管理栄養士の過去問
第27回
応用力問題 問195

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問題

第27回 管理栄養士国家試験 応用力問題 問195 (訂正依頼・報告はこちら)

9月に学校給食を食べた児童に発熱、下痢、嘔吐の症状が確認された。調査の結果、初発探知が報告された3日前の給食が原因の食中毒と断定された。有症児童数のピークは原因の給食を食べた日から4日目であった。原因となった給食の献立は、食パン、蒸し鶏のサラダ(鶏肉、卵、じゃがいも、マヨネーズ)、ワンタンスープ、牛乳であった。調理前の食品の保存食および有症児童の便からは、病因物質が同定された。しかし、調理済み食品の保存食からは、確認できなかった。調理工程の記録から、すべての加熱調理は75℃以上、1分間以上の加熱を確認できた。
この食中毒の病因物質である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  • ウェルシュ菌
  • 黄色ブドウ球菌
  • カンピロバクター
  • 腸炎ビブリオ
  • ノロウイルス

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 3 です。

1:ウェルシュ菌による食中毒は、潜伏期間が約1日で、カレーやシチューなどの煮込み料理が原因であることが多いです。

2:黄色ブドウ球菌による食中毒は、潜伏期間が約6時間以内と短く、おにぎりやサンドイッチなどの手に直接触れる食品が多いです。

3:カンピロバクターによる食中毒は、潜伏期間が2~5日と長く、生の鶏肉や牛レバーが原因であることが多いです。
有症児童数のピークが4日目であったことと、蒸し鶏のサラダで鶏肉を使用しており、加熱に関する記録は問題なかったものの、カンピロバクターは少量でも発症することが特徴であるため、これが原因と考えるのが妥当です。

4:腸炎ビブリオによる食中毒は、潜伏期間が約12時間で、海産物が原因であることが多いです。

5:ノロウイルスによる食中毒は、潜伏期間が約1~2日で、カキなどの二枚貝が原因であることが多いです。

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02

正解:3
カンピロバクターは潜伏期間2〜5日と長いですが、少量の菌でも発症する可能性があります。また原因食品には生の鶏肉や牛レバーなどがあります。このことから、解は3のカンピロバクターではないかと考えられます。

1.ウェルシュ菌の潜伏期間7、8時間程度から24時間以内に起こると考えられており、大量に調理するカレーやシチューなどに多くみられる食中毒菌です。

2.黄色ブドウ球菌の潜伏期間は30分から6時間で比較的短時間で症状が現れます。おにぎりなど直接食品に手で触れた調理行程で増殖しやすいです。吐き気や嘔吐などの症状が見られます。

4.腸炎ビブリオの潜伏期間は12時間程度で、魚介類に多くみられる食中毒です。

5.ノロウイルスは1〜2日の潜伏期間で、牡蠣などの2枚貝が原因としてあげられています。

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03

正解は3.【カンピロバクター】です。

以下、詳細の説明です。

1.×
ウェルシュ菌は潜伏期間が平均12時間程度のため、
本件の原因菌になる可能性は低いといえます。
また、ヒトが発症するのに必要な菌数は10⁸~10⁹個と多量です。
本件では、調理済み食品の保存食からは病因物質が確認できなかったことから、
少量の菌数でもヒトが発症する病因物質であることが推測されます。

2.×
黄色ブドウ球菌は潜伏期間が1~5時間程度と短いため、
本件の原因菌になる可能性は低いといえます。
黄色ブドウ球菌はヒトや動物の鼻粘膜、咽頭および毛髪などに広く分布するため、
おにぎりや寿司など、直接手の触れる食品が原因となることが多いです。

3.○
カンピロバクターは潜伏期間が2~5日と長く、主症状は本件の症状と同じ、
発熱、下痢、嘔吐等です。
カンピロバクターは家畜、ペット類及び野鳥などに広く分布していますが、
中でも市販の鶏肉の汚染率は高いです。
本件の場合、蒸し鶏のサラダの鶏肉が汚染されていた疑いがあります。

4.×
腸炎ビブリオは潜伏期間が8~20時間程度のため、本件の病因物質になる
可能性は低いといえます。
腸炎ビブリオは好塩性の海水細菌であるため、原因食品としては
海産魚介類およびその加工品が圧倒的に多いです。

5.×
ノロウイルスは、潜伏期間が24~48時間であり、本件の病因物質になる
可能性は低いといえます。
原因となる主な食品はカキなどの二枚貝に多く、ウイルスは
ヒトの腸管細胞内で増殖します。
なお、ノロウイルスは85~90℃、90秒以上の加熱で感染力がなくなるため、
十分な加熱が必要です。

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