管理栄養士の過去問
第25回
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問32

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問題

第25回 管理栄養士国家試験 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

中心静脈栄養法に関する記述である。誤っているのはどれか。
  • 鎖骨下静脈穿刺の合併症には、気胸がある。
  • アクセスルートに大腿静脈がある。
  • カテーテルの先端は、左心房内に留置する。
  • ビタミンB1欠乏による、乳酸アシドーシスをきたすことがある。
  • 一日に400g以上のグルコースを投与できる。

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この過去問の解説 (3件)

01

誤りを選択する問題です。

中心静脈栄養法は2週間以上の静脈栄養が可能です。メリットとデメリットがあるので適応には注意が必要です。

1.○ 鎖骨下静脈穿刺の合併症には気胸があります。気胸は胸腔に空気が入り込み肺が圧迫される事です。

2.○ アクセスルートには鎖骨下静脈、内頚静脈、大腿静脈があります。(鎖骨下静脈が一般的)

3.× カテーテルの先端は、右心房付近の大静脈に留置します。

4.○ 糖代謝においてビタミンB1は補酵素として働きます。ビタミンB1不足により、ピルビン酸をアセチルCoAに変換することが出来ず、乳酸がたまり乳酸アシドーシスを引き起こします。

5.○ 中心静脈栄養は高カロリー輸液が可能です。
例として糖濃度25%の輸液を1日2L行った場合、2000(mL)×0.25=500(g)となります。よって一日に400g以上のグルコースを投与できます。

よって正解は3です。

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02

正解は3.【カテーテルの先端は、左心房内に留置する。】です。

中心静脈栄養法とは、食事の経口摂取が困難な患者に対して、
中心静脈から栄養液を直接投与する療法です。
鎖骨下静脈などから穿刺し、心臓に最も近い上大静脈までカテーテルを挿入し、
輸液ラインを確保して固定します。

以下、詳細の説明です。

1.×(正しい記述)
鎖骨下静脈穿刺の合併症には気胸があります。
穿刺した際に針が肺に当たることがあり、
これにより胸腔に血液や空気が溜まって肺を圧迫し、
呼吸困難を生じます。

2.×(正しい記述)
アクセスルートは鎖骨下静脈が一般的ですが、大腿静脈をはじめ、
内頸静脈、外頸静脈、上腕尺側皮静脈があります。

3.○(誤っている記述)
カテーテルの先端は、左心房内ではなく、右心房付近の大静脈に留置します。

4.×(正しい記述)
中心静脈栄養法に用いられる栄養液には、
糖質、脂質、アミノ酸、ビタミンや電解物質などが含まれています。
ただし、ビタミンB₁を投与せずにこの高カロリー輸液療法を施行すると、
ビタミンB₁欠乏によるアシドーシスを引き起こしやすいです。
糖代謝において補酵素として働くビタミンB₁が欠乏することで、
アセチルCoAへの代謝が抑制されてピルビン酸が乳酸に代謝され、乳酸アシドーシスを起こします。
平成3年と9年に厚生省(当時)から
「高カロリー輸液療法施行中は必ずビタミンB1を投与すること」
という内容の緊急安全性情報が出され、現在はビタミンB₁欠乏症の事例は減少しました。

5.×(正しい記述)
成人の場合、中心静脈栄養法では1日に約2Lの高カロリー輸液を投与します。
グルコース濃度は15~30%程度が一般的です。
例えばグルコース濃度20%の輸液を一日2L投与した場合、
以下の計算式の通り、400gのグルコースを投与することになります。
2,000ml×20%=400g
よって、一日に400g以上のグルコースを投与することは可能です。

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03

正解は 3 です。

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち/疾患治療の概要からの出題です。

中心静脈栄養は鎖骨下静脈、内頸静脈から心臓に近い静脈までカテーテルを挿入して、高濃度の栄養剤を投与します。カテーテルの先端は中心静脈内に留置します。
末梢静脈よりも大量の血液によって希釈されるので高濃度の栄養補給が可能ですが、代謝で必要となるビタミンB1不足による乳酸蓄積で、アシドーシスを示すことがあります。

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