管理栄養士の過去問
第29回
臨床栄養学 問135

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問題

第29回 管理栄養士国家試験 臨床栄養学 問135 (訂正依頼・報告はこちら)

肝硬変の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 呼吸商 ( RQ ) 低下時は、糖質を制限する。
  • フィッシャー比低下時は、芳香族アミノ酸を投与する。
  • 高アンモニア血症では、糖質を制限する。
  • 腹水時には、脂質を制限する。
  • 便秘予防には、ラクツロースを投与する。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.呼吸商(RQ)低下時は、糖質ではなく、脂質を制限します。

2.フィッシャー比とは、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸のことです。芳香族アミノ酸を制限して、分岐鎖アミノ酸を投与することで、フィッシャー比を高くすることができます。
よって、フィッシャー比低下時には芳香族アミノ酸ではなく、分岐鎖アミノ酸を投与します。

3.たんぱく質を摂取することでアンモニアもより多く産生されます。
よって、高アンモニア血症のときには、糖質ではなく、たんぱく質を制限します。

4.腹水時には、脂質ではなく、水分とナトリウムを制限します。

5.ラクツロースは難消化性糖類の一種で、腸内細菌が作りだすアンモニアの量を減らしたり吸収を阻害します。
そのため、便秘の予防にはラクツロースを投与する必要があります。
よって、正しい答えとなります。

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02

正解は 5 です。

肝硬変は、ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎などの肝疾患の進行によって、最終的に生じる疾患です。

【代償期肝硬変】
まだ肝機能が保たれており、症状はほとんどないとされています。食事は、過不足ないエネルギー投与、たんぱく質と分岐鎖アミノ酸の十分な投与を行います。

【非代償期肝硬変】
代償期から進行すると非代償期となり、肝不全症状が現れます。アンモニアの解毒機能低下、低アルブミン血症、ビリルビン代謝低下などが起こり、たんぱく質制限、分岐鎖アミノ酸投与、塩分・水分制限などを行う必要があります。

1:「呼吸商(RQ)低下時には、糖質を投与する」の誤り。肝硬変では、グリコーゲンの貯蔵が難しくなるために、夜間低血糖が起こりやすいとされています。そのため、糖質の制限はせず、就寝前に夜食を摂取するなどして防ぎます。

2:フィッシャー比とは、分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸のモル比を指します。フィッシャー比が低いとたんぱく質の異化や低アルブミン血症が考えられます。肝硬変では、フィッシャー比の低下が起こるため、分岐鎖アミノ酸を投与しフィッシャー比の調節をします。

3:高アンモニア血症が見られる場合、たんぱく質の代謝によって生じたアンモニアが解毒されていない可能性が考えられるため、たんぱく質を制限します。

4:低アルブミン血症によって腹水や浮腫が見られる場合、塩分・水分を制限します。

5:正答。ラクツロースには排便促進作用があります。

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03

正解は 5 です。

臨床栄養学/疾患・病態別栄養ケア・マネジメントからの出題です。

1.肝硬変では低血糖を起こしやすいので制限は行いません。

2.フィッシャー比低下時には分岐鎖アミノ酸を投与します。

3.高アンモニア血症が見られる場合には、たんぱく質を制限します。

4.腹水が見られる時には、水分と食塩を制限します。

5.正しい記載です。ラクツロース(合成二糖類)で排便を促進させます。

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