正解は3.【カテーテルの先端は、左心房内に留置する。】です。
中心静脈栄養法とは、食事の経口摂取が困難な患者に対して、
中心静脈から栄養液を直接投与する療法です。
鎖骨下静脈などから穿刺し、心臓に最も近い上大静脈までカテーテルを挿入し、
輸液ラインを確保して固定します。
以下、詳細の説明です。
1.×(正しい記述)
鎖骨下静脈穿刺の合併症には気胸があります。
穿刺した際に針が肺に当たることがあり、
これにより胸腔に血液や空気が溜まって肺を圧迫し、
呼吸困難を生じます。
2.×(正しい記述)
アクセスルートは鎖骨下静脈が一般的ですが、大腿静脈をはじめ、
内頸静脈、外頸静脈、上腕尺側皮静脈があります。
3.○(誤っている記述)
カテーテルの先端は、左心房内ではなく、右心房付近の大静脈に留置します。
4.×(正しい記述)
中心静脈栄養法に用いられる栄養液には、
糖質、脂質、アミノ酸、ビタミンや電解物質などが含まれています。
ただし、ビタミンB₁を投与せずにこの高カロリー輸液療法を施行すると、
ビタミンB₁欠乏によるアシドーシスを引き起こしやすいです。
糖代謝において補酵素として働くビタミンB₁が欠乏することで、
アセチルCoAへの代謝が抑制されてピルビン酸が乳酸に代謝され、乳酸アシドーシスを起こします。
平成3年と9年に厚生省(当時)から
「高カロリー輸液療法施行中は必ずビタミンB1を投与すること」
という内容の緊急安全性情報が出され、現在はビタミンB₁欠乏症の事例は減少しました。
5.×(正しい記述)
成人の場合、中心静脈栄養法では1日に約2Lの高カロリー輸液を投与します。
グルコース濃度は15~30%程度が一般的です。
例えばグルコース濃度20%の輸液を一日2L投与した場合、
以下の計算式の通り、400gのグルコースを投与することになります。
2,000ml×20%=400g
よって、一日に400g以上のグルコースを投与することは可能です。