管理栄養士の過去問
第28回
応用栄養学 問90

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第28回 管理栄養士国家試験 応用栄養学 問90 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄欠乏性貧血において上昇する検査値である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 総鉄結合能(TIBC)
  • 血清鉄
  • 平均赤血球容積(MCV)
  • ヘモグロビン(Hb)
  • ヘマトクリット(Ht)

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

正解は 1 です。

貧血は、血液中の赤血球数またはヘモグロビン量が正常以下となり、酸素運搬能力が低下した状態をいいます。
貧血には、鉄欠乏性貧血のほか、溶血性貧血、再生不良性貧血、巨赤芽球性貧血などがありますが、鉄欠乏性貧血は最も多くみられる貧血です。

1、 総鉄結合能(TIBC)とは、血中のトランスフェリンに結合可能な鉄の総量のことです。
鉄欠乏性貧血では、貯蔵鉄と血清鉄の減少が起こりますが、体の各組織での酸素不足を解消しようとして、血中のトランスフェリン(鉄結合たんぱく)の量が増加します。その結果、総鉄結合能(TIBC)は上昇します。

2、 鉄欠乏性貧血では、貯蔵鉄、血清鉄ともに減少します。

3、 鉄欠乏性貧血では、平均赤血球容積(MCV)値は低下します。平均赤血球容積(MCV)とは、赤血球の平均的な大きさのことです。赤血球の容積が小さいと、運べる酸素の量が少なくなり、貧血を起こします。

4、 鉄欠乏性貧血では、ヘモグロビン(Hb)値は低下します。ヘモグロビンは血色素ともいわれ、構造の中に鉄を含みます。

5、 鉄欠乏性貧血では、ヘマトクリット(Ht)値は低下します。ヘマトクリット(Ht)とは、血液中に占める赤血球の容積の割合を百分率で示したものです。赤血球容積ともいいます。鉄欠乏性貧血では、特に低下が著しく見られます。

参考になった数27

02

正解は 1 です。

鉄欠乏性貧血は、前潜在性鉄欠乏、潜在性鉄欠乏、軽度の鉄欠乏性貧血、重度の鉄欠乏性貧血の順をたどって悪化します。

①前潜在性鉄欠乏⇒鉄の減少により、肝臓や骨髄、脾臓に貯蔵されていた鉄が利用されている状態です。この場合、血清鉄やHbの減少はありません。
貯蔵鉄が利用されるので、血清フェリチンが減少します。また、貯蔵鉄を輸送するためにトランスフェリンが多く生産されます。

②潜在性鉄欠乏⇒貯蔵鉄が底をつき、トランスフェリンが過剰となった状態です。よって、総鉄結合能、不飽和鉄結合能が上昇します。
Hbにはまだ変化はありません。

③軽度の貧血⇒鉄が不足し、ヘモグロビンが減少した状態です。酸素運搬能も低下します。

④重度の貧血⇒最終的に組織鉄まで利用し、ヘモグロビンの減少を補おうとします。
よってスプーン状爪といった組織の鉄欠乏症状も現れてきます。

上記のようなメカニズムを理解した上で問題を解くと、

2 貯蔵鉄、血清鉄ともに減少します。

3 平均赤血球容積(赤血球1つの平均的な容積)は低下します。この低下により、一つの赤血球が運べる酸素の量が減少します。

4 ヘモグロビン量は低下します。

5 へマトクリット値は血液中に占める血球の割合なので、低下します。

参考になった数6

03

正解は 1 です。

臨床栄養学/栄養ケア・マネジメントからの出題です。

1.総鉄結合能は、血清中のトランスフェリンと結合できる鉄の総量のことで、鉄欠乏性貧血ではトランスフェリン自体は増えているため、増加します。

2.鉄欠乏性貧血では血清鉄は低下します。

3.平均赤血球容積が上昇するのは、悪性貧血です。

4.貧血ではヘモグロビンは低下します。

5.ヘマトクリットの低下は鉄欠乏性貧血ではとくに著しく見られます。

参考になった数5