処分を行うことが、交通事故の再発を未然に防止するには最も有効である。そのため、発生した事故の要因の調査・分析を行うことなく、事故惹起運転者及び運行管理者に対する特別講習を確実に受講させる」

➡〇「たしかに交通事故は、そのほとんどが運転者等のヒューマンエラーにより発生するものですが、その背景には、運転操作を誤ったり、交通違反せざるを得なかったりすることに繋がる背景要因が潜んでいることが少なくありません。事業用自動車による事故防止を着実に推進するためには、事故の背景にある運行管理その他の要因を総合的に調査・分析することが重要です。そのためには、発生した事故の調査や事故原因の分析と併せて、事故惹起運転者及び運行管理者に対する特別講習を確実に受講させる等、事故の再発防止に努めることが大切です。」

選択肢2. ドライブレコーダーは、事故時の映像だけでなく、運転者のブレーキ操作やハンドル操作などの運転状況を記録し、解析することにより運転のクセ等を読み取ることができるものがあり、運行管理者が行う運転者の安全運転の指導に活用されている。

正しい内容です。

 

以下の条文には、運行管理者だけでなく、外部専門機関を活用する際にも、ドライブレコーダーが使用できると記載があります。

『貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について』第10条(従業員に対する指導及び監督)第9項

「指導監督指針第2章2(2)➁の「添乗等により指導する」とは、原則として、添乗により安全運転の実技を実施することを指し、安全運転の実技を実施するめの場所を有する外部の専門的機関を活用する場合にあっては、添乗に代えて、ドライブレコーダーの記録により運転者の運転状況を確認し、指導することができることとする。」

選択肢3. いわゆる「ヒヤリ・ハット体験」とは、運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれなどがあったと認識した状態をいい、1件の重大な事故(死亡・重傷事故等)が発生する背景には多くのヒヤリ・ハットがあるとされており、このヒヤリ・ハット体験情報を収集・活用していくことは、交通事故防止対策に有効な手段となっている。

正しい内容です。

 

どの業界においても、このヒヤリハット体験に対する情報収集の重要性がいわれています。

選択肢4. 適性診断は、運転者の運転能力、運転態度及び性格等を客観的に把握し、運転の適性を判定することにより、運転に適さない者を運転者として選任しないようにするためのものであり、ヒューマンエラーによる交通事故の発生を未然に防止するための有効な手段となっている。

全くもって誤った内容です。

×「運転に適さない者を運転者として選任しないようにするためのものであり、ヒューマンエラーによる交通事故の発生を未然に防止するための有効な手段となっている。」➡事故を起こした者を運転社会から締め出すのが目的ではありません。目的は以下の通り。

 

『貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針』

第二章 特定の運転者に対する特別な指導の指針 1目的

「適性診断は、交通事故を引き起こした事業用自動車の運転者についてその再発防止を図り、また、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を十分に習得していない新たに雇い入れた運転者及び加齢に伴い身体機能が変化しつつある高齢者である運転者について交通事故の未然防止を図るためには、これら特定の運転者に対し、よりきめ細かな指導を実施する必要がある。そこで、特定の運転者に対して行う特別な指導は、個々の運転者の状況に応じ、適切な時期に十分な時間を確保して事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な事項を確認させることを目的とする。」
 

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02

正しいのは、2つです。

以下、各選択肢の説明です。

 

 

選択肢1. 交通事故は、そのほとんどが運転者等のヒューマンエラーにより発生するものである。したがって、事故惹起運転者の社内処分を行うことが、交通事故の再発を未然に防止するには最も有効である。そのため、発生した事故の要因の調査・分析を行うことなく、事故惹起運転者及び運行管理者に対する特別講習を確実に受講させる等、ヒューマンエラーの再発防止を中心とした対策に努めるべきである。

事故は車両・環境・管理体制など複数の要因が重なって起こります。

原因分析を省き処分だけで終える方法は、再発防止策として不十分です。
→ 不適切

選択肢2. ドライブレコーダーは、事故時の映像だけでなく、運転者のブレーキ操作やハンドル操作などの運転状況を記録し、解析することにより運転のクセ等を読み取ることができるものがあり、運行管理者が行う運転者の安全運転の指導に活用されている。

近年の機器はブレーキやハンドル操作、速度の変化も記録できます。

映像と合わせて運転の癖を分析し、具体的な安全指導に役立てるのは有効な取り組みです。
→ 適切

選択肢3. いわゆる「ヒヤリ・ハット体験」とは、運転者が運転中に他の自動車等と衝突又は接触するおそれなどがあったと認識した状態をいい、1件の重大な事故(死亡・重傷事故等)が発生する背景には多くのヒヤリ・ハットがあるとされており、このヒヤリ・ハット体験情報を収集・活用していくことは、交通事故防止対策に有効な手段となっている。

「1件の重大事故の背後には多くのヒヤリ・ハットがある」というハインリッヒの法則に基づく対策です。

運転者から体験を集め、原因や対策を共有すれば事故予防に役立ちます。
→ 適切

選択肢4. 適性診断は、運転者の運転能力、運転態度及び性格等を客観的に把握し、運転の適性を判定することにより、運転に適さない者を運転者として選任しないようにするためのものであり、ヒューマンエラーによる交通事故の発生を未然に防止するための有効な手段となっている。

NASVA適性診断などは運転者本人の特性を把握し、教育や配置転換に活かすためのツールです。

「適さない者を選任しない」ことを目的に排除する制度ではなく、結果だけで採用・配車を制限するのは不適当です。
→ 不適切

 

まとめ

交通事故を減らすには、

客観データ(ドラレコ)を使った個別指導

ヒヤリ・ハット情報の共有と改善
といった“原因を分析し具体策を講じる”アプローチが不可欠です。

処分だけで終わらせたり、適性診断を選別目的に使うやり方では、根本的な事故防止につながりません。

 

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